もう昔のことだ。

付き合ったり別れたりを、何度も繰り返していた女(ひと)がいた。
やはり、そういう関係はうまくいかなかった。
最後は後味の悪い別れ方をした。

・・・・・

こっちに来てから、その女(ひと)宛に手紙を書いた。
当時、別れてからすでに2年が経っていた。
もう俺のことも忘れていたかも知れない。
でも、俺の中ではもやもやがあった。

 


 
     「謝りたい」


 

 
ただそれだけだったが、その思いは2年間、ずっと消えなかった。
もちろん、別れたときから、「好き」とかいう気持ちはない。
ただ、謝りたかった。
自分の中で、そうしないと終わらない気がしていた。

 

2年の間、いろんな方法で謝ろうと考えていた。
だが、ただの一つも実現しなかったが。

 

その時、手紙を出せたのは、自分自身の境遇の変化、ただその一言に尽きる。
結婚する前に、そのもやもやした思いを消しておきたかった。

 

自分勝手な都合。
自己中心的な考え。
相手の気持ちをまったく考えていない、と言われても仕方のない行動。

 
それは十二分に分かっていた。
だから今まで謝ることができなかったのだから。
 

きっと、手紙を読めばいやな思いをするだろう。
いや、読む前に捨てられているのかもしれない。
あんな結末だったのだから。

 
それはそれでいい。
自分の思いは届かなくてもいい。
自分の中で、その思い出が浄化されれば。

 



ただ、時折物思いに耽ることがある。

「あのひとは今、どんな暮らしをしているのだろう」

幸せに暮らしているのだろうか。