名勝程期待させて、落胆する処が多いモノですが、流石に「八つ橋」には落胆しました。そのお口直しならぬ「お目め治し」に知立神社ご神域にある「知立公園」の菖蒲園に行きました。知立神社は社伝によると景行天皇の頃の創建と伝え、以来千年以上にわたりこの碧海地方はもとより広く篤く崇敬を集めてまいりました。すでに平安時代『延喜式』神名帳にその名が見え、三河国二宮として国司の祭祀を受け、江戸時代には東海道三社の一つに数えられ、東海道を往来する旅人には「まむし除け」のご神徳で知られ各地にご分社ご分霊が勧請されました。近代以降においては皇室の祖神をお祀りするご縁から国家安寧・家内安全の神社として、今なお多くの参拝者をお迎えしております。知立神社の駐車場に着くと早速にボランタリーの説明員が走り寄って来て有無を言わせず菖蒲園に連れて行って解説します。先ずは「菖蒲」「杜若」と「アヤメ」の違いと見分け方でした。

ボランタリーの「菖蒲」・「杜若」・「アヤメ」三姉妹の見分け方。

花弁の中心部の模様がちがいます。違いは名前にも現れています

古代、この辺りは矢作川の湿地地帯で杜若が群生していたのでしょう。古代に好まれたのは「杜若」で湿地で群生します。次いで中世には菖蒲が好まれました。男の子節句(端午の節句)で使われるのが「菖蒲湯」です。男の子が元気に逞しく生育する様に祈られます。杜若に比べれば湿地でも浅い処に生育します。咲いた花で見分けるには、花びらの根元が黄色い線なら花菖蒲(ハナショウブ)、白い線なら杜若(カキツバタ)ですアヤメは西陣織の様な模様があります花が咲いていない時には、葉のスジや太さで見分けることもできます。杜若と菖蒲は日本刀の様にほそいのですが、アヤメは広い葉で優雅です。近世にこのまれたのが「アヤメ」でした。

花札のアヤメはその特徴を端的に表現しています

さて、知立神社の菖蒲園ですが、ボランタリーの説明によれば、明治神宮内苑の菖蒲を株分けしたものだそうです。明治天皇・昭憲皇太后にゆかりの深い由緒ある名苑に咲く花菖蒲は江戸系の花菖蒲で(伊勢系や肥後系の花に比べれば、武士好みです)

知立神社の多宝塔(重要文化財)神仏分離令で神社の所有になった。

当初解体処分の予定でしたが、地元民の反対によって現状の儘保存されたそうです

明治天皇が1890年に知立古城址で休憩された建物が知立神社に移設され、養正館という名で残っています。老朽化が激しいのですが知立市は財政難で倒壊を柱で防止しています

明治天皇が御休憩された記念碑

知立公園菖蒲田に咲いた花菖蒲

知立公園菖蒲田に咲いた花菖蒲

知立公園菖蒲田に咲いた花菖蒲奥は)知立神社

知立公園菖蒲田の北側にあるお茶室、窓の下は一面の菖蒲の花です

お茶室では裏千家のお点前を戴けます

お茶室入口の枇杷の果実は充分に熟していました。これこそ水菓子です

               【了】