それでは、今日のBGMであるブライアン・ウィルソンの「スマイル」について。出典はウィキペディアより。
「スマイル(Smile)は、ザ・ビーチボーイズが『ペットサウンズ(1966年)』の次にリリース予定だったアルバム。ロック史上の未発表アルバムの中でおそらく最も有名である。ブライアン・ウィルソンは2004年8月に同名のCDを37年ぶりにリリースした。
『ペットサウンズ』Pet Sounds の製作中に、ブライアン・ウィルソンは、犬が人々から「振動」を感じることができるという彼の母親オードリー・ウィルソンの言葉から、新しい曲の制作を始めた。結果はビーチ・ボーイズのナンバーワンヒット・シングル「グッド・ヴァイブレーション」となった。同曲は当時最も価値があり複雑なレコーディング技術によって録音され、技術史上のマイルストーンとなっている。続いてブライアンは「神へのティーンエイジ・シンフォニー」と呼んだアルバムの制作に取りかかった。アルバムにふさわしい曲を録音するため、風変わりなサウンドと「グッド・ヴァイブレーション」を成功させた革新的技術が使用された。アルバムは、『ダム・エンジェル』Dumb Angel と名付けられたが、すぐに『スマイル』と変更された。
『スマイル』の収録セッションはブライアンと、セッションミュージシャンであり作詞家でもあるヴァン・ダイク・パークスとの共同作業となった。彼らは「サーフズ・アップ」「ワンダフル」「キャビネッセンス」「ウィンド・チャイムズ」と言った多くの曲を共作した。
(レコーディングは)ブライアン主導で進められ、コーラス以外の全てのパートがブライアン、および「レッキング・クルー」と呼ばれるスタジオ・ミュージシャンたちによって収録された。レコーディングおよび作曲では、前作『ペットサウンズ』のレコーディング末期に「グッド・ヴァイブレーション」で試みられ成功した手法が全面的に採用された。その手法とは、「フィールズ」と呼ばれる楽曲の断片を多数収録しておき、それらを繋ぎ合わせて1曲とするものである。マスターテープが完全な形で保存されておらず正確な数は判明していないが、後年ブートレグによって膨大な量のフィールズ(すでに繋ぎが完了しているものも含む)が収録されていたことが確認されている。この手法では異なる曲に同じフレーズを登場させること(クラシックにおけるモチーフ同様の用法)が可能であり、当初からコンセプト・アルバムとして製作された本作において、サウンド面でも統一感を持たせる効果が期待された。しかし一方で、相当の集中力と創造力、さらに神経の細やかさが必要なのは想像に難くなく、結果的にこの手法自体が製作中断の大きな要因となってしまう。
『スマイル』は発売中止となり、収録が予定されていた曲のいくつかは、『スマイリー・スマイル』に流用された。また、「キャビネッセンス」は『20/20』で、「サーフズ・アップ」は『サーフズ・アップ』で流用され、コンセプト・アルバムとなる予定だった『スマイル』は、バラバラな断片となってしまった。」(以上引用終わり)
その後、ブライアンは発売中止のショックから、精神疾患の悪化とドラッグに冒され、グループの第一線を20年以上にわたって退いた。かような経緯を経て「お蔵入り」したスマイルだったが、2004年、リーダーのブライアンは、ソロ・ツアーのメンバーらのすすめもあり、37年ぶりにこのアルバムの完成版を製作することを決意する(既にグループは有名無実であり、ブライアン自体がおいのマイク・ラブとの訴訟問題を抱えていたのも、ソロとして発表する原因であった)。
しかし、この「完成版」ですら、アルバムに盛り込めなかった多数の曲や断片の存在が確認されていて、真の意味での「完成版」ではないとする意見も根強く存在する。
(アルバムの収録曲)
- アワ・プレイヤー/ジー - Our Prayer/Gee(Brian Wilson)
- 英雄と悪漢 - Heroes And Villains(Brian Wilson/Van Dyke Parks)
- ロール・プリマス・ロック - Roll Plymouth Rock(Brian Wilson/Van Dyke Parks)
- バーンヤード - Barnyard(Brian Wilson/Van Dyke Parks)
- オールド・マスター・ペインター/ユー・アー・マイ・サンシャイン - Old Master Painter/You Are My Sunshine(Haven Gillespie/Beasley Smith)/(Jimmy Davis)
- キャビン・エッセンス - Cabin Essence(Brian Wilson/Van Dyke Parks)
- ワンダフル - Wonderful(Brian Wilson/Van Dyke Parks)
- ソング・フォー・チルドレン - Song For Children(Brian Wilson/Van Dyke Parks)
- チャイルド・イズ・ファザー・オブ・ザ・マン - Child Is Father Of The Man(Brian Wilson/Van Dyke Parks)
- サーフズ・アップ - Surf's Up(Brian Wilson/Van Dyke Parks)
- アイム・イン・グレイト・シェイプ/アイ・ウォナ・ビー・アラウンド/ワークショップ - I'm In Great Shape/I Wanna Be Around/Workshop(Brian Wilson/Van Dyke Parks)/(Johnny Mercer/Sadie Vimmerstedt)/(Brian Wilson)
- ベガ-テーブルス - Vega-Tables(Brian Wilson/Van Dyke Parks)
- オン・ア・ホリデイ - On A Holiday(Brian Wilson/Van Dyke Parks)
- ウィンド・チャイムズ - Wind Chimes(Brian Wilson/Van Dyke Parks)
- ミセス・オレアリーズ・カウ - Mrs. O'Leary's Cow(Brian Wilson)
- イン・ブルー・ハワイ - In Blue Hawaii(Brian Wilson/Van Dyke Parks)
- グッド・バイブレーション - Good Vibrations(Brian Wilson/Michael Love/Tony Asher)
もしこのアルバムが、思惑通りビートルズの「サージェント・ペッパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド」に先んじて発売されていたら、おそらくロックの歴史は大きく変わったであろうといわれる名盤である。