9月17日(土)に発行された復興釜石新聞第27号。
 全6ページ、1面と6面はカラー印刷です。
 
釜石新聞
 1面は、橋野高炉跡で石垣のずれと剥離を確認、仮設住宅運営センターの開設、鵜住神社の鳥居復元などの記事が掲載。
 注目は、平田仮設住宅に市内で初めて自治会が設立という記事。
 同住宅は6月中旬、釜石市平田の旧県立釜石商業高校周辺に建設。
 平田地区の約70世帯のほか、唐丹町や嬉石町、鵜住居町など計200世帯が入居。ごみ出しや駐車場の使用など住宅環境改善についてルールを決める必要性が出てきたことから、自治会を急いだ。
 自治会設立に向けた話し合いには入居者約70人が出席。
 平田町内会と同仮設住宅自治会の会長を兼ねる前川輝夫さんは……、
 
「さまざまな地区から仮設に入っている人たちとの融合をはかりたい。楽しく、明るく、ほほ笑み合えるコミュニティーをつくりたい」
 
 ……と述べた。
 
釜石新聞
 2面は、10月30日に釜石市甲子町大橋の旧釜石鉱山事務所周辺で開かれる第2回仙人峠マラソン大会の詳細を掲載。
 同大会は、仙人峠道路の開通で国道283号の旧道交通量が激減した釜石市甲子町の西部地区の活性化を図ろうと、沿岸広域振興局を中心に実行委員会を組織し、昨年10月31日に初開催。
 箱根駅伝の山登りコースに匹敵する急こう配を売りものに参加を呼びかけ、全国から約700人が参加した。
 今年度はゲストランナーに、日本陸連理事の瀬古利彦さんとヱスビー食品所属の国近友昭さんを迎える
 コースは17・2キロの峠コースと、高低差が緩やかな10キロの2コースを設定。
 峠コースは午前10時15分、10キロコースは同10時25分にスタート。
 
釜石新聞
 3面は、藤枝宏さんのエッセー「かまいし便り」。
 今回はJR釜石線の大橋駅。
 かつては赤いトタン屋根の鉱山社宅が立ち並び、急行も止まっていたが、今は社宅もなくなり、駅舎すらなくなりひっそりしている。
 
「紅葉が始まると仙人峠ばかり注目されるが、大橋駅周辺のこの風景も味があって捨てがたいものです。『鉄のふるさと釜石』の原点がここにあります」
 
 ……と記している。
 
釜石新聞
 4面は、津波に耐えて開花した大渡町のサクラを掲載。
 場所は、釜石市東部市街地の入り口、大渡橋たもとの橋詰広場。
 大震災の津波をかぶったが、大幹は耐えて根元の基礎も残った。
 同町の工藤精肉店の工藤正巳社長は……、
 
「ここは象徴的な場所。(大渡以東の市街は)津波でコテンコテンにやられた。6割以上の建物が撤去を待っている状態。花を見て、『木は助かるかもしれない』とみんなが思った。われわれの生き抜く希望を呼び起こしてくれる。木が生き残り、来年春に満開の花が咲くことを願う」
 
 ……と語った。
 木は根元の土壌に残る塩分で弱っているという。
 一時は葉も落ち、今も色やかたちが不自然。
 市では土の塩分を薄めるため、水遣りを続けている。
 
釜石新聞
 5面は、北海道大学法学研究科教授の吉田邦彦氏が「居住福祉法学から見た『釜石災害復興の希望』の道筋と諸課題」と題し、被災住居の支援のあり方、産業・営業補償の必要性、被災都市の再生の方途―などを掲載。
 あとがきとして……
 
「東日本大震災で20兆円以上もの予算が使われるが、予算項目の優先順位を上げることが重要。そして被災者の意見を十分に聞くのが民主社会というものである。神戸震災の時は10兆円の公金が使われたが、土建国家的予算に流れて、被災者の住宅再建や生活復興には回らなかったというのは、悪しき前例である。今度こそは被災者の居住福祉という生活関連予算の順位を高くして、前車の轍を踏まないことを念じる」
 
 ……とまとめている。
 
釜石新聞
 6面は、カラーで釜石市のまちづくり検討体制・これまでの取り組み、今後のスケジュールを掲載。
 
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