『生きとるわ』(又吉直樹著、文藝春秋)

又吉さんとは以前対談をしたことがある。
子ども時代は、サッカーとお笑いが大好きだった。
一方で、読書も好きで、ずっと本を読み続ける。
そして、10年前に発表した『火花』で芥川賞受賞。
累計354万部という、とんでもないベストセラーになった。

そのあと『劇場』。
今年刊行された『生きとるわ』は6年ぶりの長編だが、実におもしろかった。

 



出だしの数行がすごい。
太宰治の本の冒頭を彷彿させる。
主人公がバーに入る光景をこんなふうに表している。

 

「悪夢に擬態した夜なんか素通りすればええはずやのに。
興奮していた僕らは、魔物を手懐けられると慢心した挙句、まんまと巻き込まれることになってしまった。気圧で重くなったドアを開けると、圧縮された空気と音楽が顔に当たり、流れるように散った。」

高校時代の4人組の青春小説。
スティーブン・キング原作の映画『スタンド・バイ・ミー』に出てくる音楽が聞こえてきそう。
映画では、最後に4人の中で作家になった男が「12歳のときのような友だちはもう2度とできない」と述懐する。

又吉の『生きとるわ』は、一人が怪物になっていく。
その怪物に引きずられるように、仲間たちが巻き込まれていく。

又吉の言葉を借りれば「勝手に人生の難易度を上げていく」そんな仲間たち。
それぞれ残酷な人生を歩んでいくのだけれど、
なぜか読後感はさわやかなのだ。
ドジだなあと思いながら、
「これが人生」と思わせてくれるような小説。

久しぶりに小説の世界に浸り込むことができた。
満腹です。

十分な議論が尽くされないまま、改正皇室典範がスピード成立した。

皇室を研究しているアメリカ・ポートランド州立大学のケネス・ルオフ教授は、
「男系男子の継承にこだわる熱心な少数派が、女性天皇を容認するものの積極的に意見を表明しない受動的な多数派を打ち負かした」と分析している。

アンケート調査などでは、愛子さまが天皇になってもいいのではないかという意見を持つ日本国民は結構多い。
にもかかわすらず、「大多数の国民の望むもの」とも、「立法府の総意」とも乖離した内容になった。

 



今上陛下は、6月のヨーロッパ訪問の前に、「国民の理解が得られるよう望んでいる」と述べられた。
今回の議論が本当に国民の声を反映しているのかどうかというギリギリの問いかけだったと理解している、と東大名誉教授で政治学者の御厨貴さんは述べている。

天皇陛下は政治的な判断に口出しができないから何も言わないが、国民はもっと議論すべきだった。
政治をお任せしてしまうという、日本人の弱点が出てしまったように思う。
今回のように世論との乖離を埋めないまま数の力で押し通すのではなく、国民的議論を重ねたうえで秋ぐらいまでに決定したほうがよかったように思う。

「女性宰相の高市さんが女性の皇位継承を失わせた家父長的日本を象徴している」と、欧米メディアは批判している。

日本のことは日本で決めればいいが、国民一人一人が象徴天皇のあり方について考え、自分の意見を持つ必要があるように思う。
ぼく自身も、女性天皇を容認する受動的な多数派。
大いに反省した。
 

諏訪中央病院にある2つの庭は、グリーンボランティアの人たちに支えられています。
点滴をしながら読書ができるような空間があったり、木の下で家族で語らったりするベンチが置かれており、
遊歩道では、患者さんが理学療法士とともに歩く訓練をする姿もみられます。
職員たちもこの庭があることでホッとしています。

 



水曜日になると、50人近いグリーンボランティアのみなさんがこの庭園の手入れをしてくれています。