『龍の鱗』
第13話…別れ
バスを待ちながら、、、
ふっと思った。。。。
というか、気がついた。。。
今、
ここ(この世)に、
自分は遊びに来ているのだ。。。
旅行に来ているのだ。。。
と、
そう考えると、
平凡なというか、
何気ない毎日を、、、
全てのことを楽しもうと考える。
全てのことが楽しくなる。
いや、
楽しいコトしかしたくないし、
楽しく過ごそうとしている自分が居る。
「神様は聞き上手だが、楽しい話しがとくに好きなんだよ」
「天国の扉を開けたなら、そこには見たことも、食べたこともないお茶とケーキが用意されている」
「そして、神様は問うだろう。『どんな楽しい話しをしてくれるのだね』と、、、」
「つまり、この世という世界で何をしてきたのか?と聞かれるんだよ」
「だから、この世を好奇心いっぱいに生きなさい。そして、たくさんの経験をしなさい」
「きっと神様は、その話しを楽しそうにニコニコと聞いてくださるだろう」
と言った祖父の言葉を思い出す。。。
そう、
私達は、
この世に遊びに来ているのだ!!!
そう考えれば、
今を、
明日を、
どう?
楽しんで生きようか?と思う。。。
考える。。。
と、
なにげに♡
心がワクワクして、
楽しくなってくるのですよ。。。
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☆前章までのまとめはこちらから ⇒ 「龍の鱗」
⇩前話からの続き
「麻生先生。いえ、真由美さんは恋をしたことがおあり?」と京香さんが優しく私に問いかけてきた。
が、意表をつかれた私は「えっ!」と言ったまま、なにも言い返せなかった。
クライアントである京香さんに対して言い返したいのに、言い返せない私の心の中では『また、恋?いったい、そんなものが何の役に立つの?・・、』という怒りがわき上がる。
卓也といい、京香さんといい、何を言いたいのか、さっぱりさっぱり分からない。大体、今、聞いているのは省吾君の事で私の恋の話しじゃない。とうとう私は怒りを抑えきれずに…、
「いえ!残念ですが、ありません」
(そんなもの、私には必要ありません。形のない、食べられないものはいりません)
と口で言えない分、心の奥で毒づいていた。
だが、口からでた言葉と強い口調に相変わらず嫌な性格だ!と自分で自分の性格に突っ込んでしまいたかったが、これだけは譲れない。
恋などとは、本当に、この世に必要のない無用の長物だと思っているからだ。
私は母親の様に、男にどうにかして貰おうなどとは思わない。そんなみじめな生き方はしたくない。
そんな思いをするくらいなら、ひとりで生きて、ひとりで死んでやる。
だから、恋なんかしない、必要ない。
なんだか知らないが、戦闘態勢に入った様な緊張感と、なんともいえない不快な感情がグルグルと胸の奥底から湧きあがってくる。
(いけない、いけない、これは仕事。仕事なんだから落ち着いて、落ち着くのよ真由美!)
と自分に慌てて語りかけてから大きく深呼吸をする。
そして京香さんは、私の答えに「そう」と短く言葉を口にすると、そのまま黙ってしまった。
ちらりと横目で省吾君はと見ると、いつもの様に我関せずのままの姿勢で、籐の椅子に優雅に足を組んで背もたれに深く座り、頬杖をついて、そこだけ時間など無くなったかの様に静かに庭を眺めている。
〝ねぇ、ちょっと、省吾君!〟
〝あなたの事なのよ?あなたの、ね!分かってるの〟と言ってやりたい。
弟の卓也といい、どうして男は、どいつもこいつも面倒くさいことから目を逸らすのか。
私は思わず、「こっちむけ!省吾、」と怒鳴りながら襟首をひっ掴んでやろうかという衝動に駆られていた。
つづく・・・
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