『東京バッティングセンター』木下半太 | エンタメジャンキー記録。映画、マンガ、小説など消費したソフトの感想。

『東京バッティングセンター』木下半太

著者の前作のうち

『悪夢のエレベーター』

『悪夢の観覧車』

この2作は、いずれもシチュエーションスリラーの傑作で、映画化権争奪戦がまきおこった

同シリーズ『悪夢のドライブ』は、タランティーノ風の犯罪コメディで、まあまあな作品だった


4作目にあたる本作は

吸血鬼ホストが復讐代行屋になって奔走するという話
(復讐といっても、たちの悪いイタズラ程度)

ジャンル分けするとたぶんコメディになるだろう


劇団主宰&劇作家をつとめる著者は、現代の感覚でセリフを書ける数少ない作家のひとり

とにかく会話の描写が非常に上手いのである

ミステリー作品の会話描写には

「こんなこと絶対言わないよな」

…と、妙な違和感を覚えるものも多いが

著者は、喋り言葉で登場人物たちの個性を巧みに描き分けて、見事にキャラ立ちさせてみせる

文体はコミカルかつシニカル

ちょっとクセのある語り口だが個人的にはジャストで

読み出したらスイスイ進み、一気に読み終わってしまった


ただ、惜しむらくは

肝心のストーリーが面白くない

前シリーズに比べると物語としての完成度が、ガクッとレベルダウンした感は否めない


文章は面白いんだけどストーリーがつまらない作品

というのが率直な感想だ


以下、ネタバレにつき

これから読む人は絶対見ちゃダメ!


それにしても…

このラストはないだろ!

夢オチかい!


正直がっかりなラストだ

小説で夢オチを「あり」にするには、叙述トリックの伏線をいかに迷彩するかが腕の見せどころ

実は夢でした…と読者を騙すんだから

いかに騙したか

その騙し方自体が問われる


鮮やかに騙された夢オチ成功例は、映画『オープン・ユア・アイズ』

なんじゃそりゃ!とがっかりさせられた失敗例は、漫画『ハイスクール奇面組!』


あまりに唐突な夢オチで物語を結んだ本作も、残念ながらがっかりの部類に入る