鹿角市内にはまだ5キロ以上ある。放置したらガソリンに引火し爆発炎上。一刻の猶予もなかった。

叢を掻き分け沢の下り口を見つけ出した。あとは水を汲んでひたすら車軸を冷やして消防車が来るまで時間を稼ぐ。総出の「バケツリレー」を展開。

私は水を車軸にひたすら水を掛けながら、通過する車両を交通整理し、二次災害を防ぐ。

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何とか発火点以下に車軸の温度を下げた所に、消防車とパトカー到着。とにかく最悪の事態は避けられた。

事情聴取は団長と運転手に任せ、団員さんには2キロ下の坂比平集落への徒歩下山を命じ、私は団員さんの荷物を消防車に積み込み先回り。

集落入口のコンビニ(アオサワさん、地元消防団の皆さん、お世話になりました)を借りて荷物を下ろし団員さんを待ち受ける。

20分後団員到着。店内で待機してもらい、代車が弘前から到着するのを待つ。その間レッカーやら事情聴取やらに応じ、団長と運転手が解放されたのを待って代車にて青森に向かう。

「あなたをスカウトして、本当に良かった」と口々に言われたが、こういう緊急事態はとにかく経験が生きる。私が現場主義に徹するのはそのためだ。しかしまさに「火事場のクソ力」。

東北道に乗るあたりで団員さんと相談し、運転手さんに緊張を解いてもらうため、花輪SAで夕食&土産休憩を摂ることにした。私はカレーライスを注文。

席上ベテラン団員のTさんご夫妻から、アコーディオンを習うよう勧められる。予てから楽器を覚えたかった私は快諾。

運転手さんも落ち着きを取り戻し、無事弘前大鰐ICへ。弘前の団員さんに別れを告げ、我々青森の団員は青森中央ICで降りマイクロバスを返却。自家用車に分乗して帰宅。

私は着替えていつもの銭湯へ。相方や水道部OBのSさん(前住地の副町会長)と車両火災をネタに談笑してようやく落ち着く。相方の体調は回復し顔色が良くなった。

「これがきっかけで、ガン化する前にポリープが取れるんだから、ラッキーだと思いなよ」と言ったら、相方は深くうなずいた。

車両火災も同様で、これを機に団員の結束や信頼が強まったなら、災い転じて福となるはずだ。不肖常任指揮者を引き受けた甲斐があったのだろう。

帰宅して晩酌。土産で買った八幡平の山野草の本を開き、ハイボールを口にしたら、疲れがドッと押し寄せて来た。