あ…新作を今秋に書く予定だったのに何もやってねえ♪
代わりと言っては何ですが、【翠眼の英雄】の中編を一つ。
―「この声が聞こえていますか?」
呼んでいる 胸のずっと 奥の所で―
翠眼の英雄after
「CALLING」
高町ヴィヴィオにとって、その日は学校の連休の初日という以上の意味は無い筈だった。
午前中に宿題を済ませ、午後からは友達とストライクアーツの練習。
概ね、予定通りの1日…の筈だった。
しかし、予想外の出来事というのは何時でも唐突に起こる物である。
市民体育館からの帰り道の歩道で友達であるアインハルト、リオ、コロナと他愛の無い会話をしていたヴィヴィオは軽い衝撃を背中に感じた。
「うわっと!?」
多少よろめくものの、鍛えられた足腰はしっかりと体を支える。
振り返るものの、其所には何も無い。
首を傾げるヴィヴィオだったが、何やら腰に違和感を感じる。
「…ヴィヴィオ…背中にちっちゃい子がくっついてる…」
顔を巡らせてみるとリオの言葉通り、背中の腰辺りに銀の頭髪が見える。
何処かで見た覚えのあるそれに、考えを巡らせて――その前に黒い民族衣装の様な服を着た四歳位の子供は顔を上げて衝撃の一言を言い放った。
「お母さん!」
その瞬間、全てが凍り付いた。
数秒止まっていた四人だったが、最初に再起動したのはコロナだった。
「ヴィ、ヴィ、ヴィ、ヴィヴィオ!? いつの間にお母さんになっちゃったの!?」
…絶賛、混乱中ではあるが。
「ししし、知らないよ!? 私、まだ結婚してないよ!?」
「ででででも、ここここの子、今『お母さん』って!?」
「ご、誤解だよ!? 勘違いだよ!? 私、全然覚えがない!」
リオの言葉に慌てて答えながら子供を引き剥がすヴィヴィオ。
その途端に子供は泣きそうな顔になる。
それまで止まっていたアインハルトも再起動し、ある事に気付く。
「…お父さんは、シェイドさんですか?」
「ちちち違います!! 私とシェイド君はまだそんな関係じゃ―?」
顔を真っ赤にして横に振りながら否定しようとした所でヴィヴィオはふと気付く。
目尻に涙を溜めながら泣くのを堪える子供の顔が、自分の大切な人にそっくりな事に。
「…ひょっとして…シェイド君?」
「…う…うわ~~~ん!?」
しかし子供は首を横に振った後、自分の名前を間違えられたショックでとうとう泣き出す。
あわあわと狼狽える四人だったが、ヴィヴィオはふとある事を思い出した。
それはかつて自分の母がしてくれた事。
そして、父親の様な青年がしてくれた事。
「…よしよし。ゆっくりでいいから落ち着いて泣き止んで?」
男の子(?)を優しく抱き締めてゆっくりと頭を撫でてみる。
やがてゆっくりと男の子の泣き声は小さくなっていく。
「ヴィヴィオ、凄い。本当のお母さんみたい…」
「…でもこの子、本当に何処かで見た事がある様な…?」
コロナとリオの言葉を聞きながら、ヴィヴィオは男の子に尋ねる。
「…驚かせてゴメンね? …私の名前はヴィヴィオ。…君の名前は?」
男の子の目線に合う様に少ししゃがんで、笑顔で問い掛けると本日二度目の衝撃発言が。
「…お母さん…僕、ユーノだよ?」
『ユーノさんなら、ホクト君と一緒に遺跡に潜って来るってついさっき出て行っちゃったよ? 伝言なら伝えておくけど?』
通信モニターには栗色のポニーテールの少女が写っている。
「そうですか…実は―」
衝撃的な言葉の後、なんだかんだで高町家にやって来た一向。
自称『ユーノ』をアインハルト達に任せ、ヴィヴィオは無限書庫に通信を入れた。
もしも本当に彼がユーノだとすれば、無限書庫はきっと大パニックに陥っている筈だと思われたがどうやらユーノ自身は引き継ぎをきっちりと終えてから、先程出ていったらしい。
事情を説明されたサウスはモニターの向こうで少し考えてから一つの仮説を立てた。
『…ヴィヴィオちゃん、結論から行くと…その子は『ユーノ・スクライア』に間違いないと思う』
「え? でもユーノさんはさっき遺跡に行ったって…」
『うん、だからそこに居るユーノさんは『過去のユーノ』さんだと思う…』
「…よくわかんない…」
イマイチ理解しにくいヴィヴィオに苦笑いしながらサウスは説明する。
『ミッドチルダの科学力でも解析出来ないロストロギアの中には、人を若返らせる物もあります。もしもそれが関わってあるとしたら…?』
「で、でも、ユーノさんと髪の毛の色とかが違うよ?」
『…ヴィヴィオ、昔の『ユーノ』さんは今の誰でしょう?』
そこまで言われてヴィヴィオも気付く。
「…シェイド君だ!」
彼がかつての『ユーノ』だった事はヴィヴィオとて知っている。
それでもシェイドと『ユーノ』はうまく結び付かないが。
「でも、どうしてシェイド君は私の事をお母さんと間違えたんだろう? シェイド君は孤児だったって言ってたのに」
『…それはシェイドさんが元に戻った後で直接聞いてみて。とりあえず今日はそちらで預かってもらってもいいかな?』
サウスの頼みに頷くヴィヴィオ。
「うん。今からじゃユーノさん家までは時間的に行けないし、なのはママも今日は出張で居ないから大丈夫」
『迷惑をかけてごめんね? 私もちょっと調べてみるから』
「はい、お願いします」
リビングに戻りながらヴィヴィオは考える。
あの白に近い銀髪はきっとシェイドに違いないだろう。
今まで守ってくれていた強くてかっこよくて優しいけど、何処か危なっかしくてつれないお兄さんの様な彼が、逆に自分から離れようとしないあどけない小さい甘えん坊な弟みたいな男の子となってしかも自分の事を母親と思っている。
ヴィヴィオにはシェイドが自分を頼りにして貰える事が、何故か非常に嬉しい事に思えてきた。
(何だろ? 凄く楽しみだよ)
微妙にウキウキしながらリビングに入ったヴィヴィオ。
しかし、彼女がそこで見たものとは―
『我が主ときたら全くもって情けない。あの様な稚拙な罠にみすみす引っ掛かる等とはまだまだ未熟極まりない。修行が足りない証拠だ』
「へえ、じゃあシェイドさんのちっちゃい時はこんなんだった」
「でも、こうやって見ると確かに面影もあるね。それにユーノさんともヴィヴィオとも似てるような…」
「あれ、ヴィヴィオさん…どうしてそんな所でうつ伏せになってるんですか?」
「お母さん、大丈夫?」
あまりの脱力っぷりに思わず突っ伏してしまったヴィヴィオに駆け寄るシェイド。
リオとコロナとアインハルトは不思議そうに二人を見ている。
「…な…な…な…」
「「「な?」」」
「なんで、ジェネシスが和気藹々とシェイド君の事を嬉々として話しているの!?」
ガバッと起き上がったヴィヴィオは、あんまりと言えばあんまりな展開をジェネシスに抗議する。
『何故と問われれば、面白そうだったからと言わざるを得ないな』
「そんな理由で状況を掻き回さないで!? 後々の事とかもきちんと考えようよ!?」
しれっと答えるジェネシスを両手で掴んでめい一杯上下に揺する。
『これは(いくら原作本編で無かった事にされたにしろ)仮にも無限書庫司書の資格を持つ者が取る行動では無いぞ? というか細かい説明もしておいた我に感謝こそすれ、憤りをぶつけられる言われはなかろう?』
「だったら最初から出てきて! 私にも詳しく説明してよ!?」
『それは確かに正論だ…だが…断る!』
「どうして!?」
『この様なおもしろ…不可思議な現象に対する皆のリアクションを見てみたいと思ってな』
「ものすごく悪趣味だ! しかも面白いって言いかけた!?」
『ふっ、今宵の我は修羅をも超える存在だ!』
「無駄にカッコつけないで!」
『ヴィヴィオには分かるまい! 我を媒体として通して出る力を! 残業で消えていった筆者のフリーなタイム達の悲しみを!』
「メタな発言は控えてーー!?」
三人の友人達は、多少の不安を抱きつつ一旦帰って行った。
残されたヴィヴィオは、改めてジェネシスへ問い詰めようとするが…。
「お母さん、お腹空いた…」
幼子の催促により、なのはが作っておいてくれた料理を温めて二人で食べる事にした。
「美味しいね♪ 僕、こんなに美味しいの食べたの初めて!」
その言葉と、言う程には食べなかったシェイドにヴィヴィオは少し違和感を感じる。
晩御飯の後は、二人でお風呂。
普段は嫌がるシェイドも今は嬉しいらしく、お互いに体の洗いっこしたりお湯の掛け合いをしたりと、のぼせるまで入っていた。
膝の上にシェイドを乗せてテレビを見せつつ、ヴィヴィオは改めてジェネシスに問い詰める事にした。
『簡単に言えば、遺跡内でテロリストと戦ってそこにあったロストロギアの暴走に捲き込まれた。アインハルト嬢達には遺跡探検と言っておいたぞ? ついでにユーノと名乗ったのは記憶の混乱とも』
ふわふわ浮かびながら題名すら記されていない真っ黒なハードカバーをバタバタと開きジェネシスは答える。
「…やっぱりロストロギア…」
『遺跡から脱出した後は、転移魔法を使わせてヴィヴィオ嬢の近くまで辿り着いた訳だ』
(…やっぱり、独りで戦ってたんだ…)
眠たくなってきたのか、うつらうつらし始めたシェイドの髪をそっと撫でる。 以前に見た引き締まった傷だらけの身体は、今は痩せてはいるものの普通の子供と差違はない。
(このまま…普通に大きくなれた方がシェイド君にとっても良いかもしれない…)
ヴィヴィオが知っているだけでも、シェイドの過去は痛みと苦しみと悲しみと絶望と孤独で満ち溢れている。
それこそ、今まで正気を保っていられるのが不思議な程に。
「…お母さん…眠たい…」
しょぼしょぼする目を擦りながら抱き付いて来たシェイドを抱き締めて、ヴィヴィオは自室のベッドに向かった。
これにて前編終了です。
後日、中編を書きます…いつになるかな?
代わりと言っては何ですが、【翠眼の英雄】の中編を一つ。
―「この声が聞こえていますか?」
呼んでいる 胸のずっと 奥の所で―
翠眼の英雄after
「CALLING」
高町ヴィヴィオにとって、その日は学校の連休の初日という以上の意味は無い筈だった。
午前中に宿題を済ませ、午後からは友達とストライクアーツの練習。
概ね、予定通りの1日…の筈だった。
しかし、予想外の出来事というのは何時でも唐突に起こる物である。
市民体育館からの帰り道の歩道で友達であるアインハルト、リオ、コロナと他愛の無い会話をしていたヴィヴィオは軽い衝撃を背中に感じた。
「うわっと!?」
多少よろめくものの、鍛えられた足腰はしっかりと体を支える。
振り返るものの、其所には何も無い。
首を傾げるヴィヴィオだったが、何やら腰に違和感を感じる。
「…ヴィヴィオ…背中にちっちゃい子がくっついてる…」
顔を巡らせてみるとリオの言葉通り、背中の腰辺りに銀の頭髪が見える。
何処かで見た覚えのあるそれに、考えを巡らせて――その前に黒い民族衣装の様な服を着た四歳位の子供は顔を上げて衝撃の一言を言い放った。
「お母さん!」
その瞬間、全てが凍り付いた。
数秒止まっていた四人だったが、最初に再起動したのはコロナだった。
「ヴィ、ヴィ、ヴィ、ヴィヴィオ!? いつの間にお母さんになっちゃったの!?」
…絶賛、混乱中ではあるが。
「ししし、知らないよ!? 私、まだ結婚してないよ!?」
「ででででも、ここここの子、今『お母さん』って!?」
「ご、誤解だよ!? 勘違いだよ!? 私、全然覚えがない!」
リオの言葉に慌てて答えながら子供を引き剥がすヴィヴィオ。
その途端に子供は泣きそうな顔になる。
それまで止まっていたアインハルトも再起動し、ある事に気付く。
「…お父さんは、シェイドさんですか?」
「ちちち違います!! 私とシェイド君はまだそんな関係じゃ―?」
顔を真っ赤にして横に振りながら否定しようとした所でヴィヴィオはふと気付く。
目尻に涙を溜めながら泣くのを堪える子供の顔が、自分の大切な人にそっくりな事に。
「…ひょっとして…シェイド君?」
「…う…うわ~~~ん!?」
しかし子供は首を横に振った後、自分の名前を間違えられたショックでとうとう泣き出す。
あわあわと狼狽える四人だったが、ヴィヴィオはふとある事を思い出した。
それはかつて自分の母がしてくれた事。
そして、父親の様な青年がしてくれた事。
「…よしよし。ゆっくりでいいから落ち着いて泣き止んで?」
男の子(?)を優しく抱き締めてゆっくりと頭を撫でてみる。
やがてゆっくりと男の子の泣き声は小さくなっていく。
「ヴィヴィオ、凄い。本当のお母さんみたい…」
「…でもこの子、本当に何処かで見た事がある様な…?」
コロナとリオの言葉を聞きながら、ヴィヴィオは男の子に尋ねる。
「…驚かせてゴメンね? …私の名前はヴィヴィオ。…君の名前は?」
男の子の目線に合う様に少ししゃがんで、笑顔で問い掛けると本日二度目の衝撃発言が。
「…お母さん…僕、ユーノだよ?」
『ユーノさんなら、ホクト君と一緒に遺跡に潜って来るってついさっき出て行っちゃったよ? 伝言なら伝えておくけど?』
通信モニターには栗色のポニーテールの少女が写っている。
「そうですか…実は―」
衝撃的な言葉の後、なんだかんだで高町家にやって来た一向。
自称『ユーノ』をアインハルト達に任せ、ヴィヴィオは無限書庫に通信を入れた。
もしも本当に彼がユーノだとすれば、無限書庫はきっと大パニックに陥っている筈だと思われたがどうやらユーノ自身は引き継ぎをきっちりと終えてから、先程出ていったらしい。
事情を説明されたサウスはモニターの向こうで少し考えてから一つの仮説を立てた。
『…ヴィヴィオちゃん、結論から行くと…その子は『ユーノ・スクライア』に間違いないと思う』
「え? でもユーノさんはさっき遺跡に行ったって…」
『うん、だからそこに居るユーノさんは『過去のユーノ』さんだと思う…』
「…よくわかんない…」
イマイチ理解しにくいヴィヴィオに苦笑いしながらサウスは説明する。
『ミッドチルダの科学力でも解析出来ないロストロギアの中には、人を若返らせる物もあります。もしもそれが関わってあるとしたら…?』
「で、でも、ユーノさんと髪の毛の色とかが違うよ?」
『…ヴィヴィオ、昔の『ユーノ』さんは今の誰でしょう?』
そこまで言われてヴィヴィオも気付く。
「…シェイド君だ!」
彼がかつての『ユーノ』だった事はヴィヴィオとて知っている。
それでもシェイドと『ユーノ』はうまく結び付かないが。
「でも、どうしてシェイド君は私の事をお母さんと間違えたんだろう? シェイド君は孤児だったって言ってたのに」
『…それはシェイドさんが元に戻った後で直接聞いてみて。とりあえず今日はそちらで預かってもらってもいいかな?』
サウスの頼みに頷くヴィヴィオ。
「うん。今からじゃユーノさん家までは時間的に行けないし、なのはママも今日は出張で居ないから大丈夫」
『迷惑をかけてごめんね? 私もちょっと調べてみるから』
「はい、お願いします」
リビングに戻りながらヴィヴィオは考える。
あの白に近い銀髪はきっとシェイドに違いないだろう。
今まで守ってくれていた強くてかっこよくて優しいけど、何処か危なっかしくてつれないお兄さんの様な彼が、逆に自分から離れようとしないあどけない小さい甘えん坊な弟みたいな男の子となってしかも自分の事を母親と思っている。
ヴィヴィオにはシェイドが自分を頼りにして貰える事が、何故か非常に嬉しい事に思えてきた。
(何だろ? 凄く楽しみだよ)
微妙にウキウキしながらリビングに入ったヴィヴィオ。
しかし、彼女がそこで見たものとは―
『我が主ときたら全くもって情けない。あの様な稚拙な罠にみすみす引っ掛かる等とはまだまだ未熟極まりない。修行が足りない証拠だ』
「へえ、じゃあシェイドさんのちっちゃい時はこんなんだった」
「でも、こうやって見ると確かに面影もあるね。それにユーノさんともヴィヴィオとも似てるような…」
「あれ、ヴィヴィオさん…どうしてそんな所でうつ伏せになってるんですか?」
「お母さん、大丈夫?」
あまりの脱力っぷりに思わず突っ伏してしまったヴィヴィオに駆け寄るシェイド。
リオとコロナとアインハルトは不思議そうに二人を見ている。
「…な…な…な…」
「「「な?」」」
「なんで、ジェネシスが和気藹々とシェイド君の事を嬉々として話しているの!?」
ガバッと起き上がったヴィヴィオは、あんまりと言えばあんまりな展開をジェネシスに抗議する。
『何故と問われれば、面白そうだったからと言わざるを得ないな』
「そんな理由で状況を掻き回さないで!? 後々の事とかもきちんと考えようよ!?」
しれっと答えるジェネシスを両手で掴んでめい一杯上下に揺する。
『これは(いくら原作本編で無かった事にされたにしろ)仮にも無限書庫司書の資格を持つ者が取る行動では無いぞ? というか細かい説明もしておいた我に感謝こそすれ、憤りをぶつけられる言われはなかろう?』
「だったら最初から出てきて! 私にも詳しく説明してよ!?」
『それは確かに正論だ…だが…断る!』
「どうして!?」
『この様なおもしろ…不可思議な現象に対する皆のリアクションを見てみたいと思ってな』
「ものすごく悪趣味だ! しかも面白いって言いかけた!?」
『ふっ、今宵の我は修羅をも超える存在だ!』
「無駄にカッコつけないで!」
『ヴィヴィオには分かるまい! 我を媒体として通して出る力を! 残業で消えていった筆者のフリーなタイム達の悲しみを!』
「メタな発言は控えてーー!?」
三人の友人達は、多少の不安を抱きつつ一旦帰って行った。
残されたヴィヴィオは、改めてジェネシスへ問い詰めようとするが…。
「お母さん、お腹空いた…」
幼子の催促により、なのはが作っておいてくれた料理を温めて二人で食べる事にした。
「美味しいね♪ 僕、こんなに美味しいの食べたの初めて!」
その言葉と、言う程には食べなかったシェイドにヴィヴィオは少し違和感を感じる。
晩御飯の後は、二人でお風呂。
普段は嫌がるシェイドも今は嬉しいらしく、お互いに体の洗いっこしたりお湯の掛け合いをしたりと、のぼせるまで入っていた。
膝の上にシェイドを乗せてテレビを見せつつ、ヴィヴィオは改めてジェネシスに問い詰める事にした。
『簡単に言えば、遺跡内でテロリストと戦ってそこにあったロストロギアの暴走に捲き込まれた。アインハルト嬢達には遺跡探検と言っておいたぞ? ついでにユーノと名乗ったのは記憶の混乱とも』
ふわふわ浮かびながら題名すら記されていない真っ黒なハードカバーをバタバタと開きジェネシスは答える。
「…やっぱりロストロギア…」
『遺跡から脱出した後は、転移魔法を使わせてヴィヴィオ嬢の近くまで辿り着いた訳だ』
(…やっぱり、独りで戦ってたんだ…)
眠たくなってきたのか、うつらうつらし始めたシェイドの髪をそっと撫でる。 以前に見た引き締まった傷だらけの身体は、今は痩せてはいるものの普通の子供と差違はない。
(このまま…普通に大きくなれた方がシェイド君にとっても良いかもしれない…)
ヴィヴィオが知っているだけでも、シェイドの過去は痛みと苦しみと悲しみと絶望と孤独で満ち溢れている。
それこそ、今まで正気を保っていられるのが不思議な程に。
「…お母さん…眠たい…」
しょぼしょぼする目を擦りながら抱き付いて来たシェイドを抱き締めて、ヴィヴィオは自室のベッドに向かった。
これにて前編終了です。
後日、中編を書きます…いつになるかな?