放課後 部活動も終わって人気の無くなった体育館の脇の一室の着替え室
窓は高いところに細長いものがあるだけで さほど光も入らないところ
ドアを開けられても すぐには見えない隅っこの方で こっくりさんは始まった
彼女の顔色と その子を心配する友達 子供ながらにウソではないのはわかっている
紙にお約束の鳥居を書き準備をして どんなに恐くても10円玉から指を離さないよういった私に
すでに涙目で頷く彼女
「頑張らなきゃ・・・・」
小さく深呼吸して10円玉に指を置き 二人に目で合図 心の中で「いくよ」と囁く
「こっくりさん こっくりさん お入りになりましたら はいの方へお進み下さい」
3度ほど言うと すーーーっと『はい』へ動く
私はもう一度 小さく深呼吸して
「何月何日 ○○ちゃんがこっくりさんをした時の方ですか?」
10円玉が すーーっと『いいえ』へ動く やっぱり違うか・・・・
「その こっくりさんをご存知ですか?」
『はい』
「その方を呼んでいただけますか?」
『いいえ』
「お願いします」と『いいえ』が数度繰り返された後 なんとか納得してくれたらしく
「そのこっくりさんを呼んで あなたはお帰りください」には 素直に従ってくれたかに見えた
一回休憩・・・・不安気な彼女を元気付けしつつ 自分も不安に襲われていた
ものすごく邪悪な気配が満ちていて 学校の中なのに 全然知らないところに居るような・・・・・
両手をブラブラさせて やっぱりかなり本気モードはエネルギーを使う
「こっくりさん こっくりさん お入り下さい お入り下さいましたら『はい』の方へお進み下さい」
動かない・・・・3度・5度 呼びかけでも動かない
もしかしたら 来てくれないのかな?と思った瞬間 10円玉がいきなり紙の上を縦横無尽に走り出し
右へ左へ上へ下へ 紙からはみ出てしばらく動きまわる
『お戻り下さい!!』 私もだっただろうけれど 二人は顔面蒼白で
ただただ10円玉から指を離すまいと必死
すーーーーーっと動きが静かになり 静かに50音に書き並べられた字の上を這う
『・・・・・・し・・・・・・・・・・ね・・・・・・・・・・・』
こっくりさんはそう指し示すと 鳥居の印に戻り 何を聞いても謝っても
再び 『・・・・・・し・・・・・・・・・・ね・・・・・・・・・・・』と示す
ついに彼女は泣き出し でも必死に10円玉から指を離さず 左手で顔を覆い泣き出した
とにかく 彼女が謝罪していることと 許して欲しい事 何度も何度も訴え続ける
でも答えは 「お・・・ま・・・・え・・・・を・・・・こ・・・・ろ・・・・す」
背筋が凍る 対象が私である事は想像できる
記憶があいまいなんだけれど とにかく私は怒鳴ったとは思う
許しを請い 恐怖の中で たぶんなにかがブチ切れた
「いい加減にしろ!」なのか 「バカタレ!」なのか 「殺せるもんなら殺してみろ!」なのかはわからない
ピタッと10円玉の動きが止まり すーーーっと鳥居のマークに戻った
「許していただけますか?」
戻った10円玉につぶやくと『いいえ』を何度も繰り返す
何度もやりとりを繰り返した後『ばいばい』と言い残し それっきり何を聞いても動かなくなり
鳥居のマークにも戻っていかず時間が経過
日は傾き すでに夕闇 このまま続けていては 絶対先生に見つかる
意を決して 「もうやめます 指を離します お許し下さい」と
「せーの」で指離すという事をした
体育館へ出ると 第2音楽室から明かりが見え
3人は恐くなっていっせいに走り出し 何も会話のないまま別れた
(後から冷静になれば 学童保育室があり そこには両親が働く子供たちが ワイワイと過ごしていたけれど
私も その二人もそういう放課後があるのを知らなかった)
家に帰ると いつもの時間を過ぎていて 親が心配していて
たぶん 憔悴した様子に気がつき問い詰め 事実を知ったわけで
「もう二度としない事」と言い あまり咎めもせずで 私はありがたかったけれど
その後 彼女の弟さんが退院したところまでは聞いた気がするけど
小学校卒業で 後の彼女の事は 全くわからない
あの日以来 なんだか話すことさえ躊躇われたから・・・
こっくりさんは 興味本位に安易に行なってはいけません
低レベルの動物霊が 人をマヤカシにやってくる
ただ きっかけによっては 大きな影響をもたらしてしまうのは それは無いとは言えないわけで
子供は純粋でマヤカシにあいやすい そばで見かけたら
面白半分で行なっちゃいけない事 ちゃんと伝えてあげましょう
誰にも話せず 不安にかられ 私の友達のように こっくりさんがキッカケで 泣いて過ごすことの無いように
例えそれが 別の偶然だったとしても・・・・心は壊れていく。
・・・・・・と 教訓。
霊感話を書こうとしたきっかけは 読者登録させていただいている毒電波TV さんの
【僕の私の百物語、募集中】の記事 を読んでなのです 私も書いてみようかなぁ~
恋愛暴露話と同様 面白いと思っていただければいいなぁです。
≪霊感体質≫こっくりさん 前編![]() |