1月4日川崎民家園にいって「民家園のお正月」を楽しんで帰りました。一昨日のブログでは「羽子板を振って遊ぶ女の子」を観て満足しました。今日は企画展「暗闇夜と眠りのフォークロア―」を観ましたので紹介します。私の生家は寺院だったので夜に怖い想いをしたのは再三ありました。寝床で仰向けに寝ると天井板の節が悪魔の目玉の様に見えました。悪魔が天井にいて天井板の節穴から私を覗き見していて”寝入ったら悪戯しよう!” と見えたのでした。琵琶湖湖北の血天井は雨漏りでできた染みが血糊の址の様に見えたのかも知れません。闇に対する恐怖心が様々な伝説をよびおこしたのでしょう。暗闇とは1,全く光が届かないことそんな場所 2,一目につかない処人の知らない処で「暗闇に葬り去る」と云ったりします。 3、見通しがたたず、将来に希望が持てない事、「病気つづきで先は暗闇だ」等といったりします。光が少ない事への恐怖心は病気や死に結び付けてしまいます。死後の世界を「黄泉」と云って怖れたのは古墳の壁画を観れば現代人と変わらなかった事を知らされます。
此れは福岡県日ノ岡古墳の壁画です。6つの円は太陽で地面からはゼンマイが芽吹いています。
冬が終わって生命が復活する春を希求していたのでしょう。
暗闇を怖れ光を希う人間の性分は近世になっても現代も変わりません。ネブタ祭りも秋田の竿頭祭りも暗闇を克服する灯の祭典でした。
青森ネブタは灯で暗闇を克服する祭典です
秋田の竿頭祭りは提灯を稲穂に模して暗闇を克服すると共に豊穣を祈願する夏祭りです
来週の1月14日は4年振りで大磯の左義長が実施されます。立春の直前に松飾を燃やして厄を払い豊穣を願う祭事は湘南に春を誘う年中行事です。
重要民俗文化に指定されている大磯の左義長は来る1月14日(日)に予定されています。
4年間のお休みで果たして無事に行えるでしょうか?
本題の川崎民家園の企画展「暗闇のフォークロア」は布団や行灯やランプを展示していました。私が期待していたのは「蝋燭」でした、実は今年の4月に友人等と愛媛県内子町に行く予定です。内子町は現代でも和蝋燭の産地で江戸時代に蝋燭の商いでお大尽になった上芳我が居てその屋敷が蝋燭博物館になっているのです。
此れが現在開催中の川崎民家園の企画展「暗闇のフォークロア」です
展示は行燈やちょうちんが多かったのでした。この後ランプが続きました
布団も展示されていました此れは木綿綿で作ったふとんでしたが、藁布団も展示されていました。
此れが藁布団です。屹度良い香りがした事でしょう。
先日NHKの「新日本紀行」で飛騨古川の「三寺参り」を放映していました。内容は200年以上も前から続く独特の伝統風習『三寺まいり』で、毎年1月15日の夜、親鸞聖人のご恩を偲び、町内の3つの寺、円光寺・真宗寺・本光寺を詣でる慣習です。
飛騨古川は明治時代に野麦峠を越えて信州へ糸引きの出稼ぎに行った年頃の娘たちが着飾って瀬戸川の川べりを歩いて巡拝し、男女の出逢いが生まれたことから「嫁を見立ての三寺まいり…」と飛騨古川の小唄にも唄われ、縁結びが叶うおまいりとして全国に知られるようになり、恋の御利益があるということでたくさんの若者が訪れるそうです。
飛騨古川市の中央に真宗の三寺があって小正月に運河沿いに三寺を詣でる慣習があるそうです
三寺に奉納される大蝋燭、一晩中灯る為に巨大です。
蝋燭は明るいだけでなく、拝む人の心臓の鼓動の様に揺らぐので尊いのだそうです。
NHKの新日本紀行では和蝋燭の伝統を守るために三代にわたって蝋燭造りに励んでいる親子がいるそうです。でも原料の木蝋は櫨の木で九州から買っているそうです。飛騨なら幾らでも櫨の木はありそうですが・・・。 【了】