愈々色々在った2023年も大晦日で我が家では12月28日に門松を立て玄関のお飾りも生け花も2024年版に差し替えました。どれもこれも2024年を導いてくれる年神様を迎い入れる為に年神様の依り代に相応しい生命感にあふれた飾りつけにしたのです。”年神様ってどんな神様?”孫に聞かれると私は答えます”年神様はいつでも若々しく元気で正しい行動をとり勇気があって、他人を喜ばすアンパンマンの様な神様だよ”だからアンパンマンの様な人が年神様だよ!誰でも神様になれるんだ”。神妙に聞いて居た孫は「それならアンパンマンだけでなくドラえもんだって神様だね!」言います。

2024年は辰年で年神様も兎年の神様と入れ替わります。年神様て何?聞かれるとアンパンマンだよ、答えています。

歳末になると何でも価格が2割近く上昇します。正月用の生花といえば一段と価格アップします。生活防衛の為にも庭の植物で賄おうと思います。今庭で咲き誇って居るのは冬薔薇ですが今暫く眺めていようと思っています。山茶花は盛りですが椿も含めて花弁が散るので年神様の依り代には相応しく在りません。新しい命を感じさせる事清々しい花であることから南天の赤い実や千兩・万量の実に水汚の花を飾る事にしました。そして赤い実や清楚な花の引き立て役の常緑の観葉樹について考えました。庭にある常緑樹の葉は青木(達磨)に真木に椿です。何れもイマイチです。其処で今年はヤツデの葉を使う事にしました。ヤツデの葉は天狗が手にしている「団扇/うちわ」の様な大きな葉です。有名なのは京都鞍馬山の大天狗や私の生活圏では鎌倉の建長寺半僧坊のカラス天狗が有名ですが、何れも団扇はヤツデの葉で9つに裂けています。

       小田原大雄山最乗寺のカラス天狗、団扇は地上の大風を吹かせる道具でヤツデの葉状で9枚に裂けています。

古都「鎌倉」を巡る(その45): 建長寺(6/7)・半僧坊道~鉄 ...

鎌倉の建長寺半僧のカラス天狗此方の天狗もヤツデの葉状の団扇を手にしています。

処で天狗とは何でしょうか?服装を観れば日本の山伏で赤い顔で高い鼻です。法隆寺や春日大社や当麻寺に残るお面にも赤い顔高い鼻の舞楽面(国宝)が伝わって居ます。西域や吐蕃の異国人の顔を模したものでしょう。其れが古代末期に仏教の地方伝播と共に山伏が地方の伝承の神や妖怪と習合したのでしょう。小田原の大雄山最乗寺も元々は山岳の霊地で在ったモノが仏教を受容して現在は曹洞宗の研修道場になっています。建長寺半僧坊も建長寺が建立する前からあった堅牢地神でした。

元々天狗という語は中国において凶事を知らせる流星を意味するものだった。大気圏に突入し、地表近くまで落下した火球(流れ星)はしばしば空中で爆発し、大音響を発する。この天体現象を天狗(天を駆け巡る犬)と呼んでいたのでした。天狗は天から地上へと災禍をもたらす凶星として恐れられたのでした。中国で怖がられた妖怪が日本に伝播すると日本人は真剣に祭り上げる事で守護神や土地神にしてしまいました。日本の天狗が団扇を持っているのは風神と同じ豊穣の神(風媒花であるお米の収穫をもたらす)

京都の三十三間堂の風神像、フイゴの様な風を起こす袋状の道具が天狗になると簡易な団扇になったのでしょう。

処で12月28日に差し替えた生花ですが、玄関には鏡餅と共に千兩と水仙とヤツデの葉を活けました。念の為葉の裂け目を数えると八つでも有名天狗寺院の様に九つでもない七つ葉でした。

我が家の玄関の生け花、ヤツデの葉は七つに裂けています。

ヤツデの葉は8枚に裂けていなくてもよいのでしょう。八方厄除けとか八方招福の意味でヤツデの名が付いたのでしょう。建長寺半僧坊や大雄山最乗寺の天狗の団扇が9枚なのは9が最高の数字だからでしょう。でも九品仏や九体寺(浄瑠璃寺)の事を想い起こすと総ての人間に福を齎す意味かも知れません           【了】