がっつり広場

 東日本大震災から3カ月後の6月11日、釜石市大町の青葉ビル前の広場でイベント「がっつり広場」が開かれた。同市出身のレゲエベーシスト・KUUBOさん=a.k.a.大久保晋(すすむ)氏、釜石青年会議所など市内の有志らが企画した同イベントでは、ボーカル&ラップのデュオ・MEGARYUと女性レゲエシンガーソングライター・PANGらによるライブ、古着買取のリサイクルショップ・DONDONDOWN ON WEDNESDAYや岩手県立大学生によるフリーマーケットなどが行われた。

 ライブ当日は午前中から雨が降り、ずぶ濡れの中のライブになるのではと心配したが、ライブ開催1時間前に雨が止み、イベントを祝福するかのような青空が広がった。KUUBOさん、MEGARYU、PANGらは昨年10月に釜石市民体育館でライブを行っているが、その時はKUUBOさん率いるバンド編成での演奏だった。事前に今回のライブはほぼアコースティック編成と聞いていたので、どんなライブになるのか不安だったが、先に結論から言うと、大成功だったと思う。スタッフ、ライブ出演者、参加者が本当にイベントを楽しんでいた。

 多少固い言い回しになったが、当日の様子を時系列のライブリポート形式で紹介します。

 全曲覚えている訳ではないので、間違えていたらすいません。

 

がっつり広場

 正午過ぎ~

 雨が心配だったので、釜石駅前のコンビニでかっぱを買い、会場に向かう。会場に着くとすでに多くの人が集まっていた。青葉ビル前には機材がセッティングされ、サウンドチェックが行われていた。ビル前の広場にはDONDONDOWNの服を探す人であふれていた。ぶた玉焼きやトルネードポテトなどの屋台も並んでいた。イベント会場にはライブを待ち望んでいたファンが多く来ていた。特に華やかな服装の女性が多く、大震災以来時が止まり、モノクロの世界のように見えた街中が少し色づいたように見えた。

 会場内を歩くと、KUUBOさんらを発見。あいさつし、全出演者に開演前のコメントを依頼する。

 

がっつり広場

 14:05~DJ浜町

 東京のDJクルー・インターナショナルサウンズが会場の雰囲気を盛り上げ、釜石市出身、横浜市在住のDJ浜町を呼びこむ。「言いたいことを言うのがミュージック!」のMCとともに、◯ーズデンキや◯王堂、虎舞、釜石よいさなど、地元店舗やイベントなどを織り込んだリリックを矢継ぎ早に繰り出し、会場を盛り上げた。

 

 14:20~DAN

 釜石市在住のDANは震災で亡くなった人への哀悼を込め、アコースティックギターでレナード・コーエンの「ハレルヤ」日本語詩でカバー。その後も「命の花」の英語詩、日本語詩バージョンも披露。「ぼくたちは生きている」では観客と合唱した。

がっつり広場

 

がっつり広場

 14:46~黙祷

 実行委員の赤崎光男さんの「(震災で亡くなった)天国にいる方へ、身内の方へ黙祷を捧げて下さい」の号令とともに、全参加者で黙祷を捧げる。

 「天国にいる人や身内、親戚に会いたいっす。寂しいっす。でも頑張ります」と釜石の復興を誓った。KUUBOさんと観客の「釜石」「やっぺし」のコール&レスポンスで会場はさらに盛り上がる。

 

がっつり広場

 15:07~PANG

 FIRE BALLからの「がんばれ釜石、がんばれ岩手?」のメッセージが2回流れ、

 エフエム岩手の元パーソナリティー・高橋ちえさんの呼びこみでPANGが登場。

 昨年の釜石でのライブでは横を刈り上げたロングヘアーだったが、今回は金色の短髪&シャツにパンツというシンプルな出で立ちで登場。「若干緊張していますが、みんなの気持ちが晴れるように」と話し、PANG自身のピアニカ演奏とKUUBOさんのアコースティックギター、サポートメンバーの演奏でライブスタート。今回のライブでは、KUUBOさんはベースではなくアコースティックギターをほぼ全編で弾いていた。これもある意味貴重な演奏。ベーシストKUUBOもいいけど、ギタリストKUUBOも悪くない。初めて聴く人も多かったようだが、PANGの突き抜けるような歌声に聞き入っていた。「花」「真っ赤な太陽」のカバーも交ぜ、ラストは「You’ ve Got A Mail」で約30分のライブは終了した。

がっつり広場

 

がっつり広場

がっつり広場

 15:55~MEGARYU

 約15分のインターバル後、ちえさんの呼びこみでMEGARYUの2人が登場。 観客の期待と歓声も一気に高まる。 CDの音源(DJ)に合わせ、アップテンポのナンバーを5曲連続でたたみかけ、観客も頭上でタオルを振り回すプロペラで盛り上がる。コール&レスポンスで一見さんの客も自分たちのペースに巻き込む。昨年10月の釜石でのライブも見たのだが、MEGARYUは会場を盛り上げるのが本当に上手い。

 KUUBOさんが何度も連呼していた「やっぺし」が気に入ったらしく、ライブ中何度も連呼していた。「9時間かけて来ました。昨年の(釜石の)ライブで仲間がたくさんできました」「いろいろ思うことはあるけど、いつも通りのライブをやります。がっつり最後まで聞いて下さい」と話し、新曲「言えなかった『ありがとう』」を披露。KUUBOさんのアコギ、DANさんのフルートなどのアコースティック編成による「DEAR」「DAY BY DAY」を含む全11曲を演奏し、約1時間の本編終了。

 もちろんライブはここで終わらず、アンコールの声に応え再び登場。1曲披露した後、震災後にKUUBOさんらが作った新曲「スマイリン愛ランド」(SMILIN’ ISLAND)を全出演者で披露し、ライブは終了。

 

がっつり広場

 ライブ後、何人かに話を聞いたが、みんな「楽しかった」と話していたのが印象的だった。KUUBOさんらも「今年中にまた来たい」と話していたので、再びこのようなイベントが開かれることを期待します。

 

T-チバ☆