いつから飲み屋さんをやってみようと思ったの?
最初はカレー屋さんをしようと思っていた。
ただ、漠然と。いつかやってみたいなぁって。
そう思っていたのはもう10年も前のことになる。
それからいくつもの月日が流れた。
もうすぐ40歳になるなぁと思っていた頃のこと。
「このまま、ずっ~と仕事を続けていてもいいのかなぁ」
「自分が本当にやりたいことって何だったんだろう?」
そんな思いが胸の中でだんだんと広がっていった。
人を使わず、人にも使われず。
人に頼らず、人にも頼られず。
自分で考え、自分で実行し、自分の責任で生きていく。
そんな強い人に、私はなりたい。
(中略)
飲み屋を出すのにいくらぐらいかかるんだろう?
知り合いの居酒屋の店長さん、バーのオーナー、スナックのママさんたちに聞いてみた。イチから店を作ると数百万円から一千万円の大金が必要だけれども、人を雇わず、誰かがやめたお店に居ぬきで入り、こじんまりとやっていけば百万円から二百万円もあれば何とか開店はできるようだ。
でも、私には居酒屋さんのように美味しい物を提供する料理の腕もないし、スナックのママみたいに人を雇う才覚も持ち合わせていない。
ただ、あっちこっちで飲み歩いてきたお酒の知識と老若男女を問わずに接してきた多くの知り合いが居る。人生の多くの時間をお客さんとして見てきた経験がある。
飲み屋の人が考えないような発想で取り組めば、意外に面白いことができるんじゃないだろうか?
じゃあ元手をためて将来に備えようと思っていた矢先に、会社から退職金を先に支払いますとの通知が来た。日本版401k「退職金前払い制度」ってやつだ。
これって何だか運命の歯車に乗っちゃったのかな?
渡りに船ってやつでそれからは何だかいろいろとお金が入ってくるようになってきてた。そうしてなんとかなりそうな金額がたまった。
それじゃあ40歳の誕生日を機に独立してお店を始めよう。