『ジャンヌ・ド・リュクサンブールの告白』
でオルレアン公の暗殺について書きました。
暗殺の犯人は王弟オルレアン公ルイと対立
していたブルゴーニュ公ジャン1世(無怖
公)ですが、無怖公が暗殺という極端な手
段を使ったのは、無怖公は若い時に十字軍
に参加して捕虜になり、イスラム教徒に
殺されるかもしれないという恐怖を体験し
それがトラウマになったからだと考えてみ
ました。死の恐怖や屈辱的なことなど極端
な自我の崩壊を体験した者は本能的にそう
ならないように極端な手段を使い自己弁護
も天才的にうまくなってしまう、何かスイ
ッチが入ってしまってそういう人ほど人々
は怖れて言いなりになってしまうのではな
いかと考えました。カルヴァンなどもその
タイプだと思います。
そしてオルレアン公暗殺後のイザボー王妃
の行動も気になります。なぜ今度は無怖公
の愛人になってしまうのか。淫乱王妃と仇
名がついていますが、本当の理由は淫乱だ
からというよりも無怖公に脅されて言いな
りになるしかなかったのではないかと。そ
して脅しのネタがシャルル7世の出生の秘
密だったのではないかと。
もちろんこれは自分の想像ですが、そう考
えることで自分の中ではすっきりしました。