珍しく真面目な日記を書く。
すり鉢路面や算盤路面は、ヒヤヒヤの連続。うちの会社は古い住宅街に位置しているが、スプロール状態の分譲を重ね、生活道路の狭さは致命的である。除雪すらままならない。
すり鉢路面で対向車と睨みあったまま、配車依頼の時間が来ると、配車室の無線も苛立ってくる。先方は道路状況を先刻承知だが、やはり客商売と言うものはそういうものだ。
比較的広い道路でも、暖気の昨日は算盤路面になり、運転手としてはお客様が車内で怪我をされないように、気が気ではない。「急いで」と言われても無理な注文、急いだふりをして揺れやスリップを最小限に抑えることが、結果的にタイムも短縮するのだ、と二種の教官も言っていた。
とかく冬道はストレスフルではある。下車して帰宅すると、もう疲れ切っている。
昨日は久しぶりに本社へ顔を出した。社長から「あそこはのんびりしている、いやし過ぎているからな。こっちに帰って来た時に困るから、あまりペースに染まるなよ。そのまま順調に売り上げを伸ばしてくれ。」と釘を刺される。
なぜ本社へ顔を出したか。明け休みにタクシー協会で行われる講習の手続きのため。駅や空港のモータープールに入って客待ちをするには、講習を受けて許可証を取得する必要があるのだ。
少しずつステップアップ。何とか予定の三年、無事務め上げたい。そのためには断酒をはじめとするケアを重点に。セカンドオピニオンを勧めてくれた歌友に感謝、である。
社長は「この成績なら定年までトップでやれるんだからな。三年と言わず、ずっと頑張れよ。相談にはいつでも乗るからな。」と言って下さるが、それには私がどこまで治療を継続できるかに掛かっている。
昼、業務関連の接待(忘年会)に向かう所長を乗せた。私の運転を見たいという意図らしく、指名だった。
「この時間、無線でなく流しで近辺にいるからな、君は。運転は問題ないから、この調子でな。今日昼はあまり乗せていないみたいだが、夜に挽回しろよ。」
所長の檄が効いたのか、その後夜の本町界隈でノルマを達成することが出来た。車庫に戻って来た私を、強面の配車長は珍しく笑顔で迎えてくれた。
シフト代わりの三連休だが、とりたててすることがない。大雪だし、雪かきをしていれば一日はあっという間。

13日は午前中カウンセリングへ。紹介状を出してもらう。
夕方からカネ〆柿崎そば店にて青森ペンクラブのペンサロン。 二次会はともこ。その後私はひとりでねぶたへ。
14日は結社の合同歌集出版記念会が長野県下諏訪町で行われたが、私は交通費と宿泊費が捻出出来ず早々に欠席を届け出ていた。
投票後、青森まちなかおんせんへ。サウナと水風呂を行ったり来たり。羽生選手の演技はサウナの中で観ていた。
選挙に関しては、8→21。しかし得票率約10%なら少なくともこの倍はないといけない。
今日は紹介状を持って診察へ。人格のくずれはアルコール依存症の可能性大と言われ、シアナマイドが出される。妄想に関しては統合失調症を疑われ、脳波異常はなかったが経過観察することとなった。これから三年の勤務は可能かという問いには否定的な見解が出された。確かにそうかも知れない。
夜、まんぶるずへ行く予定。クモノコチラスとコスモスが楽しみ。ただし翌日乗務のため飲酒不可。

明日からは遅番勤務。選挙も終わり、そろそろ忘年会の人出も増えるだろう。
雪をとかす人を待っていた
何人か名乗りをあげたが
結局雪はとけなかった

万年雪と化した心は
やがて氷河となって
渓を削るだろう

海という大いなる死へ向けて
悠久の時を経て進んでいく
夥しいモレーンを引きずりながら

力尽きた悲しみの欠片は
氷山となり流氷となって
さいはての海を漂うのだ

深いフィヨルドを渓に遺して


※「アナ雪」に対する私なりの些細な反論です。ちなみに詩は村次郎「忘魚の歌」から着想を得ています。
仕事は思いの外順調。疲労から体重は減少の一途(ついに前月比マイナス10キロ)だが、とりあえず充実していると言ってもいい。
歌が詠めなくなった。ある程度充足してしまうと、感興は歌にならないようだ。私の場合、欠落感や不全感がモチーフなので、致し方ないとも言える。
恋愛も大切なモチーフだったが、恋をすると持病のうつに付随する、妄想や認知の歪みが悪化するため、今回の失恋を機に恋はしないと決めた。片思いだった女性もいたが、今はラブをリスペクトに置き換えてそれ以上踏み込まないことにしている。
男性のみの職場でもあり、女性に会う機会が大幅に減ったことも嬉しい。煩悩の種は端からない方が望ましい。
ちなみに、最近詠んだ歌は一首しかないが紹介。

色恋はすっぱり棄てて今日からは手取り拾萬男の職場

そのため、今月の結社誌詠草には苦戦した。「アカの子と呼ばれて」という境涯詠だが、踏み込みの浅さを感じるためブログアップはしない。代わりに後日来月の詠草「自由律で詠むわたしの四季」をアップする予定。
※偽日記と銘打ったものの、今回は素の私の日常だったりする。大サービスで虚飾なし(笑)。

二回目の出動が終わった。無線配車なしで他の人の半分程度の売上なら、デビューにしては上出来とのこと。
「まあ、無線配車が受けられるようになったら、俺の首が危ない(笑)。お前若いしさ、メンバーの中じゃ俺と並んで一応二枚目キャラだし(笑)。」とは先輩のジョークだが、期待はひしひしと感じる。
「そのために一台しかないプリウスを預けたんだ。しっかりやれよ。年末、しっかり稼げ。」
早番出勤は所長が送って下さるが、帰りは徒歩。二日の平均は40分。
「そのうち痩せるさ。鍛えてないお前にはもってこいだろ。春になって足腰が鍛えられたら、釣りや山菜とりにつきあえ。お前の短歌とやらにもいい効果が出るぞ。」
「こらこらお前ら、俺の地元の山を荒らすんじゃない(笑)。キムさんには、俺が教える。」
「所長~!(一同爆笑)。」
「キムさん、ほれ。」
所長が私に放ったのは今日の夕刊。うちのグループけやきの会の短歌が載っていた。
「彼は一歩ここを出ると、先生って呼ばれてるんだ。だがここは職場、お前らが先輩で先生だ。みんな、きっちり鍛えてやってくれ。この業界じゃ、彼は所詮ドシロウトだからな。たのむぞ。」
ちなみに所長は私が管理人を務めるねぶた団体の幹部(扇子持ち)。親友のお父さんなのだが(平たく言うと縁故採用)、怯えつつ尊敬している。
「今度、キムさんが通う店に挨拶にいかんとな。今年、提灯二本出してくれただろ。戻り囃子の時、店の女将さんたち、沿道に飛び出して来て、俺たちに手を振ってくれてたよな。」
「所長、覚えててくれたんすか!」
「当たり前だ。大切なスポンサーだからな。ついでにキムさんの素行調査を兼ねて(笑)。」
「人が悪いっす(笑)。」
という訳で時には笑い、時にはこっぴどく叱られつつ過ごしている。
こういう男の職場は大好きだし、こういう職場だからこそ、自分が活きると感じている。