通り過ぎた後も吹き返しの風で思わぬ怪我をするコトもあります。どうか不要不急のお出かけはなるべく控えてくださいね。
8月1日。メチャメチャ暑い金曜日。下北沢 SEED SHIPに行ってきました。
まだ7月23日のback numberのレポートも書いていないので、ちょいと順番は違うんですが、その辺はお許しを。必ず書きますので。(;^_^A
いや、この日はね。僕の中で思い入れのあるライヴだったんです。それは最後に書きますね。(*^.^*)

会場に着いたのは18時25分。開場時間の5分前でしたが、やはり平日の、しかも金曜日というコトなのかな?出足は遅かったようで僕は2人目でした。

入り口のところには、佳奈さんの手作りのフライヤーが。4コマまんがも描かれていたりして、字もとても綺麗なんですよね。こういう細やかな気持ちが、嬉しいです。(*^.^*)

佳奈さんと出会うきっかけを作ってくださったmyさんの言葉通り、一列目に陣取るコトができました。鍵盤前でしたが、もう少し右手に座ればよかったかな。これじゃ横顔しか見えない・・・っと思いましたが、それはそれでまた収穫のあった席でした。^ ^
この日は唄子さんのバースデイ・ライヴというコトで、4組のアーティストさんが集ったライヴでした。僕は佳奈さん以外は初めましてだったので、ちょいと新鮮。
また、持ち時間が変則的で、一番手の広島さんとトリの唄子さんは30分、佳奈さんと記憶のソーダさんは40分という形。これは珍しかったですね。
では、それぞれのアーティストさんのご紹介を。この日のアーティストさんは、それぞれ皆さん毛色の違った音楽性をお持ちで、それがまた楽しかったですね。^ ^
広島綾子さん
鍵盤を弾かれるアーティストさん。オリジナル2曲にカバー3曲。カバーはダニエル・パウターの「Bad Day」に、ゴスペル、そしてなんとEagles(リンダ・ロンシュタットかも?)の「DESPERADO」!大好きな曲なのでね~!ちょっと興奮しちゃいました。広島さんは洋楽の曲を自分で日本語で歌詞を付けるのがお好きなんだそうで。ただ、個人的にはもう少しオリジナルを聴いてみたかったかな。独特の雰囲気と歌い方を持っていて、低音~中音に深みのある声が印象的でした。
記憶のソーダさん
ピックを使わない奏法のアコギの男性とボーカルの女性のユニット。温かみのある柔らかい演奏と歌声に、ちょいとゆるい感じの曲調が、これまた独特の雰囲気を醸し出していました。このライヴの後、関西方面に遠征されるそうなんですが、ボーカルの方がその為に仕事を失ってしまわれたそうで・・・「この後物販に賭けます!」っと意気込んでおられたのは、凄いな、と改めて思いましたし、彼女の笑顔が印象的でした。また、5曲目か6曲目だったか・・・アップテンポの曲で会場から手拍子が入ったんですが、「初の手拍子です!」っと喜んでおられました。^ ^
唄子さん
ある意味、もっとも強烈な個性を持ったアーティストさんでした。なんて表現すればいいんだろう・・・広島さんは「森の中で聴いているような」佳奈さんは「山で聴いているような」(その後「神聖な感じがするから地鎮祭みたい」というかなり変わった表現をされていて、ご本人もそれをMCでネタにされておられましたがww)そうですね・・・神秘的な、と言えば一番伝わりやすいかな?声を張るコトは殆どなく、ささやくように語るように歌う。爪弾くのはガットギター。好きな方はトコトンはまるタイプのアーティストさんだと思います。実際、僕の隣りにおられた方。もう、ろれつが回らない位酔っておられたけど、唄子さんに手作りのバースデイカードを渡す時には、意外とシャンとしておられました。惚れた弱みかな?(笑)
さて、この日は2番目に登場された佳奈さん。もちろんハコで、しかもグランドピアノで聴くのも初めてです。
正直、ちょっと緊張してしまって、体が固まっているのが自分でもよく分かるほど。う~ん・・・小心者はやっぱりもう少し後ろの席の方が落ち着いて聴けるのかな。(;^_^A
この日は白いTシャツにジーンズというラフないでたち。結構高いヒールを履いておられたので、よくあの高いヒールでピアノのペダルを踏めるモノだ・・・なんてヘンな感心をしてしまった。(笑)
では、セットリストを。
1.あの陽だまりは瞼の裏
2.種を蒔く、何もない場所に
3.ばかみたい
4.マザコン
5.ファイト!(中島みゆきさんカバー)
6.strings
7.パラダイムシフト
4人の対バンでは、持ち時間30分で5曲ずつというのが普通なんですが、前述したとおり、この日の時間配分はちょいと変わっていたので、なんと7曲も聴けるという僥倖!

にもかかわらず、僕はと言えば、1曲目の「あの陽だまりは瞼の裏」から、最後の「パラダイムシフト」まで、ずっとウルウルしっ放しで・・・

途中もし、「ばかみたい」と「マザコン」がなかったら、おそらく最後の2曲はボロボロに泣いていただろうなあ・・・(ノ_・。)
松本佳奈というアーティストの最大の武器は、彼女の紡ぐ、偽りのない真っ直ぐな歌詞。「これを伝えたいんだ!」という、愚直なほどに真摯な歌唱。そこには、よくありがちな大袈裟な虚飾などは一切なくて、びっくりするほど「そのままの想い」が突き刺さる。
声はむしろハスキーというか、中島みゆきさんのようにドシッとパンチがある感じなんですが、聴いているうちに、それがいつのまにか透明感溢れる雰囲気を醸し出してくれるんです。
以前の記事にも書きましたが、佳奈さんのコトを「こんな重い音楽が売れるワケがない」と酷評した人がたくさんいたそうです。確かに、佳奈さんの紡ぐ歌詞は、「いじめ」や「孤独」「馴れ合い」「体裁」「死んだように生きるのはもうやめた」「「生きることの価値」といった、重い言葉が連なります。
でもね。きっと誰もが、どこかで感じたコトのある思いだと思うんです。生きていれば嫌になるコトも、辛くなるコトも、孤独を感じるコトも、周りから阻害されていると感じるようなコトだって、ある。「自分は必要とされているんだろうか」と悩むコトだって・・・
佳奈さんの「価値」という曲の中に、こういう歌詞があります。
♪誰でもいい 気づいてあげて あなたが必要って言ってあげて 生きてるだけで価値はあるんだよ そう言ってあげたい あの日の私に♪
佳奈さんは、ご自分が過去経験されたいじめや家庭問題などを、全く包み隠さず語り、そして歌ってくれる。きっとね。同じような想いを持つ方々の心に、佳奈さんの声は届く。佳奈さんの紡ぐ歌詞や歌を必要としている人が、たくさんいると思うんです。
もちろん、僕もね。(*^.^*)
正直、佳奈さんのステージは別格でした。グランドピアノの奥深い低音の効いた強い音に、軽やかなタッチの高音部と、メリハリある演奏に、マイクの音量を上げたんじゃないか?そう思わず感じてしまうほど、迫力ある音圧を感じるほどの歌唱。
この日のアーティストさん、皆さん冒頭に書いたとおり個性的な方々ばかりだったんです。表現方法もそれぞれ全く違う。ですから、決して中傷するワケではないコトはご理解ください。
でも。決して贔屓目ではない「確かな存在感」が、そこにありました。
いや・・・こんな、こまっしゃくれた言葉を幾ら重ねても、伝わりきらないんだよなあ・・・表現力のなさに自分でも嫌気が差しますが・・・
7月13日、国分寺で初めて聴いてから。7月27日が仕事で聴きに行けなくて。ツイッターで行かれた方々の声を目の当たりにして、ホントに落ち込みました・・・(ノ_・。)
この日を待ち焦がれて、そしてまたしても見事にやられてしまった。
本来なら全部の曲をここでご紹介したいくらいなんですが・・・そういうワケにもいきません。
まずは、この日まさか聴けるとは思っていなくて、とても嬉しかったこの曲を。
「ばかみたい」
コミカルな曲調とはうらはらに、その歌詞の持つメッセージ性は相当に強烈です。
♪「これが普通でしょ? みんなそう言ってるよ」って あなたの普通を押し付けないで 私には私の生き方がある 大勢と同じなんてばかみたい♪
「松本佳奈」という一人の人間としての意志の強さが、存分に発揮された歌詞です。思わず「うんうん!」っと頷きながら聴いている自分に気付いて、ちょっと照れくさくなってしまったり。(笑)
佳奈さんの歌唱には、一つ特筆すべき点があります。それは「台詞のように語る」部分があるというコト。前述の「ばかみたい」や、この日歌ってくれた「マザコン」にもその部分が出てくるんですが、中島みゆきさんのカバーである「ファイト!」にも、それが顕著に見られます。
「ファイト!」
この曲は本当に難しいと思います。みゆきさんだからこその歌だと思うんですが、決して単なるカバーでは終わらず、独自の解釈と歌い方で、見事にこの曲の持つスケールの大きさを「松本佳奈色」に染め直して表現されていると思います。
実際、アカペラで歌い始めた瞬間から、体中のあちこちがザワザワぞくぞくとしてね・・・止まらなかった。
ラストを飾った「strings」と「パラダイムシフト」は、これからの佳奈さんのライヴでは、おそらく欠かすコトのできない代表曲として歌い続けていかれるでしょう。もう、この2曲で僕は涙腺が完全決壊しました。
myさんがおっしゃっておられましたが、インディーズで特別にお金をかけてプロモーションをしたワケでもないのに、「strings」のMVは、公開日からたった1年で再生回数17000回を超えているんです。
そしてもっと凄いのは、「パラダイムシフト」のPV。リリースからまだ3ヶ月にも満たないのに、僕が初めて観た7月初旬で既に5000回を超えていたんですが、今現在、どの位の再生回数だと思いますか?なんとたった1ヶ月で6000回余りを積み上げ、11000回を突破しているんです!(ノ゚ο゚)ノ
PVの出来が秀逸である、というコトもあると思いますが、老若男女問わず心に響いてくる佳奈さんの楽曲の素晴らしさが、今の再生回数を実現させたんだと、僕は思います。^ ^
この2曲について、僕が何かを語る必要はないと思います。とにかく是非、聴いてみてください。
「strings」
「パラダイムシフト」
やっぱり、真横の席でよかった。五十路のオヤジが最前列で目頭を拭っている図なんざあ、見られたくないですからね。(笑)
さて。唄子さんのアンコールが終った後。「ちょっと待ってください!」っと言いながらステージに走って来る方が。なんと、佳奈さんでした!何事か?っと思いましたが、佳奈さんはそのままグランドピアノの前に。いつのまにか記憶のソーダのお二人も舞台袖に。
「せーの!」(だったかどうかはあやふやですがww)佳奈さんが「Happy Birthday To You」を奏で始めます。会場からあったかい合唱。そして、お誕生日だった唄子さんに、記憶のソーダさんから花束が贈られて。素敵な一瞬でした。それにしても・・・
立ったまま満面の笑顔でグランドピアノを弾いていた佳奈さん。
きっと、この日のコトは、忘れないな。ずっと。^ ^
佳奈さんは地元の木更津を中心に活動をされています。なので、ライヴ後は電車の関係で最後までいられないコトもあると聞いていたので、物販は佳奈さんのステージが終わった後、ブースに来られたのが見えたので先に。
見ると、佳奈さんともうお一人女性の方がブースにおられました。佳奈さんがお釣りを取ってくると控え室に戻られたんですが、その時にふっと頭を過ぎったコトがあって。
佳奈さんはツイッターをされているんですが、最近同じアカウントで「スタッフさん」がライヴ情報などをつぶやかれることがあって。「間違っていたらごめんなさい。ひょっとしてツイッターの「スタッフ」の方ですか?」っと聞いてみると、「はい、そうです!」やっぱり。^ ^
「ひょっとしたら、スタッフなんて実在しないんじゃないか?と思われませんでした?」とおっしゃっていて。「そんなコトはありませんよ」とお答えすると、「なるべく感情が入らないように気をつけているんですよ~」う~ん、やっぱり何かと気苦労もあったりするのでしょうね。(;^_^A
物販では復刻した1枚目の「strings」と、2枚目の「昼下がり、旅日和」を。


なんせまだ2回目ですから、なかなかうまく声をかけられず・・・相変わらずの小心者ぶりを大いに発揮してしまったんですが、一つだけ以前から聞きたいコトだけは聞くコトができました。
「パラダイムシフト」のPVに「キーワード」のように出てくるたくさんの鏡の映像。あの意味を聞いてみると、佳奈さんは「あれは、自分の中の枠を表していて、そこから飛び出したいという意味を込めたんです」と教えてくださいました。相当上がっていたので、言葉は若干違うかもしれませんが、そういう意味なのだそうです。
確かに、途中鏡の中に隠れたりする映像がありますが、最後にはそこから飛び出て、外の世界に歩き出しているんですよね。納得です。

一部には「木更津のジャックナイフ」という異名を持つ佳奈さん。確かに歌詞には強烈な鋭いメッセージが込められていますが、実際にお話しすると、とても穏やかであたたかい方です。
どんな方のライヴ後の物販でも、緊張してまともに話せなくて、それが原因でもっと緊張してしまう僕ですがww、佳奈さんの時は話せなくてもいいんじゃないか?なんて思わせてくださるような、柔らかい物腰をお持ちなんですよね。(*^.^*)
実は、この8月1日は、僕の51歳最後の日でした。冒頭で「思いいれのあるライヴ」と書いたのはそういう意味で、事実、佳奈さんのライヴであの年齢を終れたコトは、とても幸せでした。(*^.^*)
もちろん、そんなコトは一言も言えませんでしたが。(笑)
今、佳奈さんは岩手の被災地に行かれています。あの震災以降、毎年欠かさず続けておられるのだそうです。確か今日戻ってこられるのかな?
8月、東京近辺ではあと2回、佳奈さんのライヴを聴くコトができます。どちらもフリーライヴですので、どなたでも聴いていただけます。
8月25日 赤坂サカスで、四谷天窓のコンピレーション・アルバム「PIANO & WOMAN」のリリースライヴ。
8月30日 川崎・新百合ヶ丘エルミロードで、レーベルメイトのツヅリ・ヅクリ、入日茜さんと一緒にインストアライヴ。
そして、木更津では中旬に色々なところで歌われる予定があります。詳しくは佳奈さんのホームページをご覧になってみてください。
松本佳奈 Official Web site
もし、お時間が合うよという方がおられたら、是非是非一度佳奈さんの生の声を聴きにきてください。決して損はさせませんよ!^ ^
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