ノ・ルナ | ハワイアン・メレの世界

ハワイアン・メレの世界

「メレ」とはハワイ語で歌、もしくは詩という意味。
フラを始めて、曲の内容をより知りたいと思い、書いています。

ケアリイ・レイシェルの軽快なアウアナ、『ノ・ルナ』。

元歌が火の神ペレと妹のヒイアカの有名な伝説の一部について書いたチャント、『ノ・ルナ・イ・カ・ハレ・カイ』なことをご存じだろうか?

 

 山の上のカマアレバの隠れ家から

 その目はモアナヌイカレフアを見る

 マリオの海に住む女神

 そこにはレフアの木が立っている

 エアラ- エアラ- エア-

 まさしくそこに

 

 ホーポエのレフアは高く伸び

 レフアは人間を恐れて遠ざけ

 下へと追いやる

 エアラ- エアラ- エア- 下の方へ

 エアラ- エアラ- エア-

 

 ケアアウの小石は海でザラザラと音をたてる

 プナの海で聞こえてくる

 プナに茂るハラの木

 エアラ- エアラ- エア-、あら波がおし寄せるプナ

 あら波がおし寄せるプナ

 あら波がおし寄せるプナ

 エアラ- エアラ- エア-

 

伝説のあらすじはこうだ。

ハワイ島のキラウエアに住むペレの魂は、九日間の長い眠りの間、カウアイ島へ飛び、そこで出会ったロヒアウと愛し合う。

しかし、彼女はキラウエアのある、プナへと戻らなければならない時が来た。

泣く泣く、二人は別れる。

ペレは涙を流しながら「自分の妹を迎えにやらせるので、プナまで訪ねて来てくるように」と言い残して、姿を消す。

プナに戻ったペレは、40日間でロヒアウを自分の元へと連れ帰らせるようにと、ヒイアカを使いにだす。

出立の前、妹は二つの約束を姉とした。

それは、どんなことがあっても、ヒイアカの大切にしているレフアの花の森だけはそのままにしておいてほしい、そして彼女の親友のホオポエだけには絶対に手を出さないこと、と。

しかし、気の短いペレは40日の期間を待たず、毎日のように地震を起こし、熔岩を流して、ヒイアカの愛したレフアの森を焼き尽くし、ホオポエの村も焼き尽くし、死に追いやってしまう。

苦労してやっとカウアイ島へとやって来たヒイアカだが、ロヒアウはすでに死んでいた。

癒しの能力を持つ彼女は彼を蘇生させハワイ島へと戻ってきた。

そのうち、ロヒアウは優しく、誠実で、勇気のあるヒイアカをペレより愛し始める。

約束の期間に戻らなかった妹と心変わりした男に対して、ペレの怒りは爆発した。

姉に岩に変えられてしまったロヒアウを見て、ヒイアカは気が狂ってしまう。

その姿に驚いたペレはロヒアウを甦らせ、二人は皆に祝福されてカウアイ島へ行き、本当の死が訪れるまで、夫婦として幸福に暮らしたそうな。

 

伝説によると、ヒイアカは遠目が利いたという。

カマアレバとは、カウアイ島北部にあり、ロヒアウを生き返らせた場所だ。

そこから、ハワイ島のキラウエアにいる、ペレの行動やホオポエにおきたことを彼女は知っていたのだ。

しかし、姉のひどい仕打ちにもかかわらず、心優しく、姉想いのヒイアカは友情より義務、ホオポエより姉を選んだ。

姉との約束を守って、ロヒアウを連れ帰ったのだ。

 

モアナヌイカレフアとはカウアイとオアフの間のイエイエ海峡を守る人魚の半神だ。

水のなかでは魚のヒメジの、陸上では花を一杯つけたレフアの木の姿をしていた。

ちなみに、ディズニー映画の『モアナ』はこの女神の伝説に基づいて作られている。

彼女はペレとは仲が良く、タヒチから一緒にハワイへとやって来た。

しかし、たいへんないたずら好きだった。ペレとロヒアウの結婚式を嵐で邪魔し、ヒイアカの旅も邪魔したという。

 

二番でレフアは、「人間を恐れて遠ざける」とある。しかし、恐れられたのは人間ではなく、ペレ自身だったのだろう。

三番で描かれるのはハワイ島のプナだ。

ケアアウの海岸の小石は波に洗われて、ざらざらと音を立てる。

そしてそこに繁るハラの木、その美しい情景が最後の繰り返し「カイ・コオ・オ・プナ(荒波が押し寄せるプナ)」で不吉な予感がする。

ハワイのことわざと詩で「カイ・コオ」は、遠くのトラブルを警告する。

ホオポエとヒイアカとロヒアウに起こる悲劇を意味しているのではなかろうか。

 

♬ No Luna by Keali’いReichel

 

参考情報