手の指を足の指に入れ、入浴中、右回し左回し各30回、計120回、10年以上足首回しています。足首を常に柔らかく保つことと首周りも緩みます。
心より愛と感謝をこめて
年を重ねても自分の足で歩くために、元気なうちから何ができるだろうか。日々のストレッチや靴の選び方など、ちょっとした心がけや取り組みが足の健康につながりそうだ。
足の甲や指が風船のようにぱんぱんに膨らみ、ねんざしたように腫れた足首。福井県立大の佐藤文准教授(老年看護学)が、写真を見せてくれた。臨床現場で20年間看護師を務めた佐藤さんは2014年、石川県内の長期療養型の病院と特別養護老人ホームで、お年寄りの体の浮腫(ふしゅ)(むくみ)を調査した。その時の写真だ。
調査は65歳以上を対象に、身体のいずれかにむくみがあった205人を追跡。3~5カ月後の変化を見たところ、腕や体幹部分にむくみがあった人では半数から全員が解消するか改善傾向があったのに対し、下半身のむくみが消えたり減ったりした人は3割弱にとどまり、多くの人はむくみが続くか悪化する傾向にあった。
そもそもむくみとは、血液などに含まれた水分が体の一部分にたまった状態だ。心臓のポンプで押し出された血液は、動脈から末端の毛細血管を通って全身に行き渡り、酸素と栄養を細胞に届けた後、静脈を経て心臓に戻る。通常であれば、静脈に血液が戻る際に余分な水分も送り込まれるが、ふくらはぎや足は心臓から遠く、重力も加わるため血液が戻りにくい。心不全や腎臓の疾患、低栄養になると、むくみのリスクはさらに高まる。
そこで大切なのが、ふくらはぎの「筋ポンプ」の働きだ。「第2の心臓」と呼ばれるふくらはぎは、血液を体に巡らせるために重要な役割を果たす。佐藤さんはこの筋ポンプの機能を維持するには、足の裏の踏み込む力が大事だと話す。
施設では寝たきりを防ぐため、日中は起きているように高齢者に椅子や車いすで座ってすごしてもらう。「ベッドにいる時よりも重力で足がむくみやすくなる上に、ふくらはぎの『筋ポンプ』を使わないとむくみが重症化し、さらには歩けなくなる『座りきり』になってしまう」と佐藤さん。座ったままつま先立ちのようにかかとを上げ下げする運動や足指じゃんけん、床に広げたタオルを足指でたぐり寄せるトレーニング方法が予防につながるという。高齢者だけでなく、厚底やヒールなど足に負担のかかる靴を履いている人も要注意という。
むくみの予防に加え、カギを握るのが爪のケアだ。足の爪はしっかり踏み込んで歩くために大切な役割を果たす。だが、年齢を重ねて手の力が衰え、かがむ姿勢が厳しくなると自分で切りづらくなる。周囲の人やフットケアの専門家の手を借りて、爪の伸ばしすぎや巻き爪を防ぐ必要がある。
また、歩行に支障が無い人でも、足の健康を保つために大切なのが靴選びだ。
11月のある日の午後7時。東京都新宿区内のビルの一室に老若男女30人が集まった。医師、介護職、フットケア関係者などでつくる足育(そくいく)研究会の月1回のセミナーだ。「100歳まで自分の足で歩ける社会を作る」をモットーに活動している。
靴は同じサイズ表示でも、ビジネス用の革靴とスポーツシューズでは大きさが異なり、スポーツシューズのほうが小さく作られていることが多いという。靴を履いて立った時に、つま先には1~1・5センチの隙間が必要だ。ぴったりしたサイズだと足の指が開かず踏ん張ることができなくなる。また、極端に軽量化されたり底が曲がらなかったりする競技者用の靴を一般ランナーが使うと、ひざや腰への負担が大きい。
代表理事で皮膚科医の高山かおるさんは「この会を、足にまつわる正しい知識の発信基地にしたい。ずっと歩ける足のため、気軽に参加して情報交換をして欲しい」と話している。(川原千夏子)
本日 朝日新聞 朝刊 より