はにわ | RENATA

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毎日のあれこれ

 

ご存知の通り、母は当初、

12月の新規開業と同時に

金沢のサ高住に引越す予定でした。

 

最初の入居者として、

最上階の角部屋を仮予約していました。

 

でも、その話はなくなって、

同じ時期に、我が家に引越してきます。

 

その経緯は、もう何度もお話ししたので、

ここでは省略しますけれど、

 

その途中で見た母の表情が、

私にはどうしても忘れられません。

 

 

当時でも、12月までは

もう時間がありませんでしたから、

 

施設に持っていくもの、置いて行くもの、

新しく買わないといけないもの、

そういうものを母と相談せねばなりません。

 

その反応がだんだん薄くなっていった、

というお話は前にしました。

 

それは感じ取っていたのですけれど・・

でも・・どうしようもないよなぁ・・

と思っていたとき。

 

帰省の最終日、そろそろ私も出かけなきゃ、

というタイミングで、荷物をまとめて

ふと顔を上げたら、母の顔が視界に入ったんです。

 

 

はにわ。

 

そのときの母の表情が、

まさに「はにわ」のようだったんです。

 

目に力がなく、

何も見ていない空洞のような目。

何の感情も感じられない顔。

 

 

そのときの母の表情が、

私に「自宅に引き取る」ということを

選択肢に入れる決意をさせました。

 

実家を出てからも、

歩きながら・・電車を待ちながら・・

電車でぼんやりしながら、

ずっと母の顔が思い浮かんでいました。

 

そしてすぐに夫に相談を。

 

 

もちろん、母がイヤだと言えば

すぐに流れる話でしたが、

結果はこうなりました。

 

今の母は生き生きとしています。

「寂しい」と言いながらも

目にも声にも力があります。

それはいいのですけれど・・

 

 

今も・・何というか、

母のあのときの顔が

どうしても脳裡から消えていかなくて、

 

結果オーライになった今でも

頭にあのときの母がよぎって

時々とても苦しくなるのです。

 

 

母が可哀想とか、

そういう感じではなくて・・

 

怖い

 

それが正直な印象でした。

攻撃的な怖さではなく、

「虚無」の怖さ。

 

 

あのとき顔を上げていなかったら・・

あのときの母の表情を見ていなかったら・・

 

「たら・れば」ですけれど、

それを想像しても怖くなります。

 

 

 

すべては決まっていたことなのかな・・。