♣︎Car Review No.78♣︎

BMW 120(F70)



4代目となるBMWのエントリーモデル
現行型のレビューです✨


かつて3シリーズやCクラスなどDセグメントが務めたエントリークラスの役割は、現在1シリーズやAクラスに引き継がれています。


その1シリーズも2004年に登場してから4代目となりました。かつてはAクラスと違う雰囲気で棲み分けがあった1シリーズもCセグメント級という意味では同じような雰囲気のライバルとなっています。


さてどんな車なのでしょうか。




主要諸元 




試乗スタート 



BMWのエントリーモデルである1シリーズの120です。

今回はマカンの代車でディーラーから綺麗な個体を貸してもらいました。


後輪駆動を得意とするBMWが手がけるFFはどんなものかと前から気になっていましたので、期待しています!



とにかく"マイルド"な車 



まず乗って感じるのは、BMWにしては無骨さを感じない柔らかい雰囲気だということでしょうか。


使っている素材やスイッチ類の配置は、ドライビングプレジャーを強調するBMWとしてはそれほど満足感のない仕上がりかもしれません。


目線も欧州車としては高い位置に配置されています。調べてみると、日本仕様だけ1cm車高が高いようでSUVを好む現代人に合わせた設定なのかもしれません。


運転のしやすさや視界の確保で言うとポイントは高いですが、人馬一体感は全くと言って良いほど感じさせません。

車内の雰囲気は、べらぼうに静かで、エンジン音も振動もほとんど感じません。



車幅はそこそこにコンパクトながら1.8mあり、しっかりとしたCセグメント級です。

しかし、運転してみると先述の通り目線が高く、運転しやすかったです。背が低めのSUV(スバルXVのような)に乗っている感覚に近いものがあります。


搭載されているのは、

ガソリンエンジンの直列3気筒1.5Lの低圧縮ターボで、24.5キロのトルク出力は156馬力

そこに7DCTが組み合わされていますが、マイルドハイブリッドが搭載されていて、発進時はトルコンのようなスムーズさがあります。



ここが、武骨にエンジンと7DCTで押し通しているアウディとの違いです。シフトレバーもこれ以上ないほど簡略化されていて、エンジンブレーキもLに入れると適切なギアを車が決めています。


とにかく、アウディA1/A3のようにダイレクトなスポーティさは微塵もなく、ベンツAクラスのBMW版と言っていいほどです。


顧客に合わせるのであれば正しいと思いますが、スポーツカーさながらの本格的な走りのセダンとして3シリーズを作り続けてきたBMWにしては大人しすぎるようなマイルドな車で、妥協を感じざるを得ません



走りはスポーティさを隠している 


かつてはエンジンにこだわりのあったBMWですが、最近のトレンドはマイルドなターボでNAらしく魅せることにこだわりを感じさせます。


主役はモーターやターボに移ろい、かつてのスムーズなNAエンジンを低排気量でどう再現するかで芸術的なセンスを見せる時代です。


ここに関して、BMWは本当に美しいものを作ります。

318に乗った時にも感じましたが、本当に綺麗な音の機械を作るものです。

機械的な進化を見せるものには私、目がないもので、BMWのこういうところに感激するのです。



レイアウトは、シンプルなFF車で、ハンドリングへの工夫はあまり感じません。

フロントのサスペンションがストラット、リアがマルチリンクであり、快適な昔のFF乗用車という雰囲気です。


FFとしては王道の古い実直な作りで、前輪を少し早めに切り込ませるつもりでハンドルを切らないとうまく曲がりません。

鼻先の切り込みを失敗すると、補うようにリアも張り出して後列が振り回されます。



アンダーステアやオーバーステアなんていうのは、日常的には運転者の技量でどうとでもなるものなんですが、オーバーステア気味に見せることで一見ハンドリングをよく見せる工夫が多い現代で、実直な作りだと思います。



走りに関してはなんだか不思議な車でした。

もしかすると欧州仕様はもっと違うスポーティな足回りなのかもしれません。

ボディは硬くできているのに、とことこ歩いているような心許ないAクラスのような優しいサスペンションで、BMWらしからぬものでした。


長い試乗ではないので、本格的なことはわかりませんが、これはサスペンションを入れ替えると、化けるのかもしれません。

2〜3cmほど車高を下げて、硬いバネを入れるとBMWがやりたかったことが見えるのかもしれません。


言ってみれば、マイルドに教育してスポーティな雰囲気を完全に隠しているということです。



ドイツ車に期待することは何なのか? 



私はドイツ車に「機械としての進化」を求めています。


車の乗り物としての機械的な進化はいつの時代もドイツがリードしてきました。

英国車のようなゴージャスな雰囲気やアメ車のようなイカつい顔でもない。それでも走りはダントツで良く、誰もが認めてきたドイツ車。


最近、小手先の進化しか感じないのは残念でなりません。

FF車を作るなら、ローバー75やMINIで培ったノウハウをBMWはもっと生かして面白いものを作ってくれることを期待してしまいます。


確かに、エンジンには機械的な進化を感じます。

そこは本当に素晴らしいです。コンパクトなFF車で悩んだら、音だけでもBMWを勧められるほどに。


しかしながら、こうも走りがマイルドではドイツ車の名折れです。

まあ普段乗っているのが日産やアウディの熟成された面白いFFなので少し酷な評価ですが、BMWに求めていた"走りのFF"は今回の120には感じませんでした。


もっともっと良いものを作れるはずだと思います。

ベンツとは違うCセグメントの正解をBMWには見せて欲しいものです。


面白い車ではないのなら、1シリーズを廃止してミニに統合してしまったほうがむしろ良いとさえ思います。


運転が苦手な三流ドライバーに、小手先のスポーティブランドとして"BMW"をプレゼンして資金を稼ぐのも結構ですが、コンパクトカーとスポーツカーにはメーカーの色がよく出ますから面白いものを見せて欲しいですね。