8月26日(土)に金沢八景の海の公園に花火見物に出かけた時の出来事でした。市営地下鉄上大岡駅で京急電車に乗り換えました。偶然急行電車に乗り換えました。富岡駅に停車してドアが開くと黒い物体がドアから飛び込ん止まりました。
京急の電車内に飛び込んで来て吊り輪に止まった雀蜂
何と巨大な雀蜂です。屹度吊り輪に好みの匂いが付着していたのでしょう。若しかしたら綺麗な女性のフェロモンが雀蜂(雄)を刺激していたのかも知れません。私の他にも数人のお客さんが闖入者が危険な雀蜂である事に気づいて動揺しましたが、暫し吊り輪に止まった後に開いていたドアに戻って富岡八幡宮の方角に飛び去ってしまいました。屹度駅前に祀られている「富岡八幡宮」の境内に雀蜂の巣があるのでしょう。神社の本殿は庇が深く雀蜂にとっては格好の棲み処なのです。鎌倉の常楽寺の文殊堂には巨大な雀蜂の巣が庇の下にありました。訊くと「厄除け効果」があるのだそうです。その様に聞かされて寺社の庇を観るたびに雀蜂の巣を探すのが癖になりました。我が家の庇にも雀蜂の巣が出来て燐家の主人が注意してくれた時にも「厄除け・魔除けでから、もう季節も進んでいるので危険はありません！」いって庇にブル下げて置きました。
鎌倉市の大船にある「常立寺」左が文殊堂で庇に雀蜂の巣が長く在りました
旧家の軒先に吊るされた雀蜂の巣この模様が雀蜂の名の所以でしょう
埼玉県秩父の小鹿野町法姓寺の般若面、厄除けです、鬼瓦のようなものでしょう。
「スズメバチ」の名は、その体が「雀程の大きさがある」大きさがと云った説と「巣の模様が雀の羽の模様に似ている」と云った説がありますが、どちらも正解でしょう。台湾では 「虎頭蜂」と呼ばれているそうです。その様に聞かされると雀蜂の黒と黄色の縞模様は今年の阪神タイガースの様に王者の風格があります。
今年の阪神タイガースの強さ迫力は雀蜂の様です
雀蜂の一生を追ってみましょう。雀蜂も他の昆虫同様に１年で一生を終えます。成虫の餌は主として終齢幼虫の巨大に発達した唾液腺から分泌される栄養液です。この栄養液は糖分の他豊富な可溶性タンパク質が含まれており哺乳動物の乳に近いモノです。雀蜂の女王蜂は夏の初めに特別栄養を豊富に与えられて英才に育成された巨大な蜂です。普通に育てられた蜂は「働き蜂」になえいます。「女王」を頂点として多数の働きバチたちで構成されたピラミッド型の群れをつくる横浜では９月に入ると新女王蜂が生まれて翌年度の準備が盛んになります。新女王バチの幼虫が育てられるようになると，新しく働きバチが育てらません．そのため，働きバチの数が次第に減少し巣全体が餌不足に陥ると，働きバチは育房から幼虫を引き抜いて肉団子にして他の幼虫に与えます．また弱った幼虫を引き抜いて巣の外に捨てるため，地面にたくさんの幼虫が落ちていることがあります．こうした行動は悪天候で外役活動ができず，餌不足になった際にも起こります．スズメバチのように集団生活をする狩りバチの巣では，幼虫が非常時の食物貯蔵庫としての役割も担っています．新女王バチが相次いで羽化してきます．オスバチ，新女王バチとも，性的に成熟するまでの７～15日間は巣内に留まりますが，晴天の午前中を選んで順次巣を離れ，再び巣に戻ってくることはありません．
交尾は巣の外で行われますが，多くの種では午前中，特定の場所にオスバチが集まって飛び回り，そこへ飛来した新女王バチと交尾します．交尾を終えた新女王バチはその日のうちに交尾をすませ，すみやかに越冬場所へ移動します．越冬場所は雑木林内の朽ち木や土の中などですが，種により異なっています．オスバチと新女王バチが巣を離れる頃には営巣活動は停止し，巣内の働きバチの数も急激に減って冬には巣は空になります．スズメバチの巣の利用はいずれの種類も１年限りで，翌年再利用されることはありません．
中央が新女王蜂です。生まれて直後は飛べますが、新しい巣を用意されると動けなくなって只管働き蜂を生みつづけます
これからは秋になります。一年が過ぎて新しい年を迎えます。寂しさと希望がすり替わる季節です。強い生命力と狂暴な攻撃性から兎角嫌われる雀蜂ですが農業に災いする害虫を駆除し受粉を促進させる益虫でもあります。「怖い」「危険」といったイメージが先行している雀蜂ですが、発生場所によってはとても大切な益虫としての役割を担っています。私は雀蜂も歓迎です。
【了】
