私、相崎あかね、十六才!

 今日は高校二年生の始業式。

 そしてそして、なんと!

 大好きなカナタくんと同じクラスになっちゃったのだ!

 きゃー! どーしよぉ!

 しかもしかも、なんと!

 隣の席なんて、うれしすぎるぅ!

カナタ「おはよう、相崎さん」

アカネ「お、おはよう」

カナタ「小学校からずっと同じ学校だけど、一緒のクラスになるのは初めてだね」

アカネ「そ、そうだね」

カナタ「隣の席になれてうれしいな」

(それってそれって、カナタくんも私のこと……!?)

カナタ「相崎さんて優しいもんね」

アカネ「そ、そんなことないょ」

カナタ「小学六年生の時、野良猫を拾ってたでしょ」

アカネ「見てたの!?」

カナタ「うん。優しい子だなあ、って思ったんだ」

アカネ「カナタくん……」

(ううう、うれしいよぉ。カナタくんに優しいなんて言われたら、もっと好きになっちゃうょ……)

カナタ「だから、先生に見つかりそうになったら、起こしてくれるよね?」

アカネ「え?」

カナタ「じゃ、おやすみ」

 カナタくん、寝ちゃった……。

 もしかしてほめてくれたのは、寝るのをジャマされないように、クギをさしただけ……?

 ううん!

 カナタくんはそんなことしないよね!



 この時、私はまだカナタくんのことを、ちっとも分かってなかったのだと後になって思い知るのだった。


 つづく……かもしれない。