多くの夫婦が悩む「不妊症」。

治療が長期に及ぶと、精神的にも金銭的にも大きな負担がかかることも。

不妊症の原因と治療を、夫婦3組の声を紹介しながら丁寧に解説する。

 

 

 

 

4組に1組の夫婦が悩む「不妊症」。

女性の「子宮内膜症」や「排卵の障害」、

男性の「精索静脈瘤」などさまざまな原因がある。

 

治療は、まず原因への対処を行い

「タイミング法」や「人工授精」「体外受精」へと

ステップアップしていく。

 

保険適用も始まったが、

治療が長期に及ぶと精神的にも金銭的にも大きな負担がかかってしまう。

 

番組では夫婦3組の声を紹介しながら、

不妊の原因と治療、どう向き合えばいいのか丁寧に解説する。

 

 

 

 

 

放送内容

目次

  • 不妊症とは?

  • 不妊症の原因(女性)

  • 不妊治療の流れ

  • 不妊症の原因(男性)

不妊症とは?

健康に問題のない男女が妊娠を希望し、避妊をせず性交渉を行えば、多くの方が1年以内に妊娠します。しかし1年を過ぎても妊娠しない場合は、不妊症と診断されます。現在、子どもを望む夫婦の4組に1組が不妊症の検査や治療を受けています。2022年4月から体外受精などが保険適用となり、今後不妊治療を受ける人はさらに増えると考えられます。

不妊症の原因(女性)

不妊症の原因はさまざまあります。女性側の原因としては、ホルモンバランスの異常などによって、排卵に障害が起こる「排卵因子」。卵管に原因がある「卵管因子」。子宮ポリープや子宮筋腫など、受精卵が着床する子宮に原因がある「子宮因子」。子宮の入り口にあたる部分の分泌液が減ることなどによる「頸(けい)管因子」。子宮や卵管で精子の活動を妨害する抗体が分泌されてしまう「免疫因子」があります。また、原因が不明という場合も10〜20%になります。

不妊の原因を調べるために女性が行う主な検査としては、不妊の期間や健康状態を聞く「問診」。子宮や卵巣の病気などを調べる「内診・超音波検査」。卵管が詰まっていないかなどを調べる「X線検査」。膣や子宮などの免疫に問題がないか調べる「粘液検査」。さらに、ホルモンの状態を調べる「血液検査」があります。

不妊治療の流れ

不妊症の治療は、まずは不妊の原因を明らかにして、薬や手術でその原因に対処します。その後、妊娠するための治療を開始します。まずは体に負担の少ない「タイミング法」を行い、その後、「人工授精」「体外受精」とステップアップします。

タイミング法は、医師の指導のもとで排卵日を予測する方法です。「排卵」は通常、基礎体温が低温から高温に変わるタイミングで起こりますが、自分で基礎体温を測定しただけでは排卵日が正確に分からないことが多くあります。そこで、超音波検査を行って、画像で卵の状態を見ることで正確に排卵日を知り、排卵日の2日ほど前に性交渉を行うことで、妊娠の確率を上げるという方法です。

人工授精は、選別した精子をチューブで直接子宮に注入するというものです。子宮の中まで精子を運ぶ治療なので、精子の数が少なかったり動きが悪かったりする場合、頸管因子や免疫因子による不妊の場合、原因不明の場合に有効です。より妊娠しやすくするために、排卵誘発剤を併用することもあります。

体外受精は、膣の中から卵巣に針を刺して採卵を行い、取り出した卵を培養液の中で育て、選別した健康な精子を一緒にすることで受精させます。その後、受精した卵を体に戻すことで妊娠を促します。体外受精は、検査や準備などのため1か月で6日以上通院しなければならないなど、より負担が大きくなります。

不妊症の原因(男性)

WHO(世界保健機関)の報告によると、不妊の原因の半数は男性にあります。男性不妊で原因の8割を占めるのが「造精機能障害」で、精子の濃度や運動率に問題がある場合です。そのほかにも射精が正常にできないなどの「性機能障害」。精子の通り道に問題が起きる「精路通過障害」。精子に対する抗体が作られてしまい、精子の能力が低下してしまう「免疫障害」などもあります。男性の検査は女性に比べると負担が少ないため、積極的に検査を受けることが勧められています。

 

 

 

 

 

【キャスター】

八嶋智人,大和田美帆,

【講師】

東京大学医学部附属病院 准教授…

原田美由紀,

【リポーター】小林千恵,

【語り】江越彬紀,佐藤真由美

 

[Eテレ]

 2024年06月09日 午後7:00 〜 午後7:45 (45分)