エ・ニヒ・カ・ヘレ | ハワイアン・メレの世界

ハワイアン・メレの世界

「メレ」とはハワイ語で歌、もしくは詩という意味。
フラを始めて、曲の内容をより知りたいと思い、書いています。

「ナー・ラニ・エハ(王家の四人)」というアルバムがある。

ハワイ王朝最後の王、カラーカウア王、「アロハ・オエ」の作曲者として有名なリリウオカラニ女王、薄幸の王女カイウラニの母親のリケリケ王女、ウィリアム・レレイオホク・ロット王子の四人兄弟のことだ。

全員、音楽の才能に恵まれ、いくつものメレを書いている。

彼らの曲を集めたのが上記のアルバムだ。

 

Amazon.co.jp: Na Lani Eha: ミュージック

 

 

メリーモナーク(陽気な王様)と呼ばれ、ハワイアン文化、フラなどの復興に力を尽くした、デイビッド・カラーカウア王の書いた曲の一つ、「エ・ニヒ・カ・ヘレ」も収録されている。

 

 大きくて深い海

 あなたの揺れる気持ちが落ち着くように

 激しい風よ

 穏やかになっておくれ

 

 (繰り返し)

 ゆっくりと旅をして、経験して

 目にしたものに驚かないで

 唯一の愛する人

 王家の人があなたを招待した

 

 カリフォルニア、そこは寒い土地

 雪が肌を白く染める

 輝く子供(女王)の肌

 高貴なレディ

 

 旅立っても私を忘れないで

 私のもとに戻ってほしい

 ここにあなたへのレイの王冠が

 あなたはハワイの象徴なのだから

 

このメレのタイトル「エ・ニヒ・カ・ヘレ」は、ペレとヒイアカの伝説からと取られたものだ。

“E nihi ka hele mai hoʻolawehala”とは直訳すると「やさしく歩いて、罪を犯さないように」という意味になる。

ヒイアカは姉のペレに命ぜられて、恋人のロヒアウを迎えに行く旅に出る。

たくさんの困難に出会いながら、物語は続いていく。

途中、ハワイ島のパナエワの森で、どう猛なモオ(トカゲ)に出会い、壮絶な戦いを繰り広げる。

ヒイアカがこの危険な旅を警告している箇所の文章だ。

”E nihi ka hele i uka o Puna mai ʻako i ka pua o lilo i ke ala o ka hewahewa“、つまり「Punaの森では用心し、花を摘まないように、間違った道に迷いこまないように」と言ってている。

 

英国王朝の中で二番目にもっとも長く君臨したヴィクトリア女王は、1887年6月20日と21日の2日間にわたってその50周年の統治を記念して祝典(ゴールデンジュビリー)を行った。

カラーカウア王は、この式典に招かれた。

王は代理として、妻のカピオラニ女王と妹のリリウオカラニ王女を英国へと旅立たせる。

出発にあたって、女王への愛のこもったメレを送った。

それが「エ・ニヒ・カ・ヘレ」だ。

道中の船旅が穏やかであるように、たくさんの人たちに会い、経験をしても圧倒されること無いように。

途中のカリフォルニアでは寒い思いをするのではないかと心配し、用心ぶかくあるようにと忠告している。

王のこまやかな思いやりがこのメレにはこめられている。

そして、遠く南国の島からの代表として王妃の責任を果たすとともに、ここで待っている私を忘れずに、戻ってきておくれ、と結んでいる。

なんと愛情深い夫だろうか。

 

 

カピオラニとリリウオカラニがジュビリーのため、英国を訪れた時のお話。

 

 

 

 

♬E Nihi Ka Hele by Na Palapalai

 

参考文献

Huapala