ゴブリンキングの黎明 その109 | つらつらとおもんみるに・・・   ガブちゃん日記Ⅳ

つらつらとおもんみるに・・・   ガブちゃん日記Ⅳ

いろいろ思いついたことと、ペットの亀の話

巨大な金色が目の前にある。

視界を覆い尽くすそれは黄金三頭龍だった。

クイロから負わされた傷を治しながらも、同じく黄金色に光り輝くスライムのスパークから目が離せないでいた。

スパークの高カリスマ性がヘイトのような役割をしているのだ。

彼の真上には小さな粒たちが渦を巻きながらいまだに飛び交っていたが徐々にスパークに降りそそがれていた。

黄金のスライムはそれを取り込んでいくにつれ、黄金色の光が強まっていく。

 

黄金同士の激突だ!

かたやスライム、かたや三頭の龍だが。

未だに粒粒が降り注いでいる状態でスパークは丘をピョンピョンと跳ね上がっていき、丘の頂点から思いっきりのジャンプをした。

それは黄金の光を発する光弾となって宙を走った。

黄金三頭龍の真ん中の首はスパークのカリスマ性に引き付けられていた。それは他の首も同じだった。

真ん中の首は自分に突っ込んできた小さな雑魚・・・なぜか目が離せないが・・・を侮っていた。

首を突き出し向かってくる光弾に鼻先を向けていた。

その態度は、来てみろ愚かなる弱者!とでも言わんとしているかのようだった。

真正面から真ん中の首に突っ込んできたスパークが激突した。

ドゴン!!!重い音が響く。

いつものポインとか軽い音ではなかった。

鼻先に当たったその衝撃は、なんと鼻骨をゆがませゆるく構えていた頭を後ろに押すような形となった。

そのまま首を後方に送らせあおむけになるような形で伸び切った。巨体は首に引かれ少しだけよろめいたのだった。

それを見ていた二つの首はその状況に驚いたようだ。

 

その目はスパークを追っていた。

仰向け状態になった真ん中の首は起き上がると同時に怒りの咆哮を上げた。

鼻から血が流れている。

その目はスライムを探す。

カリスマ性からすぐに見つかる。敵はまだ空中にいた。

 

黄金三頭龍は怒りを咆哮を上げて襲いかかろうとする。

《防殻》を張り《防御魔法》を、そしてクイロとの戦闘で負傷した胸の傷と羽と左腕の再生と再構築のための《回復魔法》を使う・・・・使う?おかしいかからない?

動揺する彼らの目の前でスパークが6体に分裂した。

分裂した6体はお互いを蹴り合い体を飛ばす。飛んだ先は黄金三頭龍の体だった。

暫く体の上を走り回るスパーク達。自身はスパークを攻撃すれば自身の体を傷つけることになる為にできない。

なので、自身の周りに衝撃波を発生させて吹き飛ばそうとした・・・シーン・・・・発動しない。

仕方ない体の表面から多量の光条を発する《クラッグショット》を・・・発動しない。

何かが起きている。

このスライムのせいか??

そして、空に浮かぶ粒粒の全てがスパークに取り込まれた。

 

黄金三頭龍はその手でスパークに襲いかかるしかなくなった。

追いかけるのだが敵は速いのだ。

ある特殊な種類のスライムの回避特化能力が含まれていた。

まさに電光石火の回避で攻撃を避けるスパーク。

怒り心頭の真ん中の首は思わずブレスを一度吐いた。

それは自身の身を焼いた。鞭のようにしなりその身に電撃が伝わり広範囲に感電し帯電する。そして周辺を火属性が焦土化するのだった。

巻き込まれたスパークの1体は悲鳴を上げることもできずにジュッと音を立て消えた。

いかに自身に雷と火の属性があろうとも全くの無傷とはいかない。黄金三頭龍は傷の痛みにさらに怒ることとなった。痛みのために三つの首は咆哮を上げる。

その後両脇の首が真ん中の首に嚙みついた。

わずかに傷がつくぐらいだった。

『ぴぎゅ!』と、スパイクは1体がやられたのを察知した。

その時、遠方から轟音をたててやってくる緑色の球が彼に向かってくることに気が付いた。

スパークはそれを黄金三頭龍の攻撃を避けながら捕まえる。

『ぎゅ?』何だろうと思ったのだろうか、頭の上に?マークを出した後、しばし逡巡のあと取り込んだ。

それは、ゴブリンキングの魔超龍モードの際に飛び出したあの緑の球だった。

取り込んだ後大丈夫かなー?って感じで反芻するようなそぶりのスパークにその緑の球から出てきたものは様々なスキルだった。

意味の分からないものもあったが・・・

スパークはスキルの全てを自身のカリスマ性に委ねてみた。

だって僕おバカちゃんなんだも~んっとの言葉を添えてだ。

カリスマは、ちょっと驚いたようだが『私に全てまかせるがいい!!』と言ったとか言わなかったとか?

そしてスキルの再構成と合成等が始まった。

しかし、つべこべと注文を付けるのを忘れないスパークであった。

結局スキルは別人格ではないのだ。

さらにどうもこの与えられたスキルは時限的?もしくは揮発性のあるスキルのようである程度の時間がたつと消えてしまうようだった。

その為、緑の球同士の再構成や合成は可能だけど、もともと自身の持つスキルとの合成は出来なかった。

しかし、それなりのものは出来た。

黄金三頭龍の攻撃から逃げ回る自身と分身たち。

『びーぎゅぎゅ~』と、スパークが何かを唱えたその時それは地面からゆっくりと沸き上がりながら起き上がってきた。

スパークに視線をとられ突然現れたそれに対応が遅れてしまった黄金三頭龍は、もろにその攻撃を受けてしまった。

それは龍のブレスだった。

現れたのは飛べないししゃべれない龍のようなものだった。

本来のそれより二回りぐらい小さいかった。

それは眷属に飛べないしゃべれない龍をかけあわせて作ったスキルだった。

 

三つの畦に生えた白い羽を広げてそれはブレスを放った。それは見事に黄金三頭龍の脇腹に当たった。外殻によって阻まれはしたが防御魔法もかけられない状況だった為ダメージはうけないが、攻撃されたことに驚き動揺を見せた。

眷属側に攻撃しようとするたび、自身の体の上を未だ飛び回り逃げ回る5体のスライムのカリスマの影響で、そちらに意識を引っ張られるためだった。

うまく攻撃が決まらない。

スライム達を振りほどこうにも魔力を使うものは全て使えなくされているし、身震いしても奴らは外殻に滑り込み振り落とされないようにへばりついて踏ん張っている。

手や首でこすりつぶそうとしてももの凄い回避をするのだった。

二撃目のブレスを眷属が発射しようとした時、黄金三頭龍はブレスを吐いた。ほぼ合い打ちに近い状況だった3発の雷撃のブレスが飛べずしゃべれぬ龍を襲った。

そのブレスで、それは右腕を失い左の脇腹と頭の右上部をえぐり取られた。

しかし、眷属のブレスは黄金三頭龍の左側首の部分に当たり外殻を吹き飛ばした。

そしてそのまま眷属はその外殻の剥がれた部分に食らいついた。振り回し腕で眷属を掴み引きはがしにかかる黄金三頭龍だが、さらに残る首が眷属に食らいつきいた。

それぞれに、怒りと悲鳴の咆哮をあげつつも互いにいっこうにひく様子を見せなかった。

眷属はボロボロになって黄金三頭龍から引きはがされ投げ飛ばされる。

もう一撃ブレスをみまうべく黄金三頭龍の3つの首が構える・・・・左の首は喉元から下に深いダメージを追っていた。真ん中の首は鼻の骨が折れているのかそこから噴き出す血はいまだ止まっていない状態だった。

黄金三頭龍もダメージを受けていた。

眷属の方がそれより深いダメージながら、残る力で無理やり起き上がりブレスを吐いた。

黄金の龍のブレスがそれに重なった。

勢いのある雷撃を伴う3本のブレスは編まれるようにして眷属のブレスを押しのけ彼の者を粉々にした。

黄金の龍は眷属を食ったが全回復とわ至らなかったわずかしか回復しなかったのだ。

 

そこで奴は考えた。氷の柱の中に逃げている例の5体の怪物を食えれば回復できるのではないか、失われた魔力の回復も可能ではないかと。

向かう・・・氷の柱を破壊するのだ。

その時、全身に走る違和感に気が付いた。

自身の体が振動する一定のリズムでそして痛みが全身に走るのだ。

訝しむ。

しかし、その意識は例のスライムに強引に向けられる。

スライムはいつの間にか一つにまとまっていた。

しかし様子が少し変わっていた。

金色に光るスライムから少しだけ離れた場所に、天使のような白い羽をもつスライムがいた。

そして頭上にはエンジェルハイロゥがのっている。

『ぎゅ~ぎゅ~びぃ~《堕天使モード》』と、スパークが言った後高速で飛び回り始めた。

そのカリスマ性に引き付けられ氷柱に守られたものの事を一瞬忘れる黄金三頭龍だった。

今度は何を見せてくれる・・・・そう思っていた。

飛ぶスパークに3本の首はブレスを放つ・・・・しかし、左の首の喉のあたりから爆発が起きて内側から首のあちこちがはじけだす。

煙を上げゆっくりと前に倒れる左の首。意識は残っているのか回復魔法を唱えたようだが効く様子はない。

右手でつかみ取らんとした手のひらにスパークは多量の白く光る槍をぶつける。貫通属性の槍で貫くことは出来なくとも傷つけることが出来た。少し手がひるむのを見て黒い槍を数発みまう。核撃魔法の破壊力を見せた。

その隙に腕をかいくぐり回避する。

再び見合う互い。

スパークは無傷のように見えるが余裕はない。

黄金三頭龍はダメージをうけてはいるがまだ戦えそうだ。

2人は見つめ合うどちらが強いか?どちらが生き残るか??

『ぐろおぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!』大地を揺るがす黄金三頭龍が裂帛の咆哮をあげる。

それを聞き。

大きく息を吸いスパークも返す。

『ぴ~~~~~~~~~ジュワッ!!!』短い触手のようなものを二本出し逆十字に組みスパークは吠えた。

なんだかわからんが本気のようだった。