警官死亡、セリエA無期限停止も イタリア1部リーグ、セリエAで過激サポーターによる暴動が発生し警官1人が死亡した。2日のFW森本貴幸(18)所属のカターニャと、同じシチリア島を本拠地とするパレルモとの「シチリア・ダービー」で、暴動を止めに入った警官が顔面に爆竹の直撃を受け死亡。15人が逮捕された。71人が病院に運ばれ手当てを受けた。同国協会のパンカッリ会長代理は、週末の全試合の中止とリーグ戦の無期限の停止を示唆。昨季の八百長事件に続き、イタリアに激震が走った。 試合は当初4日に予定されていたが、地元の守護神を祭るサンタガタ祭と重なるため2日に変更された。それでもカターニャ市内は混雑し道路は渋滞。パレルモのサポーターで、試合前に入場できたのはわずか20人強。バスで移動した大部分の1000人が到着したのは前半終了後だった。それを待ち受けたカターニャサポーターが挑発し、競技場内外で発煙筒の投げ合いなどが始まった。 暴動にカターニャ・森本ヒヤリ…死者1名、セリエA停止も グラウンドに発炎筒が投げ込まれる。スタンドで爆竹が鳴る。騒ぎを抑えるために警官が発した催涙ガスが競技場内に充満した。試合中の選手が、白煙に覆われたグラウンドを逃げまどう。主審は試合の停止を決断。後半12分だ。ベンチにいた森本ら両軍選手たちは慌てて控室へ通じる通路へ避難した。35分間の中断の後に再開されたが、その時、競技場の外では大惨事が起きていた。 サポーターが暴動を起こし、警察との大乱闘に発展。火炎が立ちのぼる戦場さながらの修羅場と化した。暴徒が警官のいる車内に投げ込んだ爆竹がラチーティ巡査長(38)の顔面を直撃し爆発。巡査長は病院に運ばれたが間もなく死亡した。場内外で14人が逮捕され、負傷者は100人近くに及んだ。イタリアのANSA通信は、3カ所の病院で71人が手当てを受けたと伝えた。
イタリアの競技場を取り巻く治安の悪さを露呈した惨事だ。シチリア島を本拠とする両チームの“ダービー戦”は4日に開催予定だったが、10万人以上でにぎわうサンタガタ祭と重なるため日程を2日繰り上げた。それでも暴動は防げなかった。パレルモのサポーターが乗ったバスの競技場到着が遅れ、後半開始ごろになったことが騒動の発端。場外でサポーターと警官が衝突し、場内にも暴動が波及した。 3日付のコリエレ・デラ・セラ紙は警察幹部の「彼らにとって警察が第一の敵だ。一部の凶暴な集団はマフィアより危険」という訴えを掲載した。カターニャの検察当局は競技場を差し押さえて、専門家に検証を依頼。悪質なサポーターを摘発していく方針だ。 イタリアでは、前週にもアマチュアリーグで起きた暴動で関係者1人が死亡している。この日の試合前には犠牲者に黙とうが捧げられたが、その約1時間後に死者が出る惨劇が発生。イタリア協会のパンカリ臨時代表は「もうたくさんだ」と、5日に政府関係者と話し合って対策を協議することを決めた。プローティ首相は「わが国のスポーツを失墜させないために明確なメッセージが必要だ」とし、新たな取締法の必要性を訴えた。 昨夏、ユベントスなどが絡んだ不正問題に揺れたセリエAに、新たな不祥事が勃発。イタリア選手協会のカンパーナ会長は「サッカーを取り巻く文化が変えられるか、1年間のストップが必要だ」と提案した。昨年のドイツW杯で優勝したイタリアが誇る世界最強リーグ・セリエAが、4カ月間の今季日程を残してシーズン終了となる可能性すら出てきた。 完全移籍白紙?森本 最悪退団も 苦しそうに口をふさいでロッカーに逃げる森本 セリエA日本人史上最年少ゴールを決めてから、わずか6日。森本の今後が極めて不透明になった。森本の獲得に尽力したプルビレンティ会長は「一晩眠らずに考え、身を引く決心をした」と明言。「この事件で癒やすことのできない傷を負った」と疲れきった表情で話した。前日にはロモナコGMが「チャンピオンズリーグ進出だと言っていても、ここでの開催は無理だ。長いことサッカーの世界にいたが、もうたくさんだ」と話しており、森本を支えたクラブのトップ2人がいなくなることになりそうだ。 今季の残りの公式戦が中止となった場合、試合出場機会を失うことは森本にとって大きな痛手だが、さらに深刻なのは来季以降だ。現在の首脳陣は、東京Vからの移籍に尽力し、プリマベーラ(ユース)から時間をかけて育てる方針を打ち出してきた。森本に理解のあるクラブのトップが経営から退き、新たな経営陣が就任すれば、チームづくりの方針も変わる可能性が高い。
今後について森本の関係者は「現時点ではコメントはできない」と話した。森本の保有権を持つ東京Vも「事実関係の確認も取れておらず、コメントのしようがない」と困惑気味。サッカーの本場で起きた愚行は、将来を有望視される18歳の未来にも大きな影を落としかねない。 ≪小笠原、大黒にも影響≫シチリアダービーの暴動の余波を、同じセリアAのメッシーナMF小笠原、トリノFW大黒も受けることになった。シチリア島に本拠を置くメッシーナは3日のレジーナ戦、トリノは4日のシエナ戦が中止となった。森本ほど影響が大きくないとはいえ、今季のリーグ戦が中止となれば今後について考えざるを得ない状況だ。オシム監督は欧州組でも試合出場を招集の条件としているだけに、代表から遠ざかっている2人の復帰もさらに遠のくことになる。 ≪俊輔「プレーに集中を」≫事件は他クラブの選手にも衝撃を与えた。05年までセリエAのレジーナに所属したセルティックMF中村は「イタリアではそういうことが起こる。負けて練習場にサポーターが乱入したこともあった。死者が出るのは寂しい。選手には大変な中でもプレーに集中してほしい」。ローマのFWトッティは「サッカー界において悲劇的な瞬間だ。遺族に対して悲しみで胸が締めつけられる思いがする」と悲痛なコメントを発表した。 |
セリエAは今後全て無観客試合にしたらどんなもんだろ
国民性と悪質サポーターの歴史と言ってしまうだけじゃ
死人が出る騒ぎは尋常じゃないね・・・。
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