私達夫婦は2回/月の割合で畑に出ます。昨日(12月26日)も畑に出かけました。畑のある場所は貝殻坂の丘陵地で西側には冠雪した富士山が眺められます。横浜市栄区飯島の旧家が所有していた休耕地が藪になっていたものを友人のS氏が開墾して私を含めて4人に使用まとめてくれました。耕作し始めて既に10年近く経っています。私が脳梗塞で入院した頃に始まりますので、畑作はリハビリの役にも立っています。います。今夏はトマトや鞘豌豆を栽培した後に薩摩芋を収穫し、11月末に薩摩芋の茎や葉を土に埋め込みました。薩摩芋の茎や葉を土に埋め込んだのは「捨てる事も勿体ないし」土中で腐食させて有機肥料にしようとしたのです。処がジャガイモやトマトの茎は早くに腐食してして土に戻ってくれるのに対し、薩摩芋の茎は中々腐ってくれません。掘り起こして埋め戻すのは2度目になります。この作業を「寒起こし」と云い寒風に土を晒す行為を「寒晒し」と呼びます。20坪にも満たない畑ですが、一汗かいてしまいます。「寒起こし」する事は有機肥料を用意する事と共に来年の畑に病虫害の発生雑草の発生を抑制する効果があります。昔父に教えられた農作業です。私の使う道具はっステンレス製の「鍬/くわ」ですが昔は鉄製の「鍬」で重かったのでした。父が使っていたのは土起こし用の「鋤/すき」でした。すき焼きとは農具の鋤を鍋にして牛肉を煮て食べたのでしょう。本来は「鋤焼き」ではなくて「鍬焼き」の筈です。

此れが「寒起こし」作業です、この状態で暫く寒風に晒して病虫害や雑草の発生を予防する作業を「寒晒し」と云います

今夏薩摩芋を収穫した処を寒起こししました。

土を掘り起こすと薩摩芋の茎が出て来ます、葉は既に腐って土に戻っているのですが茎は中々腐敗しないようです。

私の寒起こしの目的は土中に隠れている病虫害の巣窟を天日に晒して来春の野菜栽培を容易にすることと雑草の発生を防止する事ですが、有機肥料を散布する効果も期待しています。其処で我が家でお米を精製した時に出た「米ぬか」を散布して土中に埋める事もあります。

米ぬかを発芽した法蓮草や春菊の根元に播きました

米ぬかを薩摩芋の跡地にも撒いて土に埋めてしまいます

「寒起こし」した場所には「トマト」に「ピーマン」茄子・胡瓜を栽培する計画です。既に鞘豌豆は霜焼けしながらも懸命に生育しています。寒風下に育った苗は春になると逞しく成長して美味しい野菜になるのです。寒起こしすると汗もかいて気持ちいいのですが、土の匂いも鼻腔を刺激してくれます。土の匂いも元気にしてくれるのです。土の匂いは生家の土間にも在ったノスタルジーを想い起こす匂いですが土の中に生きている細菌が作る「ゲオスミン」が発する匂いです。土は内部に微小な空間を有した「団粒」になっていて、細菌は空気中の炭化物を吸収して野菜が必要とする栄養素を供給します。野菜の根っこは水分と一緒に根から栄養素を吸収して美味しい野菜になるのです。地球は4億年前に地質時代に突入して土壌を介した生命の循環を促して来たのです。この真理を仏教では「輪廻転生」と云い最近のマスコミはSDGsを標語に「持続可能な地球環境の回復」を喫緊の課題にしています。良い土壌は「団粒構造」をしています。団粒の表面に土壌細菌が棲息しています。団粒は「土団子」の事で団粒の内部には非常に狭い隙間(毛管孔隙)があります。雨が降ったり潅水を行ったりすると団粒の外側の隙間は大きいので、水が流れ落ち、空気が蓄えられます。団粒内部の隙間には浸透した水が保持されます。これが作物の栽培に適した保水性、通気性、透水性に優れた 「水持ちが良くて、水はけがよい」土の正体です。

団粒は大きな粒(右)と小さい粒(左)があります。土壌細菌は左の小さい粒では活発になれません

右の様な大きな粒である事が大事です。土起こしは右の団粒を促す作業です

此れが自然界の団粒です。正体はミミズのウンコです

団粒を実際に目視できるのがミミズのウンコです微生物が有機物などを分解する時に出す分泌物やミミズの糞などには粘性物質が含まれており、それらが接着剤となって団粒構造が発達しますミミズは歯も無いし目も在りません。多分土壌細菌の発する匂い(ゲオスミン)と水を感知して腐敗有機物を食べてウンコを排出するのでしょう。冬の寒さの中地表に出て来て凍死しています。ミミズの遺体も有機肥料になるのですから死んでもSDGsの主役です。           【了】