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最初のニュースが出たのは9月はじめ?

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川崎市幸区の介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で昨年11~12月、入所していた80~90代の男女3人が相次いでベランダから転落死していたことが6日、分かった。施設の運営会社は「現段階では事故ととらえている」としているが、川崎市は施設側に対して原因究明や再発防止を求める指導をした。神奈川県警は不審な点がないか、経緯を慎重に調べている。

運営会社や消防などによると、この施設では昨年11月4日、入所者の男性=当時(87)=が4階から転落。続いて12月9日に女性=当時(86)=が同じ4階から、同31日には別の女性=当時(96)=が6階から、それぞれ転落した。夜間巡回中の施設職員が、窓が開いていたことなどから室内を確認して発見し、119番通報した。

いずれも未明の時間帯で、遺書などは確認されていない。3人の部屋はすべて個室で、ベランダには高さ約1・2メートルの手すりがあった。当時夜勤を担当していた職員に聞き取りをした結果、転落前の3人に特段変わった様子はみられなかったという。

施設を運営する会社の中坪良太郎本部長(37)は産経新聞の取材に「事態を重く受け止めており、再発防止のためにベランダの点検などを行った」と謝罪した。

施設は平成23年11月に開設され、6階建てで居室は80室あり、支援や介護が必要な高齢者が入居。開設以来、この3人以外に転落事故は起きていないという。

--------------------2015.9.6 産経ニュース


しかし、その後
入居者の86歳の女性に乱暴する職員の映像
(いやがる女性を男性職員がたたいたり、放り投げたりする一部始終)
が川崎市に提出され、
それがテレビで報道されたり
Sアミーユ川崎幸町で働く現役職員・B氏(37)による内部告発があったりと
徐々に真実が明らかになりつつある。


ホーム側はあくまでも事故だとしているが、
問題のベランダの手すりは高さ1・2メートルあり、
死亡した男性の身長は1・6メートル、
女性はともに1・4メートルだったし
3人は要介護2と3で、とてもベランダは乗り越えられないはず。

転落死があった日の当直職員は、
3日とも同じ20代の男性。
この男性は5月に別のトラブルで懲戒解雇されている。
この別のトラブルが何かはわからないが
噂によればこの男性は
入居者の部屋に侵入し、窃盗していたとかいないとか。

転落した日の隣家は大きな声で
「そんなこというんじゃねえ」
などとやりあうのを聞いていたらしい。
直後にモノが落ちる音がして、救急隊員が駆けつけたという。


状況的にはどう考えても
突き落としているよね。

動機も窃盗を重ねてそれが発覚したから口封じした
とも考えられるし、
単に介護のストレスから虐待→殺意が芽生えたとも考えられる。


まあ、この20代の男がやったかどうかは
じきにわかるとして
介護の現状は厳しいし、将来は真っ暗。

介護が必要とされている人間が
介護を受けられないという面ばかり語られるが
介護をする側の人間の苦しみについては
あまり取り沙汰されない。


例えば
こういった施設に入れることもできず
在宅介護をせざるを得ないのは高齢者の子や親せきだ。
彼らになどにとって
介護は肉体的にも精神的にも大きな負担なのだ。

「死んでくれればいいのに」

実の親だとしても
そう思いたくなるときもあるだろう。
だとしても誰が責められようか。

逆に
子どもたちに負担をかけて
生かされ続けている高齢者の側も
さんな状態でいることが本当に幸せなのか。
そういう問題もある。


そんな問題に切り込んだ小説が
葉真中顕の「ロストケア」だ。

ロスト・ケア (光文社文庫)
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日本ミステリー新人大賞を受賞した
いわば執筆当時は素人が描いた作品だが
その完成度は凄まじい。
しかもそれでいてちょっとした謎解きもある。

死というものに対する考え方が変わるかもしれない。
人を殺すということは悪いことなのか
という古来から人間に突き付けられた問いの答えにはならないが
いろいろと考えさせられる作品だ。