我が家の庭の隅っこに「姫蔓蕎麦」が自生しています、その種が石垣の割れ目やアスファルトの裂け目に根を張って繁茂しています。「姫蔓蕎麦」は明治時代に大谷探検隊(西本願寺第22世となる大谷光瑞師(25歳)によって組織された探検隊)仏教のルーツを求めて西域を探検しました。当時仏教界は国家神道によって圧迫され強い危機感を持っていたのでした。

大谷探検隊の業績は竜谷ミュージアムに常設展示されています。

大谷探検隊は夥しい仏教美術品と併せてヒマヤラの植物を持って帰りました。その一つが今日紹介する「姫蔓蕎麦」と「ヒマヤラ雪の下です。

此れは鎌倉の長谷寺に咲く「ヒマヤラ雪の下」です。これも大谷探検隊が持ち帰った植物です。

「姫蔓蕎麦」も「ヒマヤラ雪の下」も花の少ない冬季に咲いて、日本の冬に適応するので人気の草花です。「姫蔓蕎麦」は金平糖の様に可愛い花と茎が付けられたのでしょう。

京都の金平糖「桜」は姫蔓蕎麦の花の様です

我が家の姫蔓蕎麦は庭の隅っこに自生しています。そして庭の中央に広がろうとせず、石垣の継ぎ目からアスファルトの裂け目に根を張って繁殖しています。想像するに雨で種子が流されて他の植物が生きられない過酷な環境に自生しているのでしょう。私の孫娘はキャラクターの「隅っこ暮らし」が大好きです。

孫娘が大好きなキャラクターの「隅っこ暮らし」は姫蔓蕎麦の花に似て見えます

円覚寺仏殿の北側の土手に自生している鶴姫蕎麦

我が家の石垣の継ぎ目とアスファルトの裂け目に自生している姫蔓蕎麦の花

今朝新聞を取りに門迄出ると、姫蔓蕎麦は大半が枯れていました。雨が降らない事と北風の吹き曝しが応えたのでしょう。でも、観察してみれば先端には可愛い花を咲かせています。親株は枯れた体で新しい花を北風や乾燥から守っているのです一年生草本でも子孫を含めて考えれば種としては多年生草本に負けません円覚寺仏殿前に自生しているビャクシンの古木は8百年の樹齢でしょうが、仏殿裏の姫蔓蕎麦はもっともっと長生きして行く事でしょう。

此れが我が家の門の下に自生している「姫蔓蕎麦」です。大半が枯れていますが枯れて新しい命を守っているようです。

地球は自転していると同時に公転しています。植物は一日で花を萎んでしまう種と百日も千日も咲いている種があります。一年で枯れてしまう千年も生きる樹木があります。一年で死んでしまうのは儚くて可哀想でも実は子孫も含めて考えれば千年生きる樹木より逞しいと云えます。我が家の前のアスファルトの裂け目で自生している鶴姫蕎麦の生命力は実に逞しいと言えるでしょう。 

                               【了】