私の生家は茅葺屋根でした。真夏の盆供養に集まってくれたお檀家は長い坂道を汗を拭き拭き登って来られ茅葺屋根の涼しさを激賞されました。日本の民家には茅葺き屋根が最適なのです。川崎民家園には五個荘の合掌造り民家が保存されています。茅葺き民家の心地よさは先ず夏涼しく冬暖かい事そして、茅の香りです。日本人は土壁や茅葺きの醸し出す匂いが大好きなのです。岐阜県白川村の合掌造り屋根の葺き替え工事は度々テレビで放映されます。昔は「惣」と呼ばれる集落の自治互助組織が団結して合掌造り屋根の葺き替えをしていましたが最近では株式会社組織が出来て、国費の補助を受けながら自治組織(惣)を現代化して請け負っているようです。全国各地に分散している文化財の屋根の葺き替えも請け負っていて川崎民家園では年次毎に計画発注を「株式会社藁葺き屋根」にしているようです。美山町には2年前の桜の季節に来て河鹿荘(町営の温泉宿泊施設)に泊まってジックリ桜の季節の民家集落をさんさくしました。ポスターには若い女性が揃いの絣を着て田植えをしていました。訊けば田植えの季節の京都の女子大に依頼して田植えをして貰うのだそうです。水鏡の稲田に早乙女が揃って田植えに勤しむ景色は良いモノでした。

藁葺き民家が150棟も保存されている京都府下の美山町の里山風景

お田植祭(南丹市美山町)

美山町の観光ポスター田植え風景町では観光バスを連ねて京都の女子大生を招いて田植えをして貰うそうです。

2023年は桜の開花が早く美山町も桜は盛りをすぎようとしていました。

4月11日(火)の美山町は観光客が多く出ていました。アジアの観光客は京都に飽きて周辺の鞍馬や美山にあふれ出ているようです。駐車場も満員で車窓から美しい里山風景を眺めるだけです。暫く進むと茅葺屋根を葺き替えている民家が確認出来ました。

右側の民家が茅葺を吹き替えていました。屋根に5人乗って地上では略同数の人が茅を束ねて屋根上の人に手渡していました。

仕上げの大棟工事が残っています。

道路を隔てて反対側に由良川が流れています。由良川が日本海に流れ混む辺りが山椒大夫の昔話が遺されています。その由良川の河川敷に茅を伐採して狩り干ししてあるのです。地産地消は食べ物の事ですが、茅葺き屋根も地産地消なのです。

美山町のダム湖を水源に日本海に注ぐ由良川が周山街道に沿って流れています。

由良川の岸辺に茅の採取場所があって柳の根元に刈り取った茅を干していました。この茅で茅葺き屋根にしているのです。

茅葺屋根は素材になる茅を採取出来る事と、集落の人達の堅い結束があってこそ実現出来るのでしょう。そんな背景が在るからこそ美山町の茅葺民家は美しく日本的なのでしょう。改めて美山町の点景になっている桜(染井吉野や紅枝垂れ桜)が美しくみえたのでした。

紅枝垂れ桜が美しい点景になっている美山町の里山

美山町の町営宿泊施設河鹿荘の食堂から観た美山町の景色

私が美山町営河鹿荘で食べた猪肉の味噌煮込みうどん(1000円)

友人が河鹿荘でたべた鹿肉のカツ丼(千円)

ジビエも茅葺屋根も総てが徹底した「地産地消」でしたSDGs】は既に現代の常識になりました。衣食住総てに渡って地産地消である事がSDGs】に適っている事になります。       【了】