私が小学3年の夏 弟を死産という形で 一度も抱いてあげる事も無いまま亡くし
母が入院中に 父と二人で荼毘にふし 二人で納骨して
落ち込む母にこれ以上ショックを与えないよう 退院以来あまり話題にしなかった


両親もショックだったのはもちろん 
私も姉になると過ごした数ヶ月からいきなり弟を失い
その傷ついた心を 誰にも話すことなく数ヶ月たった頃・・・


居間で父と母がテーブルを挟んでテレビを見ている
私は二人からちょっと離れた部屋の後ろ 床の間の柱にもたれかかりながらテレビを眺めていた
床の間の脇には 伯父が手作りしてくれた弟ための小さな仏壇がある


ふと視界の脇に動くものがあり 何気なく仏壇の方へ目をやると
仏壇に供えてあるコップの中に青い動くものが・・・


なんだろうとジッと見ると・・・


コップの中でチョコンとお座りをした 
青いオムツカバーをした赤ちゃん

ガラガラを持って笑っている・・・・・


親に知らせようと両親の方を向くものの声が出ない・・・
テレビの音と笑い声が遠くに聞こえる



「ナニ?ナニが起きたの?」



心臓がバクバクしてくるのがわかる

でも まさかという気持ちもあり 再びコップを見ると・・・


ガラガラを振り回し 満面の笑みの赤ちゃん



「あぁー うぅー キャキャっ♪」



声まで聞こえるのに どうして父も母も気が付かないのだろう・・・



「オマエは私の弟?」



そう頭の中で思った瞬間 体がピクッと波打ち
突然世界が変ったように テレビの音と親の笑い声が戻ってきた


恐る恐るもう一度仏壇を見ても ただの水の入ったコップ

いったい何だったのだろう・・・と思っていると


「どうしたの?」母が声をかけてくる

「ううん なんでもない」私は言っちゃいけない事と思い黙り込み

「へんな子ね ぼーっとして」とだけ言うと 母の視線はテレビに戻された


あれは弟の姿だったのだろうか?


まだ幼い私は 自分の体験した出来事を受け止められず
ただただ混乱がおさまらないまま 数日が経過していく。



夜中中雷雨の日があり 庭にあった大人でも一抱えに出来ないほどの大きな木が落雷で折れ 

すでに中が腐りかけていたのか ぽっかりと祠のような穴が深く空いていて
興味本位で覗き込んだものの 背中に悪寒が走り 逃げるように家の中へ入った

数日前に感じたものと同じような 捉えようのない何かを感じ バクバクと動悸がおさまらない。

それが何かのきっかけだったのか・・・



夜中 目を覚ますとまだ真っ暗な時間 一度お手洗いに行き 再び布団にもぐり込む



「・・・・・・トントントントントン」


なんの音だろう・・・・・



「・・・・・トントントントントントン」



隣の台所から まるで母親が朝ごはんの仕度をしているような

まな板でネギを刻んでいるかのような音



「・・・・・パタパタパタ」



今度はスリッパで歩いているような音



「・・・・・パタンッ」



冷蔵庫を閉めたような・・・



「・・・・・トントントントント・・・・・パタパタパタ・・・・・パタンッ」



繰り返し繰り返し聞こえてくる


怖ろしくて恐くて震えながら いつしか眠りに入ったようで 気が付くと朝になり

夜中に聞こえていた音が 母親によって作られていた


「そろそろ起きなさいよー!」


その声にホッとして布団を出る私。



夢だったのだろうか?の思いは その日の夜になって壊される

再び深夜に目覚め お手洗いに行き布団にもぐり込む



「・・・・・・トントントントントン」



まただ・・・・

私は恐ろしさに耐え切れず もう片方の隣の部屋の母の布団の脇に そーーーっともぐり込んだ


そんな日が3日も続くと さすがに父も母もおかしいと思ったのか 二人に問いただされ

夜中の物音が恐いと理由を告白する事となる


信じたのかどうなのか 今夜その音が聞こえたら 起こすよう言われ

案の定の物音に 親を起こすと 物音は止んでしまった


「音なんかしないじゃない!」


台所の電気を点け「こっち来て見てみなさい ほら 誰も居ないし 変わりないでしょ」


夜中に起こされ機嫌も悪くなるのは 今なら理解できるけれど 

当時はわかってもらえない寂しさと 母にまた強く言われるのもイヤで 

その翌日の夜からは いくら物音がして恐くても 母の布団にもぐり込むこともせず 一人で耐えていた

母にしてみれば 何も言わなくなったので収まったのだと思っていたらしい



そんな日々の中 台所脇の裏口から外に出ると 裏口の目の前で

真っ白で大きな蛇がその場にトグロを巻いて 私を見ていて目が合った

真っ白と思ったものの 地面が透けて見えている


私は足がすくんで 身動きできない

どのくらいの時間だろう 

じーーーっと私を見ていた蛇が踵を帰すように向きをかえると スーーッと消えた


「へびーーーーーーっ!!!!!」


よほどの大きな声だったのだろう 母親が飛んで出てきた


「へび?」


「うん・・・へび」


「どんな?」


「白い おーーーっきいへび」


「まさかぁ」


「ホントだもん!」


「最近 ホント変に事ばかり言うねぇ」


これも言ってはいけない事だったのだろうか?



そしてその頃からの数ヶ月 私の記憶はスッポリ抜け落ちている

親が言うには 学校に行きたがらなかったり 途中で帰ってきちゃったり

忘れ物が多く 宿題もしない いつも一人じっと部屋から窓の外を眺めている日々

学校から言動の件で呼び出しもあったらしく ただの反抗期かと思っていた親も黙っておられず

何があったのかと問いただしても 要領を得ない答えばかりの私にかなり悩んだという


そして 記憶が戻るのが


なんだか怪しげなオバサンが 私に向かって何かブツブツと唱えていて

私はテーブルに座り 足をパタパタさせながらそのオバサンを見ている


うちは厳しい家だし テーブルに腰をかけるなんて有り得ないのだけど

記憶はそこから再び始まっている


そのオバサンは ずっと何かを唱えながら 私の手をとってその場にうつ伏せに寝かせ

全身をマッサージしたり撫でて擦りを繰り返す

気持ちよくてうつらうつらして 目覚めると両親がそのオバサンに挨拶して帰るところだった


私を見ると 「もう大丈夫だよ」

そう言い残して その怪しげなオバサンは帰って行った。



私には3つの魂が憑いていたらしい

1つ目は 亡くなった弟が 仏壇の上に何か置かれていたようで 頭が重いと訴えているというのと

2つ目は 倒れた木に住み着いていた竜神が 住み場所を与えて欲しいと訴えているという事

そして3つ目が 以前この家に住んでいたおばあさんが すでに他に引越しているのだけど

この家がとっても気に入っていて 気持ちがまだここに住んでいる いわゆる生霊という事だった


弟がいなかったら もっとひどい現象が起きていたとも言っていて

私は亡くなった弟に 知らぬ間に守られていたのだ


その翌日から 以前とかわらない私が居て 毎日元気に学校へ通ったのでありました

でもこの出来事が 私の霊感体質の始まりだったのです。



≪霊感体質≫「序章(?)」

 霊感話を書こうとしたきっかけは 読者登録させていただいている毒電波TV さんの

 【僕の私の百物語、募集中】記事 を読んでなのです 私も書いてみようかなぁ~

 恋愛暴露話と同様 面白いと思っていただければいいなぁです。

≪シックスセンス≫いきなり番外編


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