次の日、日本の社長に連絡した。
「9月から留学したい」という希望に社長は、快く賛成してくれた。
幸い、中国スタッフの徐さんと郭くんは覚えががよく、最近は僕がはやく帰宅してもなんの問題もなくなっていた。
昼休み、その徐さんをともなって師範大学を訪れた。
僕は早くから留学するなら師範大学ときめていた。
最初のお客さんが師範大学だったし、店からも比較的近くて、日本人も70人ぐらいとちょうどいい。
ちなみに北京大学は300人、語言学院は500人と言われていた。
この時代でも北京には1000人の日本人が留学していた。
留学生宿舎の外事弁公室に行って、事務長に留学の希望を伝える。
しかし、留学生宿舎が満室のためにという理由から断わられた。
当時、留学生は全員が校内にある、留学生宿舎で暮らしていた。
仕事で部屋があるので、授業だけ受けさせてくれたらいいといってみたが、まったく相手にされない
普通は日本の大学や日中友好協会等から手続きするもので、現地で直接留学を申し込む制度がそもそもないのだ。
ところが数日後、日本でたまたま知り合いになった、中国共産主義青年団の幹部がお店にきてくれた。
「なにか困ったことがあったら私に言ってくださいね」と言ってくれたので
僕は 「北京師範大学に留学したいのですが・・・」と事情を説明してみた。
彼は 「校長は私の友人です。 明日午前に連絡してみるので、午後行って見てください。」と普通に答えた。
次の日の午後もう一度、弁公室に行ってみた。
先日、無愛想に拒否した事務長が、入学手続き書類を用意して待っていた。
僕は苦笑するしかなかった。
こうして僕は9月から正式に留学生として中国で滞在することとなった。