カメは、鼻水の薬を飲んだためか・・

前日、眠れないということもなく、こてんと夜寝て

今もぐっすり寝ている。

 

寝息の鼻のつまりもないから、どうやら回復してくれたようだ。

 

世の受験生の母親は、きっとそんなところまで、カメママのように気にしているのだろう。

 

カメママは、かすかに笑っているカメの寝顔を見ながら

 

「よかった・・」

 

と胸をなでおろした。

 

カメママは朝6時に目を覚まし

まだ暗い夜明け前、「大丈夫」という曲を聴いていた。

 

本当に、この曲のように

たくさんのものを

親子で乗り越えてきたなと思いながら・・。

 

 

あとすこし・・・・

 

あとすこしでおわるんだ・・

 

と思いながら。

 

カメママも、もう、精神的な限界に近づいていた。

 

でも、

 

 

あと・・・少しだ。

 

と、ぐっと頑張っていた。

 

 

 

時間がきてカメも起きると、

鼻水は良くなり、とても元気になっていた。

 

 

ふたりで、カーテンを開ける。

 

この日は、富士山が綺麗に見えた。

 

今日は快晴だ!

 

出かける準備をしていると、同じ窓から今度は、

立教新座へ向かう道が長蛇の列になっているのが見えた。

 

 

カメ「あんなに・・・・たくさん…受けるのか」

 

ふたりで、会場に行ってみると

 

もう、凄いお祭り騒ぎになっていた。

 

各塾が大勢の先生で旗を振って「わ~わ~」何か言っている。

 

カメは甲子園みたいだ・・・と言った。

 

カメママは少し大げさだなと思ったが

 

きっと、初めてのこの人数は、カメには、そう見えたのだろうと思った。

 

 

カメママ「ロッキー・・・聞く?」

 

カメ「うん!!」

イヤホンを二人で片方づつつけて聞いた。

 

 

 

これが、カメのおまじない(心理のアンカー)、

 

力を出し、

 

どんな雰囲気でもあがりをおさえ、

 

できる!という気持ちでいけるトリガーが

この曲・・・。

 

カメママが長い時間をかけて作った、お守り。

 

カメママ「よし、ふたりでスパークリングだ!」

 

カメママがパンチを両手で受けて、カメはパンチをする。

 

フットワーク良く二人で「パンチ!パンチ!」と動いていたら、なんだか楽しくなっていった。

 

周りでは、他のママが

「欄を間違えちゃだめよ!」

「名前ね!」

「周りはかぼちゃ!」

「がんばれ!」

「できる!」

など、いろいろな声がした。

 

気温は0度近いのだろう。

道の端には、氷があった。

 

風邪は痛いほど冷たい。

 

そんな中、パンチをしている二人は、あったかかった、そして、変だった。

どうせ、落ちる人なんだろうという目で、見られた。

 

でも、そんなのどうでもよかった。

人から、どう見られても、もういい!

この子が、自分はロッキーだと、今、思えればいいのだ。

 

 

だって・・・ロッキーは、必ず、

 

何が起こっても、乗り越えるから・・・。

 

このあと、試験で

 

思いもよらない問題が出たとしても

あせりそうになったとしても

ダメかもと思う瞬間があったとしても

 

きっと、立て直してくれる。

 

 

カメは「今度は、欄も大丈夫!算数も綺麗に書くよ。

    

 

     あと、国語も・・・・大丈夫!!」

 

と言って、背中を向けた。

手を振りながら、人ごみの中へのみこまれていった。

 

 

800名の受験生。

その親たち。

各塾の先生応援団。

 

 

何千人、ここには、人がいるのだろう・・・。

どんどん、受験生を乗せたバスもやってくる。

 

その中。

 

 

元気にカメは、

 

サピックスの先生応援団、総勢40名くらいの旗の中へと

 

お~~!!という激励の言葉に迎えられて

 

入っていった。

 

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