PSO2にてウチの子達の自分設定を晒して見る。



ハルバート:

 ヤリオノタテ家の一番槍にてメインキャラ。

 黒くて堅いのが信条の関西弁キャラで、だいたいノリだけでネタに突っ走る芸人気質。


 メインに使用するクラスはハンターとレンジャー、後エトワール。

 好む武器は長槍とライフルとランチャー。


 基本的に大柄で角張って両肩に盾を付けた姿をしているが、レンジャーの時は盾が邪魔なので装甲を脱いで軽装になっている。

 尚、A.I.S戦が大好物でフォトナー艦隊との戦いになるとテンションがクライマックスに。

 服は脱いでも素顔は見せないシャイな男…フンドシ一丁で彷徨いてても。


PSO2時代:

 記憶があやふやな状態で、いきなりラグオルにてアークスの訓練を受けて初実戦を迎える。

 その後シオンと接触し時間遡行能力に目覚めてマトイと出会い、アークスの…というかルーサーの暗躍に巻き込まれて行く。


 結構鈍感で、仮面と接触するもまさか未来から時間遡行した○○と、欠片も思わなかった。

 更に仮面が正体を明かす時に素顔を見せた時に、中の顔というより頭がキャストだった為に「仮面の下から鉄仮面w」と笑い転げそうになる。色々と台無しである。


 ダーカー因子を溜めすぎたので浄化の為に冷凍睡眠に入り、その後地球の事件に巻き込まれるのだが…体が大きすぎて屋内に入れなかったので妹に事件解決して貰うハメに。

 さすがに地球での最終決戦は妹に変わって貰ったが、そのせいで頭が上がらなくなった。


 異世界オメガにてダークブラスト能力を手に入れるが、基本的にエルダーにしかならない。


 最終決戦にて、帰還出来なくなりそうになるがヒロイン三人と仲間達のおかげで無事に帰還。

 妹達に散々説教された上に大泣きされたので、今後ますます頭が上がらなくなる。



 実は過去のDFによるアークスシップ襲撃時に妹達を庇って瀕死の重症を負っている。

 その際に黒くて大きくて両肩に盾を着けたパルチザンを使うアークスに助けられ、深層心理に深く憧れを抱く。

 まさか未来から来た自分とも思わずに…。


 その時にヴォイドに回収され、重症により体をキャスト化しシオンにより時間遡行能力を仕込まれる。


 クーナのファンで、ライブには必ずライト持参で駆け付ける。

 女性が肌を見せる事に羞恥心があるので、妹達やマトイのファッションには思う所がある。

 但し自分が肌を出す事にはあまり気にならないのか、ウケを狙う為にフンドシ一丁でテカテカになる事も厭わない。(但し顔は隠す)

 またヤリオノタテ家全員が着けている赤いマフラーは元々ハルバートにとってのトレードマークであったが、いつの間にか全員のトレードマークになっている。


 『仮面』の事は、ある意味尊敬しており彼の事を忘れ無い為に忘れ形見である仮面を大事にしている。

 もっとも…仮面着けてフンドシ一丁にマフラー巻いてたりする辺りでウケ優先だが。

 他にも馬だったり狼だったりラッピーだったりと、ネタの為なら被り物を多用したりする。



NGS時代:

 何があったか記憶喪失になるという事態になるが、本人はあまり気にしていない。

 しかし宇宙で大量のゲッター線を浴びたのか、更にネタに走る傾向がある。

「裏切りはいつでも 爪を研ぎ待っている」

 そう信じるのなら前には進めない

 その声は何度も 記憶から呼びかける

 弱い心 誘き出す

 今の自分 何が足りないだろう?

 強さのため

 問いかけても 答えのない

 疑問を抱えて…

 叫んでいる

 嵐の中 かき消されたって

 動きを止めたら 自分を失くしそう

 誰より今 信じてみる

 自分の未来を

 目醒めて行く心

 誰にも 止められない

 浅い眠り醒めたように気付く

 未知の強さ 走りながら探し当てる

 最後の切り札



 GONG 第九話 覚醒



「検索開始、拘束術式解放、レジストダウン、魔力式アップロード、全ステータス再起動」

 フリークの胸に突き立てたブレイブハートを通して、ユーノは彼の状態を確認し新たな魔力を流し込む。

「カートリッジロード、プログラムドライブ…魔術式もあるのか? 取り敢えず凍結、代替コード入力、リスタート…よし、後は―」

 腰にあるホルダーから一枚のカードを取り出し変化させると、ソレは一本の棒の様なデバイスとなった。
 そしてブレイブハートを引き抜いた穴へと差し込んだ。

「コントロールロッド起動!」

 差し込まれたデバイスをあっと言う間に取り込んで再生する身体を確認し、ユーノはデバイスを起動させる。
 すると一回大きく痙攣したフリークの身体が、徐々に安定して静まる。

「…うっ? …何を…した?」
「…僕は効率主義でね」

 フリークが呻きながら見上げたユーノの顔は、如何にも悪そうな顔だった。

「君の身体に埋め込んだのは、そのアンプルの中身への対抗策。無限書庫の資料を掻き集めて作り上げたのが君の胸に入っているコントロールロッドという訳さ」
「…?」

 ユーノの言葉の意味がよく判らないフリーク。

「…簡単に言えば、丁度良いから君の身体でテストさせて貰ったよ」
「んなっ!?」
「何処か違和感とか無い? 解析結果からすれば想定よりも十分過ぎる程にナノマシンを制御してる筈だけど」
「…確かにさっきの様な苦痛は無いな…」

 フリークの左半身は、先程と違い青色の右半身と同じになっている。

「…人間の姿に戻った訳じゃ無いんだな」
「さすがにソコまで都合良くは無いさ。変異して固定された部位は対象外だね」
「…何故助けた?」
「テストって言ったけど?」
「お前は効率主義なんだろ? 俺を只助けた訳が無い」
「…流石は元執務官、察しが良いね…君さ、ヒーローやる気無い?」
「…は?」

 ユーノの唐突な言葉に、思わず間抜けな声を上げるフリーク。

「そんな姿じゃ社会復帰どころか、他人様の前にも出られないでしょ? これからの人生に意味を持たせたくない?」
「…俺は罪人だ…そんな資格は無い…」
「罪人だと言うなら、尚更罪滅ぼし位はしても良いでしょ?」
「…こんな姿の俺がヒーロー等と―」
「シェイドの動向は知ってたんでしょ? 彼は異形の姿で、どんなに苦しくても生き様を変えたりしなかったよ?」
「…俺一人がヒーローになったところで…」
「別に一人じゃないさ。バックアップは僕がするし、ホクト達も居るしね」
「…どうして、そこまで…」

 フリークの逃げ道を潰していたユーノは一瞬間を置く。
 そして、もっともらしい理由を吐き出した。

「言ったよ、僕は効率主義だってね。目の前に行くアテのない人材が居て、僕達には人手が足りない。だったらスカウトするしかないでしょ?」
「…俺が裏切るとは考えないのか…?」
「その為の楔は打ち込んだ。君の生殺与奪権は、僕が握っている」
「…拒否権なんて無いんだな…」

 決定的な事実を突き付けられて、思わずフリークは溜め息を着いた。

「そうだった…無限書庫の主は、幼女どころか犬や猫の手まで引っ張り出す様な男だった…」
「その件に関しては否定出来ないなあ…」

 サウスやヴィヴィオ以外にも、司書資格の無いアルフやリーゼ姉妹まで駆り出していた事を思い出すユーノ。
 司書の中には手違いで呼び出した本の魔神や弱味を握られた武装局員まで使役する者が居る辺り、無限書庫はかなりブラックな職場である。

「それとも無限書庫に来る? 検索的な意味でも管理的な意味でも事務的な意味でも戦力的な意味でも、人手が増える事に関しては司書の皆は何も言わないと思うよ? むしろどんな姿の誰であろうと気にせず(してる余裕は無いし)、平等に接して(扱き使って)くれるだろうね」
「変なルビが入ってる!? むしろヒーローやってる方が楽に思えてならない!?」

 ユーノの無限書庫の勧誘へ、思わずツッコミしてしまうフリーク。

「おお、我ながら名案だ。どちらかと言えば司書を勧めるよ」
「絶対お断りだ、ヒーローの方がまだマシだ!」
「…チッ。じゃあ僕達の仲間になるという事で」
「舌打ちしやがった…くそ。逃げ道を塞いで勧誘するとか、正義の味方のやる事じゃ無いな」
「ハッハッハッ。遺伝のせいか先輩司書のせいか判らないけど、交渉は断れない様にして迫るのが正しいとしか思えないんだ」
「…俺は何て悪魔と戦っていたんだ…」

 身体を起こしながら溜め息を吐き出すフリーク。

「悪魔で良いよ、悪魔らしく勧誘するから」

 誰かが聞いたら怒りそうな台詞を、どっかの科学者みたいな笑い方で言うユーノと、ソレを呆れて見上げるフリーク。
 
 ここでの戦いは終わったと二人が思えた時―

『中々に面白い余興だったよ』

 響く声。

『十分なデータも取れた、後は―』

 床が開き、その下から巨大なカプセルと白衣の男が上がってくる。

「私の理論を実証し、私の優位性を示すのみ!」

 紫の長髪に金の瞳、その顔はユーノ達を嘲る様に歪んでいる。

「な、お前は…」

 ユーノは、その顔に見覚えがあった。

 自分とシェイドに『力』を与え、生前に正体を明かさなかった父親。
 フェイトが数年間追い掛け、六課の力で逮捕した犯罪者。

 だが、此所に居るのは彼等では無い。
 一人は死に、一人は牢獄の中だ。

「確か…J6だったか…?」
「…クククッ、私はJシリーズ最後の一人…故に『JZ』(ジェイズィ)と呼んで貰おうか」

 そう言いながら酷薄な笑顔を浮かべるJZ。

「JZ…ひょっとして最後の意味でZ?」
「察しが良いようだな、流石は無限書庫司書長と言った所か?」
「…まあね」

 そう言ってユーノは視線を横にあるカプセルへと移す。
 その中身は半透明の容器でハッキリしないが、黒い影とオレンジの明滅する光が不安を更に掻き立てる。

「クククッ、このカプセルが気になるかね?」
「そうだね…途轍もなく嫌な予感しかしないよ」
「中身を知りたいだろう?」
「いやいや、出来れば永遠に封印して置いて欲しいかな」
「遠慮しなくても構わんさ、我が研究の成果を是非とも楽しんでくれたまえ」

 JZが片手を上げると同時にカプセルが開いていく。

「…やはりというべきか…」
「試作体と同じと思わない事だな」
「その大きさで、彼と同じに思える訳無いでしょ!」

 黒いソレの顔は以前にユーノ達が相対したモノに似ていた…だが、それ以上に胴体と大きさが違いすぎた。
 黒い表皮と鈍色の角に顔の中心部分がオレンジ色に光っているソレの胴体は、色こそ黒だが膨れ上がった幼虫の様で前面には何本もの昆虫の様な足が生えて先端には鋭い刃物の様な爪がある。
 そして、その大きさは15m程もあった。

「スティード君は実に役立ってくれる。彼の献身により…この素体には更なる強化を施した結果、幼体でありながら此程の成長をしたのだからな」
「献身…実験台の間違いじゃ無いのかい?」
「いやいや…この素体も『彼』なのだよ」
「…何?」

 JZの言葉をイマイチ理解したくないユーノだったが、つい聞き返してしまった。

「この素体はフリーク君の記憶転写クローンなのだ。やはり『彼』の身体と記憶はナノマシンによく馴染む」
「この…外道が…」

 吐き捨てる様に呟きながらフリークが起き上がる。

「かつて似たような事をした君に言われたく無いものだ。中途半端な変異しか出来なかった君と違い、『彼』は実に素晴らしい変異を見せてくれた」
「人を…何だと思っている!?」
「クククッ、コレも彼が望んだ事なのだよ。万が一にも自分が敗れた時に更なる強さを得る為とね」

 そう言ってから彼は異形へと振り返りながら続ける。

「弱い者が強くなる為には何かを犠牲にしなくてはならない。もしくは他者から奪うしか無い。そう思うだろう?」
「…昔の俺なら同意するだろうが…今の俺に、その道理は通用しない! 人が本当に強くなる為に必要なのは覚悟だ!!」
「…おやおや、フリーク君はすっかりとユーノ君達に毒されてしまった様だ。だが何を言おうと結果は変わらない」

 JZの上げた右手と連動する様に異形の2本の触手が持ち上がる。

「君達が、ここで私の最高傑作に敗れるという結果はね!」

 手が振り下ろされると同時に触手が伸びてユーノとフリークに迫る。
 しかしユーノは咄嗟に対応した。

「危ないっ!!」

 フリークの前にはビットによるシールドと防御魔法、自身はラウンドシールドを複数設置し、更にスーツをクリスタル上に変換して前面に配置。

 だが―

「ぐはあっ!?」
「うわあっ!?」

 触手は易々と防御魔法を貫通し、ビットやクリスタルごとユーノ達を吹き飛ばす。

「無駄無駄! 私の最高傑作を舐めて貰っては困る!」
「くっ…何て強さなんだ…」
「当然だとも、君の兄弟達を取り込んだのだからね!」
「…何?」

 JZの聞き捨てならない言葉に、怪訝な顔をしながら起き上がるユーノ。

「クククッ、やはり気になるかな? スティード君にはすくすくと育って欲しかったのでね、現存していた封印中のアルファベットナンバー達を融合させておいたのだよ」
「…母さんの遺伝子を使った生体兵器…」
「その通り! おかげでスティード君は、今やスタンドアローンならば次元世界で最強の存在となった!!」
「…ゼファーすら超えて…?」
「その通りだよ! J3の作った戦闘機人やJ4の残した君達よりも、更に強力な聖機王やウォリアーズを造り出した私こそがJシリーズ最高の存在なのだ!!」

 やり遂げたと言わんばかりの笑顔でユーノ達を見下すJZ。
 しかし―

「…バカじゃないの?」

 ユーノは、さらりと思った事を口に出した。

「…フフッ、君なら判らない事は無いかと思ったのだがな。似たような存在と比較され、絶えず辛酸を舐め続ける気持ちが!」
「判らない? 比較? 辛酸? 下らない…僕が、そんな事に同意するとでも?」

 同意を得られるとでも思っていたJZだったが、ユーノの思わぬ言葉に怪訝な表情を浮かべる。

「…君は兄弟と比べられなかったのかね?」
「生憎だけど僕と彼の生き方は掛け離れていたからね。僕には僕の、彼には彼の生き方があって、ソレを誰かにどうこう言われる筋合いは無い!」
「成る程…ならば私の気持ちは―」
「人の努力を踏み台に自分の手柄として優越感にひたる屑が、自分の不幸を語るな!!」
「なっ…優しくしていればつけ上がって!!」

 同意どころか怒鳴られたJZが、一瞬呆気に取られた後に激昂する。

「父さんが僕達を、スカリエッティがナンバーズを造った事を踏み台にしただけの分際で何を偉そうに! 『変身』!!」

 ユーノの方もクリスタルを再変換したスーツを纏いながら叫び、ブレイブハートを構えて駆け出す。

「私を理解出来ないなら死ね!」
「賞賛されたいだけのオリジナリティーの欠片も無い俗物が!!」

 JZの言葉と同時に振り下ろされる異形のかぎ爪を、ユーノはブレイブハートに左手を添えて受け止める。

「両手で受け止めたら、もう片方の爪はとめられまい!」

 更に振り下ろされる異形のかぎ爪。
 だが―

「俺を忘れて貰っては困るな!」

 そのかぎ爪の根元をフリークがアイスブランドで切り落とす。

「節足動物は関節が脆い! 今だ、ユーノ!!」
「言われるまでも無いさ!!」

 ユーノの言葉と同時にビットがかぎ爪の根元に突き刺さり高速で回転する。

「スライサーフォーメーション!」

 徐々に食い込んで行く刃が、やがて根元から削ぎ落としユーノを襲ったかぎ爪は力無く落ちた。

「フリーク、貴様!」
「お前達から貰った力、有効活用させて貰おう!!」

 残ったかぎ爪を振り回す異形だったが、ユーノ達には擦りもしない。
 しかしユーノとフリークの攻撃も表皮に火花を上げるだけで、ダメージたり得ない。

「刃が通らないとはな!?」
「スペルキャノン!! っ、駄目か!?」
「ハハハハハ! 無駄な足掻きは止めたまえ!!」

 只でさえ消耗していた二人には、異形を仕留める手が残されていない。
 ―別々に攻撃していては。

「ユーノ! A.C.Sとか言うのはまだ使えるか!?」
「一応ね! どうする気!?」
「お前がさっきやった事だ! まずは俺が行く!」
「分かった!」
「…少しは俺を疑え」
「今さら何を言ってんの!?」

 簡単なやり取りの後、フリークが異形の上空に飛びユーノがツインランサーに変化させたインヘリットを構えて正面から突っ込む。

「ハハハハハ! 何をしようと私の最高傑作には敵わない!!」

 JZの言葉の通りに異形はフリークに対し火球を、ユーノには触手で攻撃。

「当たりはしない!」
「レーザーブレード!!」

 宙に浮かぶフリークは光の翼を広げ火球を回避し、ユーノはツインランサーを回転させて触手を切り払いながら接近していく。

 しかし異形に近づくに連れて火球の数は増え、捌ききれなかったフリークは遂に火球に捉えられてしまう。
 声も無く火球に飲み込まれたと思われた瞬間、炎が渦巻き左半身を赤色にしたフリークのフランベルジュに纏わり付いた。

「カラミティ…ブレイズ!!」

 唸りを上げて渦巻く業火を纏わせてフリークのフランベルジュが、浅くだが
確かに異形の背中へ突き刺さる。

「グウオオオオオオオオ!?」
「オオオォォォォオ―っ!!」

 異形の絶叫とフリークの叫びが木霊し、更に炎がフランベルジュから噴き上がる。
 やがて刀身にヒビが入り、フランベルジュは砕け散った。

「まだまだだ! エターナルコフィンンっ!!」

 続けざまに右手に顕現したアイスブランドを異形の僅かな亀裂へと突き刺し、フリークはクロノのデュランダルと同じ凍結魔法を展開。
 厚い外皮に守られていた体内へと一瞬で冷気が浸透し、急激な温度変化が異形の身体を脆くして行く。

「今だ、ユーノォ!!」
「分かっている! グライディングラム!!」

 自分の身体まで凍結する前に離脱したフリークと入れ替わりながら、高く跳躍したユーノはインヘリットをビットに分割しブレイブハートを構えて突撃。
 アイスブランドが突き刺さった傷に深く刀身を突き立てて、カードをブレイブハートに読み込ませ術式を展開した。

「全部持って行けーーー!!」
『ブラスト! シェル! スプレッド! マグナム! キャノン! プラズマ! クラスター! バスター!』

 後の事は考えず、ありったけの弾種を残らず撃ち尽くしてからブレイブハートを引っこ抜く。

「これで終わりだ、ブラストゲイザアアァァ!!」

 更に左手で形成した攻性結界を傷口に押し込み、ユーノも異形の背中から飛び退く。
 直後、結界内に生成されていた複数の刃状のエネルギーが不規則に円運動を描いて異形の体内を切り刻む。

「ギュオォォォォオ―!?」

 やがて断末魔の悲鳴と共に、異形は力無く倒れて動かなくなった。

「…やったか?」

 フリークの呟きに対し、答える者は―

「クックックック、大した物だよ君達は。まさか幼体とは言え私の最高傑作を倒したのだから」

 拍手しながらユーノ達を褒めるJZ。

「しかし残念ながら、此所までだ。私の最高傑作は今、完成する!」

 JZの言葉を受けてか、異形の亡骸が振動する。
 いや、ソレは亡骸では無い。
 ソレは只の殻でしか無いのだから。

「さあ、今こそ究極の邪神の誕生だ! 最早、君達には絶望しか無い!!」

 振動が激しくなり、やがて爆発。
 爆煙の中に何かのシルエットが浮かび、オレンジ色の何かが発光している。

「PiPopopopopo…」

 ソレは先日ユーノ達が戦った異形のイメージを残していた。
 しかし全体的なフォルムはスマートになり、シャープでエッジの効いた造形は以前より戦闘に適した様に見えて何よりも邪悪さと危険性を掻き立てる。

「…大分小さくなった様だが…」

 そう呟くフリークも警戒を強める。
 只でさえ殆どの手札は使い切り魔力も枯渇している以上、二人には戦闘継続もままならない。

(…とうとう使うしか無いのか…ブラスターを)

 ユーノはカードホルダーの底に眠るソレを、いつでも使える様に取り出しておいた。
 本当のことだけしりたいよ

 未来につづいたこの世界

 ごまかしだらけの日々が

 心を傷つけようと

 自分をすてないで

 倒れるな  負けるなよ

 さぁ飛びだそう

 僕らの夢まもるヒー口一さ

 超電動の このちからみせてやれ

 無限大



 GONG  第八話
     フューチャー・ヒーロー




「ガハァっ!? ハアハア、結構しんどいな!」
「強がりも、その辺にしときな! いい加減往生際が悪りーんだよ!」

 もう何度目になるか判らない打ち合いに、一方的にボロボロになっているホクト。
 逆にセカンドの方は、目立ったダメージは無い。

「クソっ! これだけは使いたくなかったんだけどな!!」
「まだ、何か隠してやがんのか?」
「ハアアアァァァァ…」

 ホクトの広げた両腕がゆっくりと下へと下がって行き、股間へと―

「隙だらけだ、オラオラオラオラオラアっ!!」

 辿り着く前にセカンドが殴り倒す。

「ぐはぁっ!?」
「どうした!? お前の強さは、その程度か!!」

 しこたま殴られて膝を着くホクトを見下ろすセカンド。

「…卑怯だぞ、コンチキショー!」
「何だと!?」
「相手が技を出す時は、黙って待つのが常識だろうが! ソレは即ち男の約束―」
「んな事、知るかぁぁぁぁ!!」
「ぐわあぁ!!」

 追い打ちで放たれた衝撃波で、更にホクトが吹っ飛ぶ。

「くっ…エリーゼの憂鬱どころか、サスーンクオリティまで破られるとは…」
『まあ…よっぽどのツッコミ体質でないと、実戦でセクシーコマンドーは効かないわな』

 ジンライの言う通りである。

「ふざけてんのか、テメエェェ!!」
「マジに決まってるだろうがぁぁ!!」
「嘘付くんじゃねえぇぇ!!」
「お前みたいなバカなら効くと思ったんだよぉぉ!!」
「バカはお前だあぁぁ!!」
「俺がバカなら、お前はバカチンだあぁぁ!!」
「何だと、コラァァァァっ!」
「やンのか、アァァァァンっ!?」
『何処のヤンキー漫画だよ、コレ?』

 全くもって、ジンライの言う通りである。

『全次元世界の命運が掛かってるんだから、もっと真面目にやろうぜ?』
「俺は十分真面目だ!」
「『嘘付け!!』」

 ホクトの言葉に、セカンドとジンライがハモってツッコミ。

「ただ…次元世界が、どうとか言われてもピンと来ねえ」
『…は?』
「そんなデケー話は兄貴らに任せときゃ良いんだよ! ぶっちゃけ、ちょっとやそっと怪人に変身する様な世界でも俺は困らねえし!」
「『…なっ…!?』」

 ホクトの思いがけない言葉に、セカンドもジンライも絶句する。

「人間だろうが怪人だろうが気に入らない奴はぶっ飛ばす。そこに何の違いも無えだろうが!」
「ちょっ、おま、ええ…?」

 さすがのセカンドも狼狽える。
 まさか目の前の男が、ここまで何も考えて無いとは思いもしなかった。

「…お前…バカだろ?」
「バカっていう奴がバカだ!」
「…さっき、お前からバカって言われたばっかりだけどよ…うん、何か可哀想になってきたな…」
『殺し合いしてる相手から哀れに思われる程のバカって…』

 味方どころか敵にまで同情されるホクトは、まさにバカ・オブ・ザ・バカの称号が相応しい。

『さすがは不良試作品という事ですわね』
「その声は…クイーンか!?」

 微妙な雰囲気の中、再びクイーンの声が響く。

『ええ。一応、貴方達の戦いはずっと拝見しておりました…が、どうやら全ての技を出し尽くした様なので。そろそろ終わりにして貰おうかと』
「ハン! 俺の力は、まだまだこんなモンじゃねえ!!」

 別の場所から監視しているであろうクイーンに対し、ホクトが憤る。

『いいえ、終わりですわ。貴方の攻撃は全て見切っています』
「何だと!?」
『不自然に思わなかったのですか? 貴方の拳が悉くセカンドに通用しなかった事と、セカンドの攻撃が貴方を外さなかった事を』
「…何だあ?」

 確かにホクトの攻撃は完全に回避されている。
 後半に至ってはガードすらさせていない。

「それがどうした!?」
『答えは簡単。貴方が動く前にセカンドは貴方の動きが見えているのです』
「…はあ?」
『未来が見えているセカンドに、貴方が勝つ事は不可能です』

 セカンドがホクトの拳を見切れるのには、理由があった。
 それは今まで組織が収集したホクトのデータから、ホクトが次に取る行動を演算し予測データとしてセカンドの網膜に映像とする事で伝えていたのだ。

「んなモン、やってみねえとわかんねーなぁ!」
『現在進行形で実証中ですわよ? 本来あるべき姿のウォリアーシステムの前に、失敗作で情報支援も受けていない貴方に勝機はありません』
「ああん? 決め付けてんじゃねーよ!」
『ちょっと待て、ホクト…本来あるべき姿と…情報支援?』

 そこでジンライは何かが引っ掛かった。

『デバイスAIにしては、良い所に気付きましたわね。まあ…言葉のままですわ』
『ホクトとサウスの嬢ちゃん…偶然じゃないって事か!』
「おい、俺にも判る様に話しやがれ!」
『お前達の居た世界で二人が一緒だったのは【組織】が意図した結果って話だよ!』
「なにいぃぃ?」
『確か…冥途の土産…とか言いますわよね? 貴方と姉が如何にして、あの世界に居たのかお教えしましょう』



 元々ホクトは戦闘機人計画の成長型前衛TYPE03というコードの試験体として生を受けた。

 同じく成長型として先に生まれたナカジマ姉妹と違い『女性体より頑強に、より強く、よりタフに』を目的としたTYPE03は、初めから男性体として企画され遺伝子レベルから反応速度の向上や攻撃性の増加を刻み込まれた仕様だった。
 しかし幾度かの機械部との拒絶反応に加え成長阻害や四肢の欠損等が相次ぎ、漸くまともに戦闘機人として誕生したホクトも適性の差かTYPE01、TYPE02と違い、持って生まれたリンカーコアに欠陥が生じる。
 更に脳髄にも変異が認められ、TYPE03と同様の男性体戦闘機人の開発は凍結される。

 一方で、サウスは大規模戦闘システムの指揮中枢である『クイーン』と言う名の生体CPUとして開発される。

 ジェイル・スカリエッティ製のウーノやクアットロ同様の機能を目指し、脳髄を極端に強化されたクイーンは人間特有の閃きや直感と言った不確定要素による揺らぎを備えている為に、人口知能には出来ない柔軟な対応が出来る新たな指揮管理システムとして期待された。

 事実、試験体としてのサウスは素晴らしい能力を発揮し戦術シミュレーションは好成績で、駒に対する理解力まで備えていた。

 そこでサウスは実地試験として、あの世界で機動兵器の指揮を取る事が予定される。

 オマケの試験としてTYPE03を何とか実用化出来るレベルにしたい技術者達はこれに便乗し、ホクトがサウスの直接的な駒として操れる様に深層心理へと刻み込んだ後で、二人は今までの記憶を一旦リセットされカプセルに入れられ輸送された。

 そして偶々起こった戦闘に巻き込まれ、行方不明となった―


『これが貴方達が、あの世界に居た理由ですわ』
「…何てこった…」

 クイーンの説明を聞き呆然とするホクト。

『ショックを受けるのも当然ですわね。ですが、これは紛れもない事実―』
「サッパリ意味がわかんねー!」
『…は?』

 首を捻って叫んだ言葉が、クイーンすら絶句させる。

「サウスと俺があの世界に居た理由とか、どうでも良いし。グダグダ面倒くさい話とか前振りされてもよくわかんねーし」
『…そうだよな。お前は、そういう奴だよな…』
「ぶっちゃけ、それが元ある姿とか俺には関係ねえ!!」

 これまでの話を完全に無駄と言い切ったホクト。
 もはやジンライは色々と諦めている。

『…おかしいですわね? 欠陥があるとは聞いていましたが、まさかコレ程までに知能が発達していないとは…』

 予想を遥かに上回るバカっぷりに、クイーンも疑問を隠せない。

「後な…俺はサウスから何もして貰ってねえ訳じゃねえ!」
『はい?』
「この身体はサウスがメンテしてくれてるし、美味くて栄養満点の飯作ってくれるし、掃除とか洗濯もしてくれてるし、俺には出来ない事を全部やってくれてるぜ!!」
『…ダメ人間ですわね』
『…ヒモ男だな』
「最低だな、お前」
「うるせえぇぇぇぇぇ!!」

 堂々とダメ人間を告白して散々にボロクソに言われ逆ギレするホクト。

『…どちらにせよクイーンのする事ではありませんね』
「あったり前田のクラッカーよ!!」
『な、なに?』
「サウスはクイーンなんてもんじゃねーし、俺だってアイツの駒でも無え! お前等とは根本的に違うンだよ!!」

 クイーンは、むしろ当たり前だのクラッカーに戸惑ったのだがホクトは気にせず続ける。

「そんな俺らが、お前等みたいにドライなな関係な訳ねえだろう! 俺はここに一人で立ってんじゃねえ、アイツと一緒に立ってんだよ!!」
『…そこまで言い切るなら、勝ってご覧なさい』
「奇跡でも起きなきゃ無理だろうがなあ!!」

 嘲る様な笑いを浮かべながら構えるセカンド。

「起こしてやらあ…奇跡でも何でもなあ!」

 それに対してホクトは両腕をダランと下げたノーガード。

「何だ、そりゃあ…舐めてんのか? それとも諦めたのか?」
「試して見ろよ? 俺が限界を超えれるか、どうかなあ!」
「だったら…死ね!!」

 セカンドが両拳に超振動を発生させながら地を蹴り強烈な勢いで接近する。
 その視界にはホクトが次に取る動きが半透明で浮かぶ―が。

(まだ動かねえ!?)

 眼前のホクトは未だにノーガードで動かない。
 視界に映る半透明のホクトは、既に構えてカウンターの体勢に移っている。
 微動だにしないホクトと、刹那の差でカウンター返しを決められる予測の半透明なホクト。
 
(どうした!? どっちが正しい!?)

 迷いつつも拳をどちらにでも対応出来る位置に出したセカンド。
 正にホクトの顔へ拳が届く寸前、セカンドの顎が、跳ね上がる。



 ホクトが取った構えは、無業の位である。
 意図せずセカンドを躊躇させたが、本来はどんな攻撃が来ても即座に対応出来ると言う特質がある。
 勿論ホクトはそんな事を知らないし何の考えも無い。
 唯々、セカンドより速い一撃を放つ事しか…思ってすらいなかった。
 虫の羽音にも似た振動音も、違和感を持ちつつ嗤うセカンドも、異にも介さない。
 無業の位を取ったのも、微動だにしなかったのも特に意識した物でも無い。
 全ては無意識の、本能に従った動きだ。
 周りの色が消えたとか、音が消えたとか、匂いが消えた事にすら意識は向かない。
 大脳だとか小脳だとかすら働かないホクトは、その瞬間『バカ』を極めてシェイドの第八感すら超えて行く。

 既に手遅れと思う事すら出来ないタイミングで、ホクトの左拳は音速を超え光速を超え神速を超えて動いた。
 無業の位と言えば聞こえは良いが、その体勢から最速で放てるのはアッパーしかりブローしかり下から上への直線的な軌道を辿らずにはいられない。
 セカンドの目に映る未来予測も、その様になっていた。
 実際の所、ホクトが放ったのはアッパーだ。
 しかも脱力した所からの拳を握りきらず力を込める事の無い速さだけを追求した一撃。
 しかし力は無くとも硬さと速さを乗せた拳は、これまでに殴って殴って殴りすえた末に呼吸や瞬きに近い程の反射で、最適な位置に最適な角度で吸い込まれる。

 ソレは指一本分の設置面積で最大の圧力を。
 ソレは首を支点にてこの原理で最大の威力を。
 ソレは一瞬のインパクトで最大の衝撃を。

 声すら上げず、理解も出来ず、完全に隙しか無いセカンドの胸へ二撃目が加えられる。
 深く一歩踏み込みながら放つ右ストレートはホクトの拳を最大限の威力へ引き上げる距離には無かったが、その分長く接していた。
 捻りを加えたコークスクリューがセカンドの人口心臓の動きを止め、更にその体を胸を中心に錐揉み回転させる。

(何が起こった!?)

 事態を全く理解出来ずに混乱するセカンドへ更なる追撃が襲いかかるが目に入った。
 咄嗟にガードしようとするが身体は全く動かない。
 揺らされた脳と一旦動きを止めた人口心臓は彼の意思から身体への伝達を一切受け付けない。
 しかも天地が目まぐるしく入れ替わる回転状態では未来予測も意味を成さず。
 それでもホクトは的確に拳を叩き込みながら前進を止めない。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」

 最初のアッパー以外は通常のスピードと変わらなくなったが、天地が定まらずセカンド自身の硬直で全く反撃が出来ない。
 やがて相当のダメージと引き替えに硬直から戻ったセカンドが、闇雲に拳を突き出す。

「調子に…!」
「遅ええ!!」

 セカンドの突き出した左手を右手で掴んで引っ張り、体勢を崩しながらホクトが背を取りながら腰に両手を回す。

「なっ、やめ―」
「でえりゃああぁぁぁぁ!!」

 そのままブリッジの体勢に移行して、セカンドの後頭部を地面へと叩き付ける。

「グハァァッ!?」

 まともな受身を取れずに再び大ダメージを受けるセカンド。
 一旦手を離して距離を取るホクトを憎悪の籠もった眼で睨み付ける。

「まだまだだぁぁぁ!!」
「ソレはコッチの台詞だぁぁぁ!!」

 再び羽虫の音を響かせ、セカンドが超振動拳を発動させて駆け出す。
 同時にホクトも駆け出し、二人の拳がぶつかり合う。

「「うううおおおぉぉぉ!!!」」

 セカンドの右超振動拳がホクトの左拳の装甲を粉砕する。
 だが、ホクトにはソレがハッキリ判る程に認識していた。
 だから、彼は、超振動の振動より早く拳を捻りながら打ち貫く。

(何だとぉっ!?)

 視界に浮かぶ未来予測を無視してホクトが持たない絶対破壊攻撃の超振動拳に勝負を賭けたセカンドが驚愕する。
 無敵な筈の彼の拳が、肉が割け内部フレームごと吹っ飛んだからだ。

 だが、彼は諦めない。
 一撃さえ決まれば倒せると言う自信が、ホクトが持たない超振動拳にあったのだから。

 一方でホクトにも確信があった。
 初めて踏み込んだ第八感の世界を自らの物にし始め、コークスクリューと言う『技術』まで今実践してみせた。
 身体が意思に反応したなら、更にホクトは上を目指す。
 全てはシェイドを追い抜くという未来の為に。

「クソがああぁぁぁぁっ!!」
「超伝導―」

 最大出力で振動する左拳がホクトの顔面を捉える。

(勝った!!!)

 ソレは確信だった。
 セカンドの目にはゆっくりとホクトの頭部装甲を粉砕して行く自分の拳がハッキリ見えていた。
 しかし、ゆっくり流れる世界の中で違和感を感じる。

(何っ!?)

 装甲を砕く左拳は何故かホクトの右側頭部すり抜ける様に通り過ぎていく。

(今、当たっただろう!)

 半切れになるセカンドだったが、ホクトの頭部を抉る筈の拳は、最小限に躱した彼のヘルメットを破壊するに留まった。
 そして目に入ったのはホクトが伸ばす右拳。

(クロスカウ―)

 意識が加速状態のセカンドでも、それ以上の思考は不可能だった。
 認識出来る以上の速さでホクトの拳が、セカンドのヘッドギアを粉砕しテンプルを打ち抜いて地面へと叩き付ける。

「…クロスカウンター…っ!!」

 ソレはホクトの集大成とも言う一撃だった。
 クロスカウンターのタイミングは身体が完全に反応した結果で勝手に動いたとしか言いようが無い。
 だからホクトは、更に第八感とジンライの超伝導を合わせる。
 全ての力を結集した一撃はホクトの覚悟と、サウスが作り上げたに等しい身体と、ジンライの能力が合わさって正に三位一体となって昇華したのだ。
 
「…ぐっ…さすがにキツかったか…」

 それまでのダメージと限界を超えた動きは、サウスがメンテナンスしたフレームと言えど耐えきれる物では無かった様だ。
 特に両腕に至ってはピクリとも動かせずに激痛が走っている。

「イテテテテ…こりゃあ、またサウスに怒鳴られるな…」

 まともに動く事も出来ずに、その場に座り込むホクト。

「…おい、生きてるか?」

 暫く経ってから未だに動かないセカンドに対して声を掛けるも、反応が無い。

「…チッ、ジンライ頼むわ」
『お前、本当にデバイス使い荒いよな?』
「しゃーないだろ、俺は動けないんだよ」
『ああ、ハイハイ。判りましたよー』

 ジンライの返事と同時にホクトが装備をリリースしてジャージ姿に戻る。
 するとブレスレットの一部が外れる。

『ジンライ・トランスフォーム!』

 外れた赤と青に色分けされたブロックが空中で形を変えて、何となくゼノンジンライに似た掌に乗るサイズのロボットとなった。

『おーい、生きてるか~?』

 ピョンピョンと飛び跳ねセカンドに近寄ったジンライが、ぺちぺちと顔を叩く。

「生きてっか?」
『ああ、不安定だけど生体反応はあるな。結構ギリギリだけど』
「う…うう…」
『お? 目を覚ますぞ』

 やがてセカンドがゆっくりと眼を開く。

「く…んん…?」
『目が覚めた~?』
「うわ!? 何だ!?」
「ジンライだよ、大分縮んじまったけどな。どうよ、気分は?」
「…チッ、最悪だよ。身体がピクリとも動きゃしねえ…感覚もねえな…首の骨が折れてやがる…」
「そりゃ難儀だな? よく頭蓋骨が砕けなかったもんだ」
「元になったバカの頭が堅すぎなんだよ、クソッタレ…」

 元々コッチを向いていたセカンドが呻く様にホクトへ吐き捨てる。

「そりゃあ違いねえな、ハッハッハッ…」
「…何が…おかしい…?」

 満身創痍でバカにされた上にバカにされたのに、ホクトは気にした様子も無く笑い出す。

「ははっ、限界超えて全部出し切って勝ったからな。滅茶苦茶爽快だ…笑う以外に、もう屁も出ねえ」
「…このクソヤロウ…本当にバカだな…」
「ハッハッハッハッハッハッ、もう誉め言葉にしか聞こえねえな、ハッハッハッハッ」
「…皮肉も…通用しやしねえ…」

 ひたすら笑うホクトに微妙な想いのセカンドだったが―

「くくっ、そういうお前も笑ってんじゃねえか?」
「はあ? 笑ってねえし!」

 とは言う物の、その口端が上がっている。

「まあ、良いけどよ。今回のお前、中々面白かったぜ。怪我治ったら、また喧嘩しようぜ!」
「はあ!? お前、何言ってんだ!?」
「だから喧嘩だよ、喧嘩! やっぱ、ギリギリの喧嘩は面白えわ!!」
「…そういや、お前…次元世界がどうとか関係ないんだったか…」
「おうよ!」

 晴々とした良い顔で、アッケラカンと笑うホクトに唖然とするセカンド。
 しかし、やがて―

「くっ…くくっ、本物のバカには敵わねえな」
「ああん? 抜かせよ。ははははっ」
「ははははっ!」
「あははははっ!」

 二人は一緒に笑い合う。
 本当の兄弟の様に。

「…さて…んじゃ次回どれだけ強くなってんのか、楽しみにしてるわ」
「ん…止め差さねえのかよ?」
「また面白い喧嘩してえからな。もっと強くなって挑んで来やがれ」

 やがて立ち上がったホクトがヨロヨロと歩き出す。
 あからさまに限界なのに、前へ進もうと。

「…後で絶対後悔するぞ」
「はっ、させられるなら頑張りな。楽しみにしてんよ」
「…抜かせよ、バーカ」
「…バカって言う奴がバカなんだよ」

 少しの間が空いて…二人はニヤリと不敵な笑顔で別れた。




「まさか…こんな事が…」

 司令室で呆然とクイーンは呟いた。
 彼女の分析では、99.9%以上の確率でセカンドが勝利する筈だった。
 それが結果は御覧の通りだった。
 基地周辺の戦況も同じで、防衛兵器群はサードとヴィーノを倒すどころか壊滅に近い。

「仕方ありません…予備兵器を投入します」
「おやおや、まだ戦力が残っているとは。させぬよ?」

 その言葉と同時に何本もの剣が、司令室の端末を縦横無尽に切り裂く。

「なっ…?」
「ボードゲームは終わりだよ、クイーン?」

 漏電して火花を散らす司令室から、声の主に顔を向けるクイーン。

「ユ…ユーノ・スクライア!?」
「ざーん念。お兄ちゃんでは無いのだよ、コレが」

 金髪に翡翠の瞳を持った人物はユーノ・スクライアでは無かった。
 プロテクターの着いたライダースーツを纏い両手に剣を持ったウォリアーズ試作体・ユーディ。

「…よく此所まで来られましたわね? 裏切り者の癖に」
「ん-…まあ個人的には組織より居心地の良い場所を選んだだけで、裏切ったとか言われてもピンと来ないな」
「…ここまで、どうやって?」
「意外に簡単だったな。ステルス対策が、さっぱり出来てない」

 そう言いながらクイーンは施設内の確認を脳内で行う。
 確かに彼女の言う通り、施設内の警備兵達に異常は無い。

「…今後の課題点ですわね…」
「そうだな。次は無いが」
「あら、どうしてかしら? 私が一声掛ければ瞬く間に兵達が殺到しますわよ?」

 背中に嫌な汗をかきながらも平静を装うクイーン。
 しかし―

「全く、サウスは凄いな。此所まで予想通りとは」
「…何ですって?」
「今更、只の兵士が来てもなあ…ところでコレ、何だと思う?」

 そう言ってヴィーノが見せるのは一つの情報端末。

「…まさか!?」
「意外と女王陛下も甘い様で」

 コンピュータウィルスが仕込まれた端末を弄りながら、ヴィーノが不敵に笑う。

「クイーンの指揮系統を掌握。ついでに身柄拘束もしておこうかな」