今日読んだラノベです。

講談社文庫

『空の境界』

奈須きのこ

(感想)

久しぶりに書店で見かけたことと、
FGOで復刻イベントをやっていたので。

『空の境界』の文庫を買って読むことにした。
文庫の要領で1300ページもあった。

仕方なく三日をかけて全文を読みました。
読んで最初に想ったのは登場人物の内。

黒桐幹也と式は普通の人っぽい感性なのに。
蒼崎橙子と阿耶宗蓮のような魔術師はめんどくさい。

魔術師の到達点は『根源の渦』に到達することで、
『空の境界』最大の敵の宗蓮もこれを目指す。

映像化された『空の境界』ではバトルシーンばかり
ピックアップされていた印象がある。

しかし原作を読むと、人間の苦悩やどうにもならない
感情や、魔術師の思想など物語は深く突っ込んでいる。

原作を読んだ後だとアニメ作品はちょっと物足りない。
登場人物の語りたいことが少なすぎるのだ。

そうは言うもののラノベ作品ばかり読んでる自分は
思想や苦悩の内容にはほとんど興味なかった。

興味あるのは登場人物たちがどう動いたか、だけだ。
心の内面に興味なく、現実の行動しか覚えてない。
 
 
 
 
 
 
 
 

『俯瞰風景』は巫条ビルの浮遊霊の物語だ。
巫条霧絵という病院にいる末期の患者。

何らかのきっかけで窓の外を見つめ続けた
彼女は人を飛び降り自殺に追い込む悪霊になる。

悪霊という表現が正しいのかは分からない。
彼女の家系は超人を輩出する一族であった。

八人の少女に『空を飛べる』という認識を与えたが
ために彼女たちはビルの縁から踏み出してしまう。

巫条霧絵は黒桐幹也を連れていこうとした。
彼はベッドでうなされることになる。

憑き殺されそうな時、主人公。両儀式は動き出す。
幹也を呪縛から救い出すために巫条ビルへ。

浮遊霊を相手にナイフ一本で闘いにいく。
彼女は存在するものなら何でも殺すことができる。

『直死の魔眼』の持主であったのだ。
浮遊霊に止めをさして、黒桐を救ったのだった。
 
 
 
 
 
 
 
『殺人考察(上)』は黒桐と式の出会いが語られる。
式の一族は代々、超越者を作ってきた。

複数の人格を持つことで、どんな才能であっても
身につけられるという人間を作ろうとした。

両儀とは対極の陰陽図のことである。
それが何の関係があるかは難しくてわからないが。

式はもう1人の男性の人格『識』と生きていた。
二つの人格は対立せず、融和していたようである。

式の抑圧した感情を受け持つ識には殺人願望があった。
式は彼の感情を心の中で何度も殺していた。

人と関わることもなく、もう一つの人格と暮らす式。
そんな彼女に一途に好意を抱く黒桐幹也の姿があった。

幹也の存在により、式と識の間にはズレが生じた。
式は思い悩みながら、彼との関係を考えてた。

巷では連続猟奇殺人事件が起こっていた。
式は夜歩きをして、殺人現場に佇んでいた。

それを目撃した幹也は式の無実の証明のために
夜間張り込みをして、彼女の屋敷の側にいた。

この物語の結末は式が交通事故に遭うと言う
ラストで、猟奇殺人事件の犯人の正体は不明である。
 
 
 
 
 
 
 
『痛覚残留』は浅上藤乃の物語である。
藤乃は不良に地下のバーに連れ込まれた。

警察に訴えず、事件を隠そうとする藤乃に対し、
不良たちは味を占め、凌辱を繰り返した。

あるとき不良が反応の薄い藤乃の背中を
バットで殴りつけた。

藤乃は物体を捻じ曲げる超能力に目覚めてしまう。
そして暴力を振るった不良を殺していったのだ。

彼女は腹部にナイフの痛みを感じながら、
真実を知る人物を次々を殺害していった。

腹部の痛みは更に強くなり、痛みを感じない体質の
彼女は両儀式に出会い、戦いを始めるのだった。

藤乃の腹痛の原因はナイフではなく盲腸炎だった。
式は決着直前に浅上藤乃を殺す気が失せてしまう。

彼女の腹部に潜む病気だけを殺したのだった。
浅上の旧性別は浅神、超越者の一族の一人である。
 
 
 
 
 
 

『伽藍の堂』両儀式は二年の昏睡状態から目覚めた。
そんな彼女の側から別人格『識』は消えていた。

目覚めた彼女は昏睡の中、根源の渦に触れていた。
その影響のためか、『直死の魔眼』に目覚めていた。

現実の光景に耐えられず瞳を潰そうとする式。
目覚めたばかりの彼女にはそんな力はなかった。

目に包帯を巻いた状態で日々を過ごす彼女。
そんな彼女を見守り続けてきた黒桐幹也だ。

魔術師・蒼崎橙子は彼女の元へ変装してくる。
そして式の身辺に警戒を促すのであった。

どういう理由か式の肉体を狙って幽霊がきていた。
地下の霊安室の死体を操り彼女を殺そうとする。

首を絞められた式は硝子窓からゾンビもろとも
墜落して、ナイフを手に戦うことを決意する。
 
 
 
 
 

『矛盾螺旋』小川ハイムに住む少年巴は両親を
包丁で刺して殺してしまった。

彼は毎夜毎夜、母親に心中される夢を見ていた。
震える体のどこからか歯車の音がする。

不良に絡まれリンチを受けている時に両儀式に
助けてもらって、彼女のマンションに来る。

巴はなぜか式に対して強い興味も持っていた。
彼女に対して愛情を抱くまで時間はかからなかった。

巴は殺したはずの母親が町に来ていることに
気づいた。怯えながら矛盾に苦悩していのだ。

両儀式は巴を連れて小川マンションへと行く。
マンションはストレスを感じる内装となっており。

建物自体がねじれているという奇妙な建築物だった。
巴と式は自宅の鍵を開けて内部へと侵入する。

すると両親の姿があり、もう一人の巴も存在した。
母親が父を殺し、もう1人の巴にも包丁を突き立てる。

つまり小川ハイムのこの一室では毎夜毎夜、
巴の一家が心中事件を繰り返していたのだった。

式の元に元凶である魔術師、阿耶宗蓮が現れる。
彼は常人よりも死の線が少ないと言う超人だった。

式は彼を倒そうとするが、相討ちで倒れてしまう。
巴はゾンビの群れに恐れをなし、逃げ出した。

阿耶宗蓮は根源の渦に到達するため、マンションで
『死の蒐集』という実験を行っていた。

このマンションの住人は皆、何らかの形で毎晩死に、
翌日には生き返るという、死と生を繰り返していた。

両儀式が捕まったことにより、黒桐幹也は彼女を
助ける決意をして、行動を始めようとしていた。

それを止め、代わりに動いたのが人形師・蒼崎橙子だ。
彼女はかつて魔術師して修行していた。

阿耶宗蓮はそんな彼女の知己であったのだ。
小川マンションへと行った彼女の前に別の魔術師が現れる。

コルネリウス・アルバという魔術師である。
彼は蒼崎橙子に対して殺意を抱いていたのだ。

コルネリウスは橙子の使い魔の影絵の猫と闘い、
アッサリと負けてしまった。

死ぬ前に阿耶宗蓮が助けにきて、橙子と戦う。
宗蓮は空間そのものを握りつぶして猫を消す。

影絵の猫は映写機によって作られていた。
映写機を壊さない限り、黒猫は不滅であった。

宗蓮の肉体を黒猫は捕食し、橙子の勝利かと
思われた。そんな彼女の心臓を貫いて宗蓮の手が出る。

宗蓮は人形によって複数の肉体を保持していたのだ。
橙子の首を引きちぎり、培養液のガラスケースに入れる。

両儀式のマンションに戻った巴の元に幹也がくる。
幹也は巴の生まれ育った家へと案内した。

そして二人は小川ハイムへと乗り込むのであった。
巴は日本刀を手に、エレベーターで10階へ行く。

幹也は一階でコルネリウスに出会ってしまう。
コルネリウスは橙子の首を潰して挑発してくる。

逃げる幹也を追いかけ、膝の裏に重傷を負わせた。
絶体絶命の彼の前に蒼崎橙子が再び現れた。

優れた人形師でもある彼女は自分の複製を作っていた。
人形は死に迎えると次の人形にスイッチが入るのだ。

彼女の『傷んだ赤』という名前を呼んだコルネリウス。
スーツケースの黒い靄によって食われてしまう。

橙子は宗蓮に対して敗北を認めていた。
だから彼と再戦はせず、式の身体も求めない。

黒桐幹也の応急処置をして彼を連れてマンション
から立ち去ることにした。

巴は式の武器を手に、阿耶宗蓮に立ち向かおうとしていた。
宗蓮は巴に対してある暗示をかけていた。

それは彼が式に対して興味を抱くというもの。
根源の渦に到達するため式の肉体が欲しい宗蓮。

巴を餌にして小川ハイムに式を連れてきたのだ。
彼は肉体は偽物でも心は本物だと思った。

宗蓮に立ち向かいナイフを胸へと突き立てる。
宗蓮を倒すには至らず、巴は消滅してしまった。

無限空間に隔離された両儀式は自力で脱出した。
そして巴の持ってきた日本刀を手に取った。

式と阿耶宗蓮の決戦が始まろうとしていた。
彼女は宗蓮の結界を破壊して、剣の一撃を見舞う。

宗蓮はマンションの中庭へと移動して、小川ハイム
ごと、空間を圧縮して式を殺そうとした。

式は10階の高さから飛び降り、中庭の宗蓮の
肉体に決定的な一撃を食らわせた。

消滅する宗蓮。彼は次世代に復活するという。
根源に至ろうとした魔術師は世界の抑止力により死ぬ。
 
 
 
 
 
 
 
 

『忘却録音』蒼崎橙子はお嬢様学校のシスターから
ある生徒間の事件の調査を依頼される。

在学生であり幹也の妹の鮮花と式が冬休みの学校を
調査する。奇妙なことが一年四組で起こっていた。

生徒の忘れた昔の記憶が手紙で毎日届けられるのだ。
それは生徒たちの刃物の斬り合いに発展する。

鮮花は生徒たちの記憶を収集する妖精の存在に気づく。
あろうことか彼女自身、妖精に記憶を奪われてしまう。

玄霧皐月という一年四組の担任も記憶を奪われていた。
鮮花は調査して、妖精を操る生徒を見つけた。

その女生徒は黄路美紗夜という学園の女王であった。
彼女は自殺した女生徒の復讐を誓っていた。

学園には行方不明になった教師が一人おり、
彼は一年四組の生徒に悪い遊びを教えていた。

援助交際である。女子寮の放火事件である女生徒は
死亡し、その後、その教師も姿を消していた。

幹也は自殺した生徒の調査をしていたが、鮮花は
彼女が妊娠していたという推測に至った。

行方不明の教師は生徒たちに援助交際をさせて、
暴力団から資金を得ていたのだった。

彼女が自殺したことに納得のいかない鮮花。
なぜなら学園はミッションスクールであったから。

キリスト教の教えでは自殺は大罪である。
自殺したものは地獄に落ちるという信仰があった。

それでは女生徒はなぜ自殺を選んだのか?
生徒たちに手紙で圧力をかける黄路美沙夜。

真実が明らかになり、美沙夜は一年四組の生徒を
旧校舎に集めて、放火自殺をさせようとする。

一方、両儀式は魔術師・玄霧皐月と対峙していた。
皐月は神代の言語・統一言語を操る魔術師であった。

式の視覚を奪う言霊を口にして、切り抜けた皐月。
彼は妖精の交換児であり、呪いをその身に受けていた。

呪いは記憶障害であり、記憶の再認が不可能だった。
彼は身体データを元に個人を特定していた。

鮮花は美沙夜に皐月は嘘の記憶を彼女に与えたと教える。
美沙夜は妖精を使役しているようで実は逆だった。

彼女こそが妖精の意思に従わされていたのだった。
鮮花は職員室の皐月の元へ行き問答する。

彼の異常性を確認するとその場を立ち去った。
皐月は女生徒の一人に腹を刺されてしまった。

そして死ぬまでの十分間にこれから何を考えようかと
落ち着いた気分で思考していたのだった。
 
 
 
 
 
 
 
『殺人考察(後)は式の物語の最後の章である。
彼女のゆく先々で猟奇殺人事件が再び起こった。

犯人は阿耶宗蓮によって『起源』を復活させられた者。
彼の起源は『食欲』であり、人肉を食べていた。

彼は式と同じ高校の出身で、薬剤師の息子でもあった。
自分の血を沁み込ませたドラッグを作っていた。

その目的は自分と同じ存在を作ることだった。
ほぼすべての人物は副作用に耐え切れず死んでしまう。

死んでしまった人物を食べて、証拠隠滅していた。
式は路地裏で野宿を繰り返して犯人を追っていた。

黒桐幹也もまたドラッグを追いかけていた。
連続猟奇事件の容疑者に式の姿が浮かんでいた。

その容疑を晴らすため、目撃情報を探した。
幹也はその末に、かつての先輩を見つけた。

彼は起源を呼び起こされ、殺人鬼となっていた。
幹也の同情を誘う言葉を口にして立ち去った。

両儀式はついに殺人鬼の前へとやってきていた。
殺人鬼を殺そうとするも幹也の言葉を思い出してしまう。

幹也は式が殺人をすることを許さないと言った。
動きの止まった式は殺人鬼に気絶させられ拉致される。

幹也は港の倉庫街へいき、殺人鬼と対峙した。
彼は幹也も自分の同類にしようと考えていた。

特殊なドラッグで彼の起源を呼び起こすのだ。
拒否した幹也は傷つけられ、左目を負傷してしまう。

殺人鬼は拉致した両儀式の元へ行き、幹也を殺したと
伝え、式は指をちぎって手錠から逃げ出した。

両儀式はこうして殺人鬼相手に最初の殺人を犯した。
幹也は彼女を許さない。一生側にいることを決めた。