郷里に馳せる想いを
散らかしては集めて
寝そべって浮かべた
安楽な怠惰に似た欲心
振り返るには若い
光を失った青葉か
色あせて振り返る
境にいるような顔をして
彩に筆折り重ねる
我儘みたいでさ

淡い黄色の菜の花の畑
そこかしこに 覗かせるのは
白い小石、青い小石、赤い小石
羽毛の逆毛のつま一つ
濡れた小さな丸い目の
可愛い小鳥の歌のようで
減った絵の具の色を削り
青空一面シャボン玉みたいに
夢を浮かべて描いたよ
スケッチブック放り投げて
あー散々さ


キラキラ流れる川の音が
連れてきた懐かしいあの話し声
いつかの君が重なって
大切な気持ちを思い出したよ
変わらずに好きなものがあった
長い初夏の雨に打たれて
あー泣いていた


季節が変わるように
巡る日々に追われて
花の意味さへ変わってしまう
思い出さへも塗り替えらて
僕にとっての花菖蒲が
変わらずに輝いて揺れてる
同じ景色の中に咲く
菖蒲の季節に振り返る
横顔を思い出して
僕は橋を渡り
あー笑えた