今日は記事を書くつもりはなかったんですが、読み終わった小説に感動してしまって、ついご紹介したくなりました。
「四十九日のレシピ」という本です。伊吹有喜さんという方が書かれた本なんです。これ、自分が読みたくて買ったワケではないんです。読む本を買い忘れてしまって、カミさんの書棚を物色して拝借したんです。
かいつまんでご説明すると、妻を突然の病で亡くした初老の男性。その娘は嫁いだ先から家出して実家へ。ちなみにその娘と、亡くなった母は血の繋がりがありません。先妻を病で亡くした後、男性は再婚したんです。複雑な気持ちを持ちながらも、娘はその継母が大好きでしたが、その気持ちを伝えられないまま、継母は天国へ旅立ってしまって・・・一方、その男性(父)は、朝、ささいな諍いから妻の作ってくれた大好きな弁当を受け取らず、出かけてしまうんですが、その後妻は病に倒れ、帰らぬ人となってしまいます。「最後になってしまうのなら、何故あんな態度を取ってしまったのか・・・」そんな葛藤に、苦しむ日々。
父と娘。どちらも伝えるべき言葉を伝えられず、後悔の念で苦しむんですが、そこに・・・
いやー、この小説にはやられました。最初の出だしはどうなっちゃうんだろう?と言うくらい、救いがありません。死・義母の介護・不妊・親戚の辛辣な言葉・夫の不倫・不倫相手の妊娠・不倫相手の自傷行為・・・
でも、この継母の「レシピ」によって、家族は幸せを少しずつ取り戻していきます。それがもう・・・

僕は知らなかったんですが、この「四十九日のレシピ」昨年ドラマ化されたんですね。ご覧になった方もおられるかもしれません。
随所に心揺さぶられる言葉が散りばめられていて。そのどれもが、決して特別でも、華やかでもないんです。静かに、穏やかに、心に沁みていくんです。
「きっと人生には何かが必要だ。食って寝て起きての日々を鮮やかに彩る何かが。幸せな気持ちを作り出す何かが。笑い、喜び、驚き、ときめき、期待する、心を動かす美しい何かが。それはきっと、自分も百合子も、そして目の前のこの乙美という女も、必要としていながら長らく手にしていなかったもの・・・」
どこに、どういう風に出てくる文章かはあえて伏せますが、当たり前な日常の中に、なくてはならないモノなんですよね。そう思います。
そしてこの物語は、とても静かにとても優しく、時を刻んでゆきます。
もし、よかったら、読んでみてください。
ちなみにドロドロがお好きな方には、途中まではいいかもしれませんが、最終的には不向きだと思います。(笑)
この本を読んでいて、浮かんだ曲があります。
こんな気持ちになる本だと思っていただければ。
どうぞ。
「家族になろうよ」 福山雅冶
この記事、読み返してみましたが・・・
ガラじゃないですね。(笑)
でわでわ。

四十九日のレシピ (ポプラ文庫)/伊吹 有喜

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