あの日にかえりたい | yukkiのFUN!FUN!MUSIC♪

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昨年、福山雅治さん主演で公開された「そして父になる」という映画がありましたね。病院での赤ちゃん取り違えが発覚し、6歳まで育てた子供が自分の実の子供ではないことが分かり、葛藤し悩みながら自分、子供、そして家族を見つめなおす、というものです。

・・・なんて偉そうに書いた割には、僕はまだ観ていないんですけどね。(;^_^A


先日、会社で昼休みに読んでいた神奈川新聞に、こんな記事が載っていました。

東京都内の病院で1953年3月、13分違いで2人の男の子が生まれました。ところが、両親に渡す時、取り違えられたことが60年近く経ってから分かりました。

2人のうちAさんは裕福な家庭で育ち、大学を出て現在は自営業です。もう一方のBさんは父親が2歳の時に亡くなった為、家計が苦しく、中学を卒業してからずっと働いてきました。

Aさんと弟3人が両親の遺産などをめぐって争い、遺伝子情報でAさんがこの家の子ではないことが確認されました。そして弟3人が実の兄のBさんを探し出したのです。

Bさんは病院を相手に裁判を起こしました。病院には実の両親に実の子を引き渡す義務があり、それを果たさずに損害が発生した場合、民法により損害を償わなければなりません。裁判所はBさんの精神的な損害の償いとして、3千万円余の支払いを病院に命じました。

Bさんは「(亡くなった実の両親に)会いたかった。写真を見て涙がこみあげてきた」「生まれた日に戻してほしい」と語っています。

取り返しのつかない過ちの償いが3千万円余りでいいのか、考えさせられます。


(神奈川新聞の記事よりお借りし、抜粋いたしました)


Bさんは、お父様が2歳で亡くなってしまった為、かなり厳しい生活をされておられたそうです。4畳半1部屋に母子4人で生活保護を受けながらの生活。家電製品は一切なく、学校での話題にもついていけない。家計を助ける為に中学卒業と同時に働き始め、今はトラックの運転手をされているそうです。

かたやAさんは、裕福な家の長男として育ち、もちろん大学にも行って、今は親御さんの会社を引き継ぎ、社長をされておられるそうです。


こうして見れば、Bさんの方が明らかに不遇を囲った人生を歩んでおられます。Bさんのおっしゃる「生まれた日に戻してほしい」という切実な訴えには、正直病院への激しい憤りを感じます。

こうして、大きく人生を変えられてしまった、その償いに3千万円余りの賠償金でいいのか?あまりにも少なすぎるのではないか、と僕も思います。有体に言えば、「人一人の人生をメチャクチャにした」ワケですから。

一部報道では、Aさんのご両親からの相続を一旦破棄して、改めてBさんも含めた上での分配し直しが行われるので、額が抑えられたのではないか?とも書かれていますが、僕はそんな問題じゃないと思います。それはそれ。

あくまでも、あってはならない「取り違え」という、取り返しのつかない間違いに対する「賠償」として、単体で考えるべきモノだと思うし、やはりそれにしては余りにも、安過ぎる。パンチ!


一方で、Aさんに対する「バッシング」というモノも、かなり目立ちます。お母様が亡くなられた後、「自宅でお父様の介護をする」という約束のもとに、家屋敷や土地を相続したAさんが、実際はお父様を介護施設に入れようとしていて、結局弟さん達が交代で介護。それでもAさんは介護に全く協力的でなかった、その為に弟さん達から「本当に実の兄弟なのか?」と疑念の目を向けられて今に至る・・・などと言われています。

真偽の程は定かではありませんね。こういう時、世の中の風潮として、必ず「善」と「悪」を作りたがります。実際のコトがはっきりわからないうちに、周りからの取材や「近い人からの証言」(これ、一番危ないですよね)として、あるコトないコトがばら撒かれる。

真実が明らかにされた段階では、世の感心はもうとっくに薄れていて、結局人の記憶には間違っているかもしれない偽の「事実」だけが残る・・・怖いです。

確かに、その報道を信じれば、Aさんの性格にもかなりの問題があるように見受けます。

ただ・・・もしAさんが何らかの形で「自分は本当の子供ではない」と疑いを持っていたか、あるいは知っていた(事前にDNA検査を自ら受けていた、という報道もありますね)としたら・・・

その事実が明るみに出て、全てを失い追い出されるかも、と追い詰められていたとしたら?

僕には、Aさんのような行動を絶対とらない、とは断言できません。


Bさんが興味深い発言をされています。

「母に『お前は誰に似たんだろうね』と言われたことがあります。確かに、兄達と僕の足の形は全く違います。体格も似ていない。自分はひょっとしたら・・・と思ったことがあります」


もしも、全く同じようなことを、子供の頃からAさんが思い悩んでいたとしたら・・・

Aさんも、境遇は大きく違っても、「被害者」であるコトに変わりはないんです。



Bさんの語った重過ぎる一言。


「生まれた日に戻してほしい」


本当は、陽水さんの「人生が二度あれば」をかけたかったんですが、今つべには音源がないんです。

なので、ユーミンのこの曲を。






「あの日にかえりたい」 荒井由実

泣きながらちぎった写真を
手のひらにつなげてみるの
悩みなき昨日の微笑み
わけもなく憎らしいのよ

青春の後ろ姿を
人はみな忘れてしまう
あの頃のわたしに戻って
あなたに会いたい


暮れかかる都会の空を
想い出はさすらってゆくの
光る風 草の波間を
かけぬけるわたしが見える

青春の後ろ姿を
人はみな忘れてしまう
あの頃のわたしに戻って
あなたに会いたい


今愛を捨ててしまえば
傷つける人もないけど
少しだけにじんだアドレス
扉にはさんで帰るわあの日に



こうして振り返る青春さえ、人の手の過ちによって、生まれ落ちたその日から歪められてしまった。


お金がある裕福な暮らしだけが「幸せ」だとは思いません。ただ。

生活保護を受けざるを得ない暮らしは、決して甘受できない、途方もない辛さを伴った筈。


もう戻ることなんてできないコトはわかっているけれど、それでも。


なんとも、やりきれません・・・