今回は「『香落』の初形」についてです。
「香落」は非常に難しく、高島&操山教室では、この手合割を採用することはありませんでした。ただ、プロ棋士の養成機関である奨励会では、「平手」対局のほかに、この「香落」の対局が行われており、プロを目指す方にとっては「香落」対策は必須であることは間違いありません。
現在、「香落」といえば、その初形図は下図のことを指します。
(図 「香落」の初形)
前回の「飛香落」と同様に、「左香」を1枚落とします。説明は以上で、ここからは蛇足になります。
前回、「飛香落」ではなぜ「左香」を落とすのかという点について、カクザンなりの推測をしてみました。今回の「香落」についても、なぜ「左香」なのかという同様の疑問が生じます。実は、「右香」を落とす「右香落」という手合は過去に存在しているようです。例えば、江戸時代に活躍した「棋聖」と称される天野宗歩の棋譜を調べると、「右香落」という手合を見つけることができます。この手合割が現在、見られなくなった理由は分かりません。しかし、「香落」という手合割を「左香落」と「右香落」に分けるよりも、「平手」の「下位者先」(棋力が下の人が先手)としてしまった方が単純明快であり、「香落」自体がそれくらいの微差の手合割ということだと思います。逆に、なぜ、奨励会で「左香落」の対局が残っているのか、その理由がカクザンには謎です(とても興味深いです)。
「香落」定跡といえば、大変有名な名著があります。木村義雄十四世名人の著作「将棋大観」です。プロ棋士の今泉健司五段は、少年時代に、図書館にあったこの本に書かれている棋譜を、全部手書きでノートに写して、繰り返し並べて、すべての変化手順まで覚えてしまったそうです。
高島&操山教室の対象棋力は、下は30級から上は11級くらいまでを想定しています。この棋力の生徒さんには「香落」は難しすぎて、この手合割を導入する意味はほとんどないと思います。しかし、これらの生徒さんの棋力が、上級者クラスになり、有段者との「平手」対戦が可能なレベルに到達してきたら導入しても良いかもしれません。一応、手合割スタンプには、「平香交」(ひらきょうまじり)というものも過去に作成しています。「平香交」とは本来、2局指してもらい、一局は(「平手」の)「下位者先」で、そしてもう一局が「香落」というものなのですが、高島&操山教室では基本的に同一の相手との連続対戦は組まないため、「下位者先」か「香落」かを下位者が選択できる手合割という意味で用いています。操山教室の強い子たちの対戦で復活させてみましょうか?
◎中級者向け(1級~10級)以上
・詰将棋(やさしい5手~9手詰め)
・攻めの「拠点」
・「香落」の初形(New)
◎初級者向け(11級~20級)
○重要度A
・玉は包むように寄せよ
・王手は追う手
・遊び駒の活用
・詰将棋(やさしい3手詰め)
・棒銀(▲2三銀不成~▲2四歩)
・棒銀(▲1五歩、△同歩、▲同銀)
・3歩持ったら「ツギ歩」と「タレ歩」
・金はトドメに残せ
○重要度B
・
○重要度C
・「飛香落」の初形
◎初心者向け(21級以下)
○重要度A
・王手と詰み
・持ち駒
・駒得
・成り
・詰将棋(やさしい1手詰め)
・数の攻め(=足し算攻撃)
・棒銀(基本の攻め筋)
・タレ歩
・頭金
・駒の並べ方
○重要度B
・
○重要度C
・駒台
・大橋流と伊藤流
◎保留
・「王」と「玉」