ゴブリンキングの黎明 その119 | つらつらとおもんみるに・・・   ガブちゃん日記Ⅳ

つらつらとおもんみるに・・・   ガブちゃん日記Ⅳ

いろいろ思いついたことと、ペットの亀の話

わしらは動けぬまま力一杯に歓喜の声を上げていたが、その声が一瞬にして静まり返った。

その場にいたもの全員が一点を見つめていた。

あるものは恐怖におそわれた。

あるものは慈悲をこめられた一撃で自身が終わることを思い、

あるものはその者の発する慈愛が自身を救ってくれると思った。

盲目のアネルギアその存在がこの場に現れたのだ。

タイミングが悪すぎる。

神力を食べていないミカでさえ、疲労で動けずボゥッとした意識のままで彼女を見つめていただけだったからだ。

彼女の行動一つでわしらは全滅する。

どっと冷や汗が出た。

彼女は軽く宙に浮かび歩むことなく滑るように移動していた。

見えぬ目で何かを探すように首を巡らす・・・

やがて、そっとしゃがみ込むようにして、いつの間にか治った両の腕で何かを抱いた。

それは、ベザレルの首だった。

そっと胸に愛おしそうに抱きしめながら彼女はこう言った。

『ベザレル様、ようやく私だけのものになりましたね。』と。

そう言った彼女は、わしらは存在していないかのように空に上がりこの場を飛翔しながら離れて行った。

当座の危機は去ったというべきか。

彼女がベザレルを生き返らせるかもしれないということもあるが・・・自分のものだけにしたいと彼女が思うなら、生き返らせたとしても再び彼女がベザレスを自由にするのはないだろうと皆が言う。

そういうものなのか?

わしは更に強化されたあいつが復讐しに来そうな気がした。

 

暫くしてその場で動けるようになったころ、ギル・ロードはケラウルルス内に残ったベザレル側の残存勢力の処理にかかっていた。

ベザレルが死んだことを知った彼らは諦めて投降するものと、最後まで忠誠を誓い死すまで戦うものに分かれた。

どちらかと言えば後者の方が多かった。

前者も後者の者たちに何かを託されたものだった。

そして、その者達も生き恥をさらしたと言いつつ、託されたことをなした後、それぞれ散っていったという・・・

平定が終わった。

 

ビン・コクロ・ゴブリンジェネラル・オーガクィーン・ホズ・ロウハク・ダリフ・ばぁーちゃん・大臣ボロゾ・大臣ズィオーダ・君主カリクス・大臣グロン・ギル・ダースとその配下の文官数名が、ケラウルルスの一室に集まり話し合いを始める。

コクロの脇には水晶球があり、そこにはメアリー・ポー・機械公が移っていた遠距離通信用の遠見の水晶球だった。

まぁ、わしその時には例の後遺症で倒れてるので任せたぞ。

コクロが結構初めは仕切っていたんだが・・・途中からメアリーが水晶の向こうから会談の全体を振り回わすになって、最後は大きな判断をギル・ダースが行い全体の合意を得て会談は終わった。

終わった後メアリーとギル・ダースが互いに言った一言は・・・・

『優秀だ。是非配下にほしい。』と、ギル・ダース

『懐が深い。』と、メアリー

 

おっと話し合いで決まったことだったな。 

まず、わしら側はベザレスの領地のすべての放棄。

だって、わしらのいる場所からこの地は遠すぎる。

で、その代わりにケラウルルス内にあった美術品・装飾品・武器・装備・資材などに関してこちらへの移譲で、これは大部分ばぁーちゃんとオーガクィーンとダリフに分けられた。

まぁ、ダリフは勝手に恋人だと思っているローレンティア・アキシラリスに大部分渡すんだろうが。

実はこの部分はもめた。

なにしろ亜神が所蔵していたものだ。

それなりに強力なものや有用性の高い特殊能力が付与されたものが多かった。

ギル・ダース配下の文官たちがすべてを与えることを避けるべきだとの主張に対して、メアリーが一歩も引かなかった・・・他のものはそこまでしなくてもいいと思うのにと思ったのだが、ギル・ダースは『余は、ケラウルルスをもらうことになった。それで十分だ。』と、文官たちを黙らせた。

領地の件でも問題が起きたのだが、そこはメアリーの友好と問題解消の為に大使館を持たせてほしいということで収まったのだ。

これは、ばぁーちゃん側の配下に納得させるための方便から始まった。

戦争にに参加したのだから領地が欲しいというものも普通にいたし、ベザレルの領地はばぁーちゃんの領地から遠いとはいえ攻めてこれる場所でもある。

なので一部に軍を置き、イザとなった時動かそうとズィオーダが考えたからだった。

喉元にナイフにはならずとも鈴は置ける。

結局は大使館を置くってことになった。

ギル・ダース配下の文官はあっさり了承した。

だって、ケラウルルスの周辺を首都とするならその外でもいいのだから・・・

しかし。

『うむ、そうだな。ケラウルルスの中のそのような場所を用意するようにしよう。』という、ギル・ダースの一言に文官たちが2メーテほど飛び上がったそうだが。

『ケラウルルスが、飛べるようになった時・・・置いていってしまったら意味がないではないか。』とのお言葉があって、メアリーはうんうんと頷づいていた。

まぁ、そんなこんなでいろいろなことが決まった。

一番の大きいのが同盟の様なものを築けたことだ。

連絡機関も持つことができた。

さらに、ギル・ダースからも大使館をダリフのところとローレンティア・アキシラリスとばぁーちゃんのところに作る話になった。

わしのとこと言えば爆裂森なので・・・申し訳ないが、セントラルに作らせてもらうことになった。

物質界に連れて行くのはいかにしても避けるというのがメアリーの判断だった。

文官たちはそれには複雑な表情だったが、ギル・ダースは気にするそぶりもなかった。

 

彼らにとって、わしからの大きな見返りはマジューカとネギギによる農地の開拓の協力だった。

後に彼の配下が悪夢の行軍などと悪態を叩かれるのだが『魔力が無くなったらの事を考えて今から魔力なしでも食物がとれる環境を作ることが大切です。全力で頑張りましょうね。』と、言うネギギの柔和な顔が、彼らにはベザレルより怖かったとか・・・

マジューカは、その土地に合った魔界にある植物の算定に入っている。

実際の強さや立場が極端に違うもののネギギとマジューカは良いコンビだ。

 

ケラウルルス内部を探索するにつれて一番の問題点が分かった。

心臓部に伸びたイグドラシルの根を焼いた際になぜか出来た黒い欠片が突きささっていた。

それは、触れるものを破壊するまがまがしい存在で取り除くことができなかった。

それが取り除けないと内部の確認が進まず補修は無理だった。

 

ダリフはケラウルルスを修復していたがその技術に感心していた。

神力と魔力の差があるにしろ触れると分かるほどの微妙なふうあいの違いこそあるもののかなりの復元率で修復していく・・・外見だけだが。

 

それ以外にベザレル配下だったものの取り扱いについてだった。

 

それぞれに下ったものはそれを優先に扱うことになった。

しかし、ダリフのもとに下ったものは12王家に取り込まれ、それ以外はローレンティア・アキシラリスのもとに配属される。

オーガクィーンの元のに下った者たちの扱いもローレンティア・アキシラリスに、さらにわしの元に下ったものはもれなくローレンティア・アキシラリスに・・・かなり、焼け太り的な扱いとなった彼女の国であったが、もともと先の戦乱までにかなりの兵力を失っていたのでここで兵力がかなり充当されることとなる。

ばぁーちゃんとこはそのまま編入されたのであるが、相手が相手だけに彼らの幸運を祈るしかない。

ギル・ダースのもとに配属された者たちは信頼と能力の高さがアピールできて受け入れられれば中枢に取り立てられることもありそうだ。

現在は地固めに協力することを誓ったものが多い。

 

そして、わしが目を覚ます。

大の字に寝るエンガクの腹の上で同じように大の字になって寝ていたわしが目覚めた。

腹からずり落ち・・・シーツを這い・・・・そして床にずり落ちる。

ガバッ!!ッと起き上がるエンガクに首根っこを掴まれベットの上にあげられる・・・・『うふふふふ』と、声が聞こえた・・・襲われる!!何か身の危険を感じる~とか思っていたのだが、グーグーといびきが響く。

エンガクは寝ていた。

 

まぁ、朝になりエンガクがシロタエに起こされたころ。

わしはホーリィに連れられメアリーから事の成り行きの報告を受ける。

聞いた後、わしはケラウルルスに向かった。

ギル・ダースに合い友好と互いの戦勝の祝いの言葉を述べる。

ギル・ダースの中身はギル・ロードに間違いない。

外周で足場を立てて修復をしているダリフに声をかけ、わしとギル・ロードは中枢部に向かうその途中で外を見ると大きな渦巻き状に町が形成されていていっていた。

かなり遠い場所に農地が作られていた。

ネギギがあの辺で頑張っているんだなぁ~と、わしが思っていた。

そして、中枢部の手前でなぜか待っていたマジューカと合流した。

『あの欠片は危険なものだ。ゴブリンキングがもし保持できてもすぐにそれは解放せねばならなくなるだろう。その手助けをするために私はここにいるんだ。』と、まじめなとこをも美しく神秘的なマジューカが言うので気圧されるわし。

見えた!!黒い三角形の何かだが、まがまがしい気配を発している。

触れることは出来そうにない。

なので取り込むことにするか?

『周りに被害が出てもいいか?』と、2人に聞く

2人とも多少の被害が出てもあれがある限り何もできないことは分かっているのか同時に頷く。

わしはベルゼビュートに命じて周辺ごとわしの中に取り込んだ。

『うっ!!』っと、急に力の抜けるわしは倒れた。

それを救い上げるように抱えるマジューカがギル・ロードに頷くと『道を開けよ!!邪魔をするものは余が許さぬ!!』と、声を上げるギル・ロード。

配下の者たちは慌てて道を開けつつマジューカが通りやすくしてくれる。

わしらはケラウルルスの外に出た。

『では、約束通りに。』と、マジューカ

『魔法陣は設置済みだ。急げよ。』と、ギル・ロード。

魔法陣に飛び込むマジューカとわし・・・わしは抱えられてるだけだが・・・何かすごく吸い取られている気がする・・・それは精神力なのか、魔力なのか???命なのか???

そして転移の後ついたのはいずこかの森、そのうちに入ると巨大な木が動いた。

エントのような存在だがかなり強力な存在だということは分かった。

彼らは自身で輪を作るようにわしらを取り囲んだ。

そして、わしに目を閉じるように命じるマジューカ。

『これから何度か門を通るが行き先を知られたくないんだ。苦しいだろうが協力してくれ。』と、言いつつマジューカはわしを胸に押し当てるようにぎゅっと抱きしめられる。

それは通過の際の衝撃に身構えたためだったが、木の魔物なのに柔らかだしいいにおいがするのを感じつつ意識の浮き沈みを感じつつ何度目かの衝撃のあと。

目を開けていいと言われる。

わしは重い瞼を開けた時、目の前には巨大なネジくれた何かが見えた。

節くれだち割れた部分から血の様な赤い液体を吹き出すそれが眼前に広がっていた。

わしは取り込んだものをそこに出すようにマジューカ言われるままヨロヨロと歩み吐き出す。

吐き出された黒い三角形は割れた部分に飛んでいくとそこに納まった。

割れが完全に塞がることはなかったが液体の噴水はかなり収まった。

チョロチョロと出てはいたが先程とはまるで違っていた。

『これは?いったいなんだ?』と、わし

『これは世界樹の一部だ、世界樹は様々な世界を貫き存在している。その一部だ。とにかくありがとうゴブリンキング。これで、世界樹の苦しみを少しいやすことができた。』と、マジューカ

 

その後再び・・・役得じゃなく・・・マジューカ抱きしめられ柔らかといいにおいを味わいながらケラウルルスに戻るわしらだった。