8月12日放送のエンディングナンバーはcero(セロ)の「Summer Soul」でした。


cero



同曲は今年5月に発売された3rdアルバム「Obscure Ride」(オブスキュアライド)=写真=に収録。素晴らしいアルバムだったので、「Summer Soul」もこの時期に流すことができて良かった。


と、いう事で。久しぶりのアルバム勝手にライナーノーツです。要は「Obscure Ride」の良さを熱く書きまくるコラムです。



ceroは西東京出身の高城晶平(Vo&Gt&flute)、荒内佑(key&sampler&bass)、橋本翼(Gt&clarinet)の3人組。バンド名のceroはContemporary Exotica Rock Orchestra(コンテンポラリー・エキゾチカ・ロック・オーケストラ)を略したもの。2004年に結成し、2011年に1stアルバム「WORLD RECORD」、2012年に2ndアルバム「My Lost City」を発表。レコーディングやライブはサポートメンバーを加えた編成で行っている。


「Obscure Ride」リリース時に音楽専門誌などで特集が組まれるなど、音楽性の高さが注目されている。正直、今まで彼らの楽曲を聞いたことがなかったのでインタビューや評論文を読むと、ブラック・ミュージック、スティーリー・ダン、シティポップス、小沢健二というキーワードがあったので、それらをイメージしていたが、ちょっと違った。


たしかに6曲目の「ticktack」の早口に歌うフレーズや9曲目の「DRIFTIN’」のイントロは小沢健二、10曲目の「夜去」や12曲目の「Narcolepsy Driver」のサックスとエレキピアノの音色はスティーリー・ダンの影響と思われる部分もあるが、基本のサウンドは60年代から70年代のゆったりとしたブラック・ミュージックの要素が強い。ヴォーカルも楽曲の世界観に合わせて低音やファルセットを使い分けており、それらにさまざまなエッセンスを乗算した結果、○○っぽいバンドではなく、ceroにしか奏でられない(ナイト)ライフミュージックに仕上がっている。



彼らの出身地・東京といえば、高層ビルなどきらびやかな建物があり、人々も華やか、一方で孤独を抱えた人々が集まっている街、というイメージを私は勝手に抱いているのだが。歌詞を読むと、そういった匂いはほとんど感じない(西東京出身というのも若干影響しているのか?)。アルバムでは、どこかの深夜バー、駅、路地裏などで起こっている風景を切り取ったスケッチのような歌詞が多い。しかも、主観的ではなく客観的なので、彼らは多分、こんな風景を見ながら生活しているんだろうと受け取り、リスナーも地元っぽい風景があると共感できるところが多いのでは。



車の運転中、CDが聴ける飲食店や雑貨店、スマホに取り込んで散歩しながらなど、どんなシチュエーションにも適している(ナイト)ライフミュージック。もちろん、自宅のCDコンポでじっくり聴くのもお薦め。まずは一聴。



エフエム岩手釜石支局 千葉東也