1950年代にフランスで作られたアニメーション。

 物語の舞台は、広大なタキカルディ王国にそびえ立つ目もくらむばかりの高層宮殿。最上階の秘密の部屋には、3枚の絵が飾られていた。美しい羊飼い娘と、煙突掃除の青年、そして、孤独な王の肖像画。娘と青年は、恋をしていた。その仲を引き裂こうとする王。ふたりは絵の中から、逃げ出した。一羽の鳥が道先案内人になり、めまぐるしく続く階段を、どこまでも駆け降りてゆく……。
しだいに明らかになる、宮殿の正体。為政者も、マスコミも、そして民衆も、みんな一緒くたになって天高くそびえる高層宮殿は、世界の支配構造(システム)そのものだった! 
2006年、『ゲド戦記』のスタジオジブリがこの夏に贈るもう一つの映画は、高畑勲、宮崎駿、そしてジブリの “原点”とも言うべき映画『王と鳥』(デジタルリマスター版)。高畑勲は、ディズニーとは全く異なるその表現と、時代を鋭く捉えた隠喩の数々に驚嘆し、「少なくとも、もしそれを見ていなければ、アニメーション映画の道に進むことはなかった」と語る。宮崎駿は、最も影響を受けた作品を聞かれ、「ポール・グリモーの『王と鳥』をあげないわけにはいかない」と答え、その着想を自身の作品に描き継いできた。フランスアニメーション界最大の巨匠ポール・グリモーとフランスで最も愛される詩人ジャック・プレヴェールが作り上げ、若き日の高畑、宮崎の運命を変えた不朽の名作。高畑勲の新たな日本語字幕翻訳とともに、この夏、堂々劇場“初”公開!

7月29日公開予定。