さて、これは56手目、封じ手の局面。ここから▲1五歩△同歩▲4五銀△4四歩▲2五歩△1三銀▲1二歩とスラスラ進んでいる。

封じ手に関しては、竜王は比較的手の広いこの局面を選択した所からも、駆け引きとして重視している(指し掛けの夜に相手を眠らせない)が、名人は意に介さないタイプだから、効果はあったのかどうか。このあたり両者の考え方の違いは、「イメージと読みの将棋観」155ページ以降に詳しい。

封じ手▲1五歩は副立会人の久保八段の予想。確かに端攻めが前提なら▲4五銀も通じる(手順前後は利かない)。宮田新手の2一玉を咎める意図だ(1筋の歩の連打が受けにくい)。ただ立ち往生の銀がいるので、微差リードとはいえ竜王も忙しい局面ではある。

竜王は端から猛攻、名人はひたすら受け、あわよくば入玉を目指す展開だ。昼過ぎに大勢は決するだろう。名人は「時間攻め」に逆転のポイントがある。