今朝の配達を詠む。

雪の朝 配達出る前「ヨッコラショ!」 小一時間ばかりママさんダンプ押す

除雪車が間に合わぬ午前4時 自転車を担いで小路を抜ける

吹き溜まりで立ち往生し自転車を担ぐ ふと口ずさむ「雪の進軍」

※「雪の進軍」は雪中行軍を揶揄した大正時代の戦時歌謡。軍部から放送禁止処分の憂き目にもあった。歌詞は最後に。

Chaos and Creation in the Backyard-SN3S0198.jpg
(今朝の雪と愛車)

氷点下5度地吹雪猛爆 自転車配達は冷や汗をかきつつ

除雪車やダンプに邪魔にされ車道を走る 歩道の上には足跡もなく

ブレーキが効かず焦る信号 橋の上下はサラサラの雪

配達先の手前に除雪車「迂回せよ」の指示 「こっちも仕事だ!」と作業員に噛みつく

市民総出の朝の雪かき「ずんぶ降ったねし」 労いながら新聞を渡す

凍れる朝 橋を渡れぬ他県ナンバー コンクリートミキサークラクション止まらず

時間内に配達を終えホッと一息 自宅近くのコンビニでコーヒー

以上10首、推敲・合評後「波止場」101号に掲載予定。基本的にこんな感じでアドレナリンと歌心に任せて詠むのが私の作風。

さて、ここで「雪の進軍」の歌詞をどうぞ。

1
雪の進軍氷を踏んで
どれが河やら道さえ知れず
馬は斃れる捨ててもおけず
ここは何処ぞ皆敵の国
ままよ大胆一服やれば
頼み少なや煙草が二本

2
焼かぬ乾魚に半煮え飯に
なまじ生命のあるそのうちは
こらえ切れない寒さの焚火
煙いはずだよ生木が燻る
渋い顔して功名噺
「すい」というのは 梅干一つ

3
着の身着のまま気楽な臥
背嚢枕に外套かぶりゃ
背の温みで雪解けかかる
夜具の黍殻しっぽり濡れて
結びかねたる露営の夢を
月は冷たく顔覗き込む

4
命捧げて出てきた身ゆえ
死ぬる覚悟で吶喊すれど
武運拙く討死にせねば
義理にからめた恤兵真綿
そろりそろりと頚締めかかる
どうせ生きては還らぬ積り

悔し紛れに今年1月の豪雪に良く唄った。気分は「小沢昭一的こころ」。青森の新聞配達員の辛さ、ちっとはわかってくれるかな?