近江商人発祥の地として広く知られている東近江市の五個荘地区、早春のこの時期、商人屋敷でのひなかざりが催されています。町並みの散策を兼ねて訪ねてみました。

 JRの能登川駅からバスで約20分、金堂地区へ向かいます。バス停を降りると、地区の中心、弘誓寺の本堂の大きな屋根が見えます、このお寺を囲むように商人屋敷が軒を連ねています。

 

 「弘誓寺」への道筋です。白壁や板塀が町並みの景観を落着いたものにしています。

 

 

 「弘誓寺」の前の水路には多くの鯉が泳いでいます。

 

 

 「弘誓寺」(ぐせいじ)の山門です。正応3年(1290年)愚咄賢空坊(ぐとつけんくうぼう)の開基と伝えられ、浄土真宗大谷派に属しています。

 

 

 立派な「本堂」が目印となる大屋根の美しい甍を見せています。宝暦14年(1764年)に建立され、重要文化財に指定されています。

 

 

  隣接する「浄栄寺」です。

 

 

 「寺前、鯉通り」です。

 

 

「外村宇兵衛邸」です。「御幸毛織」の初代社長宅です。

 

 

 「川戸」(かわと)です。玄関のすぐ側にあり、外部の水路から屋敷内に引き込み、防火用水や洗い場などに使用されています。

 

 

 豪華な「古今雛御殿飾り」です。(江戸時代 慶応2年)御殿を京の御所に見立てた建物のなかに、内裏雛を飾っています。

 

 

「御殿飾り」が座敷に二組が飾られています。

 

 

  同じく、「御殿飾り」です。(江戸時代後期)建物は紫宸殿と神殿を模したものです。

 

 

 お祝いに来られた主人をお供が待っているところです。ユーモアのある表情に味があります。

 

 

 「有職雛」(昭和時代)のものです。有職(ゆうそく)とは朝廷や武家の官職、典例に関する知識などに詳しい人で、これにちなんでできた人形のことです。

 

 

 二階の座敷には、有職雛(昭和10年)が飾られていました。

 

 

 「内蔵」です。母屋から直接蔵に入る事ができます。

 

 

  内部は1,2階とも、売り手よし、買い手よし、世間によしの「三方よし」の商店の展示室になっています。

 

 

 広い土間の「水屋」(台所)です。使用人も多く抱えておられたのでしょう、かまどが多く並んでいます。

 

 

 大きな庭園があり、四阿や茶亭が備えられています。

 

 

 隣接する「外村繁邸」です。外村宇兵衛の分家として始まりました。作家外村繁の生家であり「外村繁文学館」となっています。

 

 

 「有職式正仕立」 御雛さんです。

 

 

 内裏ひな「男雛」です。明治31年

 

 

  内裏ひな「女雛」です。明治31年

 

 

 「内蔵」は1,2階とも、外村繁の展示室となっています。梶井基次郎、中谷孝雄をはじめ、井伏鱒二や太宰治等との交流など多彩な展示物で、外村繁の作家としての生涯を展示しています。

 

 

 外村繁邸にも広い「水屋」(台所)があります。井戸の横には流しもあります。

 

 

 「勝元宗益」作庭の広い庭が手入れされています。

 

 

 中江邸への道すがら「花筏通り」の風景です。

 

 

 

 

 土蔵の壁面には「船板」が面白い意匠として目を惹きます。

 

 

 「中江準五郎邸」です。朝鮮半島や中国大陸で隆盛を誇った「三中井百貨店」の経営者の一族として、辣腕を振るいましたが昭和20年の敗戦と共に衰退しました。

 

 

 「清湖雛」(せいこびな)と呼ばれ、新しい感覚のお雛さまです。「近江八景 矢橋の帰帆」として平成27年製作されたものです。

 

 

 

 

 「無垢の神」平成23年製作です。湖南は滋賀県の中心地。原点に復帰し、「純粋、清楚な気持ちで、未来に向かって進んでいきたいの思いで、白無垢十二単になっています。

 

 

  シンプルな「内裏雛」です。

 

 

 「池泉回遊式」の広い庭園が眺める事ができます。

 

 

 「大城神社」へと向かいます。

 

 

 「大城神社」(おおぎじんじゃ)です。推古29年(621年)聖徳太子が金堂寺を開いた際に、鎮守社として創建されました。祭神は伊邪那岐神、菅原道真、他3神です。背後に大きな森に囲まれていて、前面には巨石を積んだ石垣が続いています。

 

 

「拝殿」です。

 

 

 「本殿」です。

 

 

 「金堂地区」の散策を楽しんだ後、「三方よしの観光案内所」の薦めで、能登川駅へ向かうバスを途中下車して、石馬寺へ立寄りました。残念ながら月曜日で、阿弥陀如来像など重要文化財の多い寺宝は拝観出来ませんでしたが、山懐に抱かれた静謐な境内を散策することができました。「石馬寺」(いしばじ)は臨済宗妙心寺派の寺院で、ご本尊は「十一面観世音菩薩」で、開基は聖徳太子と伝えられています。

 

 「大門跡」の参道入口です。

 

 

 鬱蒼とした木立のなか、苔むした乱れ石の積まれた、長い階段を上っていきます。右に石馬寺へ、左は六所神社へ、まっすぐ雨宮龍神社への参道と分かれます。

 

 

  左の参道、「六所神社」の鳥居です。

 

 

 右の「石馬寺」へと上がっていきます。

 

 

 「本堂」です。

 

 

 

 

 「六所神社」とは地続きとなっています、巨岩の向こうに六所神社の拝殿があります。

 

 

 また急な階段を戻っていきます。

 

 

 湖東には名刹も多く、魅力溢れる地域といえるでしょう。その地域、その地域に郷土を愛する人々が守り育てていこうとする熱意を強く感じます。

 石馬寺は、仏像や秋の紅葉は素晴らしそうで再度訪れてみようと思います。

 

2015年2月記