現在30歳(人間だと60歳くらい)のジム。和歌山県太地町で捕獲され、ここに来て25年以上になる。捕獲の際に腹部についた大きく白い傷痕が彼のトレードマーク。

マリン引退後ショーの主役だった。得意技は豪快なスピンジャンプ。一昨年白内障を患い引退しいるか館で過ごしている。いまだやんちゃな彼は、サッカーボールで天井に孔を空けたりしている。

私は悲しいことや辛いことがある度に、水族館に足を運んでいた。当時ショーの主役はジムだった。イルカは気配を察知する能力(エコロケーション)に長けると先の記事で書いた。両親の介護で途方に暮れていた時期など、イルカ達が私から離れないこともあった。

折角の機会だからジムにお礼が言いたい、出来るだけ近くで。

トレーナーさんに促され、私はおそるおそるジムの胸ビレに触れる。シュノーケリングで使用する足ヒレのようでラバーに限りなく近い感触。しかし確かな温もりを感じる。イルカの体温は36~37度、実は人間とほぼ同じ。

「もっとしっかり触っていいですよ」とトレーナーさん。

「意外としっかりした皮膚で、しかも体温も伝わって来ますね…」と私。

もう少し気の利いた受け答えをしたかったのだが、これ以上話したら涙がこぼれる。伝わって来たのは、実は体温だけじゃない。

「ジム、いつもありがとう。これからもよろしくな…」そう言って私はジムの手を離した。

握手会が終わり、間もなく三頭のお食事タイムが始まった。今日のプールサイドは親子連れで鈴なり。好奇心旺盛なさくら&おはぎは、子供達が来るとものすごく喜ぶ。水槽下の窓で子供達とじゃれている。

お食事タイム終了後、私は温泉にも入らず11時50分のバスで戻る。昼にY君が太鼓を返却に来るのだ。12時40分NTT下車、滑り込みセーフ。ガレージに太鼓を戻し、寝不足の私はここで撃沈。最高気温27度、浜風そよそよ。

気が付いたのは、愛好会の囃子方が太鼓を取りに来た17時。搬出を手伝い、蜆貝へ練習に向かう囃子方を見送る。

18時、退院して間もない叔母を訪ねる。ずいぶん採血・注射が下手だったようで、針痕が腫れて痛々しい。市民病院での話を聞き、ヘルパーさんのケアプランを熟読して帰宅。

20時30分、囃子方が帰って来る。搬入を手伝いつつ、来週のねぶた台上げ作業を打ち合わせ。

さて明日は岩手県野田村の仮設住宅へ復興ボランティア。被災地の現状を目と心に焼き付けて来たい。