岸祐二さん
一言で表すなら
痛かった…
そして、素晴らしかった。
作品が伝えるメッセージがヒリヒリと身体を覆い、心の奥底に閉じ込めておいたはずの古い傷跡に届いて、苦しかったです。
痛みや苦しさの理由を
本当はよくわかっているんだけど
あまりわかりたくなくて
でも、いつかは向き合わなくてはいけないこと。
ただ涙が流れて仕方なかった。
劇場に流れる空気の中に身を委ねているだけで、すごく大事なことを感じて。
この作品を観て思ったことをきちんと語るには、自身のことに触れずにはいられないのですが、それは私の中にだけ留めたいと思います。
ただ言えるのは、向き合うことを途中で諦めてしまった私にも、いつかまたなにかや誰かと向き合う日が来るとするなら、それが過去の思い出の中の景色なのか、今これから描く未来の景色なのかはわからないけれど、その時は逃げたくないなと強く思います。
静寂が漂う舞台で
静かに静かに物語を語り始める岸さん
そして、そこに寄り添うように佇む入絵さん
お二人の言葉の1つ1つ
言葉にならない空気の1粒1粒
そこにあってそこにないものが語ることが
とても重く大きく優しく
そこにいることで包まれるようで。
静寂を切り開く若い2人
現実世界の無情に明るく立ち向かおうとする綿引さん
そんな彼女の希望のように爽やかで穏やかな川原さん
静けさが示す過去を振り切るような2人の存在が、2人が語る言葉の中のリアルが、とても重く大きく痛く
この同居しつつぶつかり合う2つの空気を、さり気なくそっと音楽が包み込む。
劇場という異世界の中で
こんなにリアルに自らの感情を感じながら
それでもこんなにあたたかい気持ちになれる。
不思議で素敵な体験をさせていただいたような気がしています。
私個人としては、思い出すだけでとめどなく涙が溢れてめちゃくちゃになりそうなのですが、
それでも、観て良かった、出会うべくして出会えた素晴らしい時間だったと感じるのは、
きっと「お芝居の力」なのだと思っています。
すごく良質で濃厚な舞台体験でした。
久しぶりのこの痛みといつかは向き合わなくてはならない苦しさを消化するにはもう少し時間が必要だし、この作品にもう一度向き合うには覚悟をしなくてはならず、今すぐにはちょっと難しいですが(全く個人的事情)、
でも、必ずもう一度観たいと思う作品でした。
私の場合、少し複雑な個人的事情もあってこんな感想になってしまいましたが、
ごく当たり前に
生きること、誰かを愛すること、を考える上でとても大切で、必要なことを丁寧に優しく描いている素敵な作品です。
お芝居の力
音楽の力
歌の力
濃密で濃厚な空間でそれらを存分に味わうこともできる素晴らしいキャストの方々です。
多くの人に届いてほしい。
たくさんの人に触れてほしい。
そう思います。
主催のコンセプトさんは観劇への素敵な試みをしてくださっていて、
聴覚障害の方に配慮した日本語字幕 の提供や
若い学生さんの舞台観劇を支援するカルチケ というシステムなど、
多くの人が舞台を楽しめる工夫をしてくださっています。
そんな所もすごく好き。
六行会ホールでは24日まで
スクエア荏原ひらつかホールは27日から29日までだそうです。
きっと素敵な時間になるはず。
是非。

