さて、第二部最終曲は「サーフズ・アップ」です」。1967年5月、ブライアンは「スマイル」の製作中止を決断しました。その際、この「サーフズ・アップ」がボツにされるのが悲しく、思い余ってマスターを廃棄しようとしたほどの曲です。製作途中にかのレーナード・バーンスタイン氏が自らの番組の中でこの曲を紹介、「スマイル」の伝説化に拍車をかけたのでした。当時の番組映像がこれです。

1973年ビーチボーイズは「ランドロックド」というアルバムを製作しますが、ワーナーはヒット性がないと理由で「サーフズ・アップ」の収録を要求。ブライアンの反対を押し切り、当時の未完成部分にカールらが手を加えました。アルバムはそのものズバリ「サーフズ・アップ」に改題され、そこそこのヒットを記録しました。今回はそのアルバムバージョンに準じ、コーダ部に「チャイルド・イズ・ファザー・オブ・ザ・マン」のコーラスを交えています。

そして第三部。ここからは「ジ・エレメンツ」と題された西洋的世界観に基づいた曲が並びます。
第一曲目は「アイム・イン・グレイト・シェイプ~アイ・ワナ・ビー・アラウンド~ワークショップ」のメドレーです。
4分の3拍子に変奏された「英雄と悪漢」のメロディーから始まる「アイム・イン・グレイト・シェイプ」。実際は「英雄と悪漢」の一部として作曲されたものです。1967年当時キャピトルが印刷した「スマイル」のジャケットには独立した歌として表記されていましたが、長らく存在が確認されませんでした。1995年「エンドレス・ハーモニー」に、当時のデモテープがあり、その中で曲の一部が公開されました。後にブートで当時のトラックが数パターン発掘されました。
「アイ・ワナ・ビー・アラウンド」は、ブライアンのルーツでもあるジャズのスタンダード。大工作業の効果音である「ワークショップ」は、再建を意味するものなのだそうです。この二曲は長らくブートのみで聴けたものです。
第二曲目は「ベガ・テーブルズ」。1967年の「スマイリー・スマイル」では、「ベジタブルズ」(P.マッカートニーも参加)と表記されていましたが、こちらが正式なタイトルです。ボックスセットでも聴けた「ママ・セッズ」(1967年の「ワイルド・ハニー」に収録)とのメドレーです。西洋古来の世界観では、我々の住む世界を構成する要素(エレメンツ)を「地・風・火・水」と表します。その「地」にあたる曲です。