「今日はほんまめっさ雨降っとるなぁ」
「ほんまやなぁ」
「こういう雨見ると、“のわぁる”を思い出すわ」
「なんやねん、“のわぁる”って」
「“のわぁる”は、“のわぁる”やがな、どっしゃぶりん中傘もささんと夜道を歩くんやがな」
「そんなんしたら濡れるやんか」
「やから“はっと”と“ろんぐこぉと”をしっかり着とくんやがな。“はっと”から滝のように流れる雨粒……をとこやでぇ」
「をとこ?」
「知らんか? 『ぶれぇどらんなぁ』あれがそうやがな」
「“はりそん・ふぉおど”か……わしあの人見ると、『えあふぉおす・わん』と『しゃるうぃ・だんす』思い出すんや」
「また“まぬぃあっく”やなぁ……『すたぁ・をぉず』とか『いんでぃ・じょぉんず』とかあるやろ、それに最後のはそれ“りちゃぁど・ぎや”と間違えてないんか? 白髪で親父ってとこはあってるけどんな……いや、それにしてもものごっつい雨やな、こういう雨ん日はどっかで殺人事件が起こってんのや」
「また急に話変えんなぁ」
「めっさ金持ちのだちが南海の孤島っちゅうとこの別荘に“ばかんす”って連れてってくれるんやけど、そこに偶然おった殺人鬼が逃げてくるんや、で、大雨で逃げようにも船が出ぇへん、で、ついに殺人事件が起こるんや、で……」
「わしそれ「金田一少年の事件簿」かんかで見たことあるわ、で」
「で、でや」
「で?」
「で?」
「でや、どうなるんや」
「“はりそん”が“れぷりきゃんと”なんや」
「そうか……にしても雨はよやまんかなぁ、“ぱちんこ”行けへんがな」
以上